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 結局二本目、最後の発泡酒も呑んでしまった。

仕方ないよね?


 そして現在いる所は浅い洞窟らしい。

十mくらい先に出口があるのが判った。

明かりもないのにな!

そう、俺の目がおかしいらしい。

暗視ってヤツだった。

昼間って可能性もあったが、あれれ夜だよな何で見えるの?って思い込んでた。

そしたら暗視って力があるのが判ったのよ。

そんで暗視の機能はオンオフ出来るとも判った。

力って言うのも何だからラノベに倣ってスキルって言っておこう。

暗視をオフにしたら真っ暗だったよ……。

洞窟と外の境も判らないくらいの暗闇。

慌ててスマホで明るくしたのは仕方あるまい。

だってスキルなんてモノに慣れていないんだもの。

で、その時に本命企業からのお祈りメール以外に新着メールがあったのに気付いた。

衝撃的な内容でしたよ……。



『長尾君へ


今あなたの身に起きている事に驚いている事でしょう。

あなたは日本……地球で過ごすには力を持ちすぎてしまいました。

ですのでその力を活かせる所へ転移させました。

いわゆる異世界です。

気付いておられるかもしれませんが頑丈で便利な体に特殊能力が一つ、それから天職があるはずです。

上手く活用してその世界を楽しんでください。

長尾君の今後一層のご活躍を……。


送る者より』



 ええ。

宛先は間違っていない模様。

そして異世界とか。ププッ。

でも笑えない。

俺をココへ送ったと思われる犯人は超常能力の持ち主らしい。

まぁ話を信じるならばだ。

で、そんなモノからも今後の活躍を祈られるとか……。

祈られてばっかりだな俺。


 あ、もうそう言うのは気にしなくていいのか!

就活から解放されたんだ!!

うひょーっ!

テンションが爆上がりした。

何か心がとても軽くなった気がする。

今なら道端で苦しんでいるお年寄りや迷子の子供にだって手を差し伸べられるね。

うん。



 テンションは直ぐに落ち着いた。

就職はともかく、今後の生活に不安があるという事に気が付いたからだ。

金、貨幣という仕組みがあるかは判らないがメシは食わねばなるまい。

俺にサバイバル能力なんてない。

やはり仕事からは離れられそうにないか。



 送る者の言う事も判った。

頑丈で便利な体。

特殊能力。

天職。

その言葉を意識したら、頭に情報が浮かんできた。

まったく便利なものである。

俺が持っている力の事がだいたい解ったのだから。


 

頑丈で便利な体……暗闇でも見える目、硬い皮膚。洞窟の壁を軽く殴って見たが痛くもなく怪我もしなかった。だが壁が崩れるほどの威力はなかったのは残念。頭に付いては記憶力が抜群にいいらしい。日本で欲しかったよ。


特殊能力……具現化能力でした。食べた事のある物を出せたよ……肉まんを出してみた。ホカホカでした!どうやら出した物と同じだけの重量、俺の肉体が減るらしい。多用出来そうにない。


天職……死霊使い。どんな因果関係があるというのだろうか?ばーちゃんが亡くなった時とクワガタ、ザリガニ、セミ、その辺りでしか死体なんて縁がなかったのに……。ネクロマンサーというヤツで呪術系の三次職らしい。いきなり上位職でいいのかと思ったが自身の事なので良しとした。



 何か凄そうである。

だが比べる相手がいないので何とも言えない。

おそらく居るであろう現地人が皆似たような力を持っていないとも限らない。

慎重に行きたいものである。

体の性能はすこぶる良い。

当社比で倍はありそう。

そして特殊能力のおかげで飢えずに済みそうで安心した。

もっとも出した食べ物がまた自分の身になるかという検証は居るかもしれない。

食べ物を大量に出したら体重激減だしなぁ。

色々試さねばなるまい。

一番不安があるのは天職だった。

死霊使いとか字面が悪すぎるし印象も悪い。

どう考えても皆に好かれている職業とは思えない。

迫害されていてもおかしくはない。

出来る事を確認したら隠すべきだろうか?

スケルトンとか仲間に出来そうだ。

現在ぼっちで心細い身としてはスケルトンでも隣に居て欲し……いや要らないか怖そうだし。ゾンビとかも勘弁だ。



 あ、魔法はあるのかな?

ちょっと試したが何も出なかった。

がっかりである。

恥ずかしい詠唱とか誰にも聞かれずに済んで良かった。

封印封印っと。

でも魔法に付いては誰かに聞きたい所です。

まだ諦めてはいませんとも。

俺の名前は長尾晶。

あきらめる訳にはいかない。

いや、アキラだから諦めても諦めなくてもいいのか……。



 力の事は追々として、衣食住の話だ。

ここらに町がなければ衣は諦めねばなるまい。

その場合は着た切り雀だな……グレーのパーカー、白Tシャツ、ダークグリーンのカーゴパンツ、トランクスに黒靴下、やっすいバッシュ。

着替えなんてない。

後の持ち物はスマホにコンビニの袋、空き缶2、チーカマ、コンソメポテチ、財布に小銭、家の鍵くらいだ。

刃物くらいくださいよ、送る者さん……。

手持ちの物を確認して不安が押し寄せてきた。

力があってもこの不安は消せそうにない。

ないないづくしだ。

あぁ、姉と田舎の両親、じぃちゃんには俺がいなくなった事が伝わるのだろうか?

就職の件で色々言い合っていたから気まずく別れたままだ。

就活から逃れられて異世界だとテンションを上げたがスッキリしない。

現実はこんなもんだ……現実って何なんだろうね。


 食に関しては特殊能力がある。

ただカロリーたっぷりな物でないと体重を補えないかも知れない。

某菓子パンとかさ。

栄養とかボロボロになりそう。

少ない量で栄養があり、満足感がある食べ物ってなんだ?しかも食べた事のある物という縛りもある。

因みに俺より三つ上の姉が出版社に勤めている。

グルメ雑誌の記者だ。

おかげで色々付き合わされたのでレパートリーは豊富だ。

何が幸いするかわからんね。

姉に感謝だ。

母の手料理も美味い。

鍋とか煮物は最高だった。

え?彼女の手料理?何ですかそれ?


 住……この洞窟なのか?この体で出来る事を確認したら洞窟の外を見てみよう。

近くに町か村があるに違いない。

お姫様だって助けられるに決まってる。

盗賊なんてなぎ倒す。

女騎士もあるよ。

きっと。



 でも家のベッドが恋しくなっている。

布団……。

風呂もだな。

PCなしとか……ありえねぇ!

スマホでネットも無理っぽい。

テンションダダ下がり。


 うん。

怖い物や悪い事の想像はしていない。

明るい未来を期待して何が悪い!

声を大にして言いたい。

だってネガティブな事を考えたら離れられなくなりそうなんだもの……。

神様、俺を守ってください。

都合のいい時だけ祈って見たり。


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