2-2
これまた、ほぼ説明回です。
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晶達は暗くなっても話を続けていた。
ぴよこ以外は参加である。
ぴよこは夢の中。
ぴよぴよ。
いくつもの質問、回答が飛び交った。
自分達の力の事、天職。
こちらの人の力、容姿。
生活レベル、道具。
地理、国、政治体制。
魔物の話。
人里目指して進んでいた晶ではあったが、もう急ぐつもりはなかった様で翌日以降も湖の側で話をしていた。
メガスライムの行動範囲ではないのか、ここへは来なかった。
主に晶が質問し、タケマツが答えた。
時折、カヅキからの補足も入った。
カヅキも逃避行の間にタケマツから情報を仕入れていたとの事。
そして神気の扱いについても修行していたそうだ。
ただし、神気の扱いについては既に晶の方が上らしい。
もっともタケマツの方が更に上との事だったが。
そんなタケマツが何故死んでしまったのか?
水場を見つけて、水の補充をしようとした所でスライムの集団に襲われたそうだ。
大きいスライムでもクッション程度だったそうなので石で倒せたり、蹴り飛ばして散らしたり出来たらしい。
蹴りでは自分達にも被害が出たそうだが無理をする場面だったらしい。
しかしスライムは数が多すぎた。
逃げ場は湖しかない状態にまで追い込まれた。
そしてスライムと戦っている間に湖から大蛇が襲い掛かって来たそうだ。
タケマツは索敵で近くに大物がいない事は確認していたらしいが襲われた。
スライムとの戦いに集中しすぎたとタケマツは言う。
集中しなくてはやられていたとも。
水場へ来てしまった時点で選択肢は少なくなっていたのかも知れない。
襲われたのはタケマツの後ろ、水の側にいたカヅキだったと。
下半身を咥えられ湖へ引きずり込まれた。
タケマツは直ぐに湖へ飛び込んだらしい。
神気の一撃により大蛇の下顎を吹っ飛ばしカヅキを助けた。
晶が戦った大蛇だったのだが顎はあった。
再生したと思われる。
時間はそれなりにかかったのではないだろうか。
そこまでは良かったが大蛇に巻き付かれてしまった。
水の中は大蛇の領域。
神気持ちのタケマツは通常の者より水での活動が出来たが時間の問題だったそうだ。
体中の骨を砕かれ、溺れて亡くなったのではないかと。
タケマツ、久しぶりの死亡。
そしてカヅキ、初めての死亡。
腹に大蛇の牙が突きたてられていたため酷い事になっていたと思う……カヅキはそう言っていた。
死にかけていたし怖くて確認なんて出来なかったと。
何とか水から上がれたもののスライムがいて……。
とにかく酷い目にあったんだと晶も理解した。
なまじタフだったばかりに苦しい時間が伸びたタケマツとカヅキだったらしい。
(ワシらは神気を纏えばかなり強い)
(最強争いをするならTOP集団に入れますよ。私には無理そうですけど)
「むー、天職が後衛なんだよ、俺」
(前衛相手だと厳しいですねぇ)
(こちらの者にも強いヤツらはおる。魔力で強化し、技を磨いた天職持ちじゃ)
「俺達かなり強くなってますよ?これと勝負できる人達がいるんですか!?」
(おるのだ。こっちへ来た者、その中でも前衛の方が上ではあるがの)
「おぉ!」
(だが己の力におぼれてはいかんぞ?力は強い、守りも堅い、だが生き物には違いない)
(私達が死んだ様に死ぬことはあります。長い間水中に引き込まれれば死にます。土に埋められても長くは持たないでしょう。火山、溶岩辺りでも耐えられないでしょうね)
「継続的にやられるとダメって事かな?」
(はい。普通の人よりかなり耐えられますが長時間は無理でしょう)
(うむ。だから出来る事、出来ない事を把握し油断せん事じゃ)
「はい」
先達からの苦言であった。
タケマツも通った道なのであろう。
晶も茶化す事なく素直に返事をしている。
先の見えなかった状況、道しるべとなる人?との出会いであった。
晶にとって良い事だと思われる。
もっとも霊体のタケマツ達でなければ、こうも素直には受け入れていたかどうかは疑問である。
晶はラスボスが同朋ってのはありがちだと思っていた様だし……。
タケマツ達は晶のネクロマンサー、その力で支配されている。
だから話に嘘はないと信じられる。
晶は後衛である事を嘆いているみたいだが、良い職業ではないだろうか?
少なくとも、今の状況では大いに助けになっている。
「大きく分けて四つの大陸が確認されているんだっけ?」
(はい。中央大陸、東大陸、西大陸、そしてここ南大陸です)
(そうじゃ。ここからだと中央大陸が一番近い。後は西大陸じゃな)
(私達は中央大陸から渡ってきました)
「間に海があるんだよね?」
(うむ。海は魔物の領域じゃ。これはどうにもならんじゃろう……)
(特に夜は危ないそうです)
「そんなイメージはあるね。海怖い」
(後、船に人がたくさん集まると魔物も寄ってきやすいみたいですよ。だから大型船での移動はしていないそうです)
(ここの北西、中央大陸との間に島がある。それなりに大きい島で都市が二つながら国になっておる)
(そこを中継してこっちへ来ました)
「あれ?異世界人の集落って東大陸なんじゃなかったっけ?」
(私のせいで追い込まれてしまったんです……)
(過ぎた事は仕方あるまい。出来る事をするまでじゃ)
カヅキが何か失敗して追い込まれてこっちへ逃げるはめになったらしい。
思い出したのかカヅキが落ち込んでいる。
そして大人なフォロー。
タケマツは出来た人らしい。
落ち込んだカヅキへ晶は声をかけられなかった。
事情も解っていないので仕方あるまい。
半端な慰めは傷を抉りかねない。
「ほ、北西の島、そこが一番近そうですね」
話題の転換。
ちょっと詰まったが晶にしては良い選択。
(昔の話じゃが、変わっておるまい)
「そっか、昔の情報でしたね……まずそこを目指そうと思います」
(そうじゃな……ワシらは死んでおるからいいがお主は気を付けねばな)
(いい?まぁいいのかなぁ……)
タケマツが淡々と死んでいるからいいと言い放つ。
それに疑問を持つカヅキ。
何とも言えない。
(北西の島はタマギ島と言い、そのままタマギ王国を名乗っておる)
「タマギ……日本っぽい語感ですね」
(私もそう思いました。王家の人は日本の人じゃ無い様でしたけど)
「そっか」
(タマギ王国は中央大陸の支配から逃れておった。独立勢力じゃ。なのでムロン帝国の様にワシらを襲ったりはせなんだ)
(ちょっと見られたりはしましたが、襲われたり、物を売ってくれないなんて事はありませんでしたよ)
「おぉ!安心出来そう。最初の国、町、こっちの印象が決まりそうだから良かった」
(そう……そうですね。そう言う意味では私は余りよくありませんでした……)
(カヅキは迷宮都市近辺に出たらしいからのぅ。荒っぽい連中が多かったろう)
(ですね)
「め、迷宮都市!?迷宮があるんですか?ダンジョン!!」
(迷宮はある。お主が思っておる物かは知らぬがの)
(アキラさんの言うダンジョンで合ってます。私は行きませんでしたけど)
「うぉおぉぉ!行きたい!!」
これからの方針。
どこへ向かうかの話をしていて、出て来た迷宮都市。
晶のテンションが天元突破である。
男の子ですねぇ。
その様子をタケマツがうんうんといった感じで微笑ましそうに見、カヅキが冷めた目で見ていた。
ゼロは晶の隣で大人しくしている。
ゼロもワイバーンの縄張り以外の事は知らない。
情報収集中だ。
そして癒し担当のぴよこは晶のパーカー、フードの中でお休みである。
幼いせいか寝ている時間が多い。
周りで人が動くと身動ぎするので鈍くはなさそう。
(まずは北西の島、タマギじゃな)
「おう!」
(ハイテンション……)
(マスター。話を聞いていると飛んで渡れるか微妙そうです)
「お、いやいやゼロなら大丈夫!」
(……)
タケマツの案内でタマギを目指す事になった。
初めての人里。
そして迷宮都市へと繋がる一歩。
晶がやる気になっている。
カヅキはそれほどでもない。
まぁ霊体として晶の体を間借りしての観光といった所だろうからイマイチなのかも知れない。
自分で地元の名産を飲み食い出来たりはしないしね。
そしてゼロからの報告。
休憩なしで海の上を飛ぶ事になりそう。
晶からの根拠のない信頼……ゼロが人間だったら顔を引き攣らせている様に見えるのではないだろうか?
とりあえずの方針が決まった。
目指すはタマギ島、タマギ王国である。




