閑話2-3
短い閑話です。
本日二話。
閑話2-3
オークを易々と屠っていく男を見た。
俺もオークは倒せる。
倒せるが一撃で倒すのは難しい。
盾でオークの攻撃をいなし、体勢が崩れた所を剣で攻撃する。
それが俺の戦い方だ。
我らの戦いに参戦して来た男はオークを素手で殴り、蹴り飛ばした。
強い……強すぎる。
あれはゼストさんより強い。
南大陸へ来ている者で最強はゼストさんだった。
俺も腕には自信があるがゼストさんには勝てない。
その上を行くだと?
まさか、この大陸にはあんなヤツがゴロゴロしているってのか?
いやそれよりも俺達以外に人が住んでいるのか!?
知らなかった……。
強い奴らがゴロゴロいる大陸……俺達はここで生き延びられるのだろうか?
俺はオークと戦いつつもそんな事を考えていた。
俺はイェン。
アレス王子付きの護衛だ。
成人してから二年、ようやく力を認めてもらえた結果と言える。
俺以外にもアレス王子の護衛はいるが年恰好の近い俺が一番側にいる。
大切な役目だ。
そんな俺は護衛をせずに攻めに出ている。
アレス王子からの指示だ。
遊撃部隊の一員として指名された。
遊撃部隊は単体でオークを倒せるくらい強い者達で構成されている。
だから高揚した。
認められていると。
実際にオークを二体倒し、三体目の相手をしている。
周りと比べても早いはずだ。
それがどうだ?
あっと言う間に十体のオークを倒した男が現れた。
気にならないはずがない。
目の前にオークがいなければ男の戦いを見たい所だ。
残念。
▼
唐突に現れオークを倒しまくった男の名前はアキラ。
アレス王子が対応した。
俺もアレス王子の少し後ろで待機した。
いつでも剣を抜ける状態でだ。
護衛だから当然。
気になる男、アキラから俺は目を離さなかった。
アキラはアレス王子に付いて町へ行くことになった。
どうやらアレス王子はアキラの力を取り込みたいらしい。
それが出来なくても敵対はしたくないのだと思われた。
あれだけの力を発揮した男だ、無理もない。
ドンの町にいる者達全員でかかっても倒せるかどうか……。
罠や毒にでも頼らねば倒せる気がしない。
剣士、戦士として悔しいが仕方ない。
アレス王子の判断は正しい。
俺はそう思った。
ゼロと呼ばれたワイバーンにも驚いた。
アキラはテイマーなのだろう。
それでもワイバーンを使役出来る者などそうはいまい。
少なくとも俺は見た事がない。
ゼロは強そうだった。
オークとは比べものにならないほど強いに違いない。
そういや……アキラは空から降って来てたな。
ゼロに乗って来たという事……そら、空!空かぁ、いいな。
どんな景色が見れるのだろう。
羨ましい。
オークを屠る力だけでなく空をも飛べるのだ。
羨ましすぎる。
まぁ、あれだ。
何故か俺も空を飛べた。
もちろん俺の力ではない。
アキラと一緒にゼロに乗せてもらったのだ。
アレス王子と共にタマギ島へ行くためだ。
護衛達の間でワイバーンに乗りたい者達で争った。
だれがアレス王子に同行するかでだ。
あわや大乱闘という所でアレス王子からの指名が来た。
俺は飛び上がりそうなくらい嬉しかったね。
そしてゼロに乗っている訳だ。
俺の前にはアレス王子、後ろにはアキラ。
横を向けば俺の視線を遮る物は何もない。
どこまでも見える。
青い空と青い海。
世界は広大だ。
対して自分の小ささを感じた。
これはアキラを初めて見た時にも感じていた。
俺はここで満足する訳にはいかない。
もっと強くなるのだ!
流れる風を肌で感じながら決心した。
誰にも言わないけどな!!
▼
アレス王子はアキラをアレス王子の外部協力者として契約した。
タマギ島から人員、物資の輸送。
それから南大陸での魔物討伐。
契約内容はそんな所だった。
輸送……何とアキラはアイテムボックス持ちだった。
国が即、確保に動く力は鑑定かアイテムボックス持ちと言われている。
国によって必要な力は違うが、この二つの力は絶対に国が動く。
その一つを持っているアキラ。
攻撃力、ワイバーン、アイテムボックス……どこぞの英雄か!
そんなアキラにアレス王子がタマギ島以外からの物資調達を依頼した。
調達先はアキラが目立たなそうな場所……冒険者であるアキラという事で迷宮都市コドが選ばれた。
あそこは迷宮に群がる冒険者で溢れている。
アキラの髪の毛と目の色を判らなくさせれば埋没するだろう。
よっぽど名をあげなければ注目などされない。
そういう場所だ。
で、俺もアキラに付いて行く事になった。
世間知らずなアキラ。
世話をしない事には何ともなるまい。
アレス王子からそう言われて付きそう事になった。
俺はアレス王子の側から離れる事に抵抗があったが従った。
強いアキラ、その力を間近で見れるからだ。
それにゼロ。
空は気持ちがいい。
迷宮、迷宮も行ってみたかった。
買い出しの合間に少しくらい行けるだろう。
楽しみだ!
俺は強くなる!
絶対なのだ!!




