↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハズレと言われたガチャスキル、猫と一緒に毎日回してます 〜孤児院育ちの少年は、魔石を一つずつ集めて少しずつ強くなる〜  作者: はわわわわ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/28

# 第14話 せまい通路と、四人の戦い方

# 第14話 せまい通路と、四人の戦い方


三階が閉じられてから、一週間がたった。


苔むす洞に入れるのは、一階と二階だけになった。それも、ギルドの決まりがいくつか増えた。


二階は、指導役と一緒のときだけ。一階は、登録から一か月を過ぎた見習いなら、必ず二人以上で入ること。そして、どの階でも、日が真上に来る前に一度外に出て、ギルドの見張りに顔を見せること。


「面倒だけど、仕方ないよな」


洞窟の入り口で、トーマが言った。


その日、俺たちはガルドさんと一緒に一階に入っていた。ダンジョンの形が変わっていないか、俺の地図と見比べながら確かめるためだ。


一階に入ってすぐ、見張りの冒険者から聞いた。


「ダンとニコのところの二人も、今朝入っていったぞ。一階の東側で、角ネズミを狩るんだと」


---


それが起きたのは、地図の確認を始めて、一時間くらいたったころだった。


ルルが、フードの中で、ぴくりと耳を立てた。


その直後、洞窟の奥から、声が響いてきた。


「――誰か! 誰かいませんか!」


ニコさんの声だった。


東側は、歩けば回り道になるけれど、まっすぐ測ればそれほど遠くない。それに洞窟の中では、声が岩の壁に跳ね返って、外よりずっと遠くまで届くのだ。


ガルドさんの顔色が変わった。


「東側だ。行くぞ」


走り出しかけた、そのときだった。


頭上から、ばさばさばさっ、という羽音が降ってきた。


洞窟コウモリだった。それも、一匹や二匹じゃない。天井の暗がりから、黒い影が次々と剥がれるように飛び出してくる。二十匹、いや、もっと。


「くそっ」


ガルドさんが、腰の剣を抜いた。


コウモリの群れが、ランタンの光に向かって一斉に襲いかかってくる。ガルドさんは剣を振るって、まとめて何匹も叩き落とした。でも、数が多すぎる。


「ガルドさん!」


「お前らは、東へ行け!」


ガルドさんが、群れの真ん中で叫んだ。


「ダンたちと合流しろ。戦うな。下がれ。すぐに追いつく!」


一瞬、迷った。


でも、ガルドさんの目は、まっすぐに俺を見ていた。お前ならできる、と言われているような気がした。


「トーマ、こっち!」


「おう!」


---


一階の東側までの道は、全部頭に入っていた。


方向感覚と、何度も描き直した地図。分かれ道を右。下り坂。三本並んだ通路の、真ん中。


普通に行けば、大きく回り道になる。でも、真ん中の通路を抜ければ、近道になるはずだった。


「レン、本当にこっちで合ってるのか!?」


「合ってる!」


息を切らせながら、細い通路を抜ける。


その先の広い部屋に、二人がいた。


ダンさんが、木の槌を構えて、壁際に立っていた。その後ろに、弓を構えたニコさん。


そして、二人を取り囲むように、三匹の岩トカゲがいた。


二階にいるはずの魔物だった。


大きさは、大型の犬くらい。灰色のごつごつした皮。ゆっくりと、でも確実に、二人に近づいていく。


「ダンさん! ニコさん!」


「レン!?」


ダンさんが振り返った。その左腕から、血が流れていた。


「噛まれた……いきなり、三匹も出てきて……」


一番手前の岩トカゲが、ぐっと体を低くした。飛びかかる前の姿勢だ。


俺は、袋から石をつかんだ。


――目を狙え。


ガルドさんの声が、頭の中で響いた。


投げる。まっすぐ。小石投げ+2の石が、岩トカゲの右目に吸い込まれていく。


ばしっ。


岩トカゲが、悲鳴のような声を上げてのけぞった。


「トーマ!」


「任せろ!」


トーマが、革の小盾を構えて、ダンさんたちの前に飛び込んだ。のけぞった岩トカゲの鼻先を、盾で思いきり押し返す。


残りの二匹が、こっちを向いた。


---


「全部は倒せない」


俺は、声に出して言った。自分に言い聞かせるように。


岩トカゲは皮が硬い。俺の石では、目か喉に当てないと効かない。トーマの木剣では、皮を通せない。ダンさんは怪我をしている。


戦うな、下がれ。ガルドさんは、そう言った。


でも、ただ下がるだけでは、追いつかれる。


頭の中の地図をたどる。この部屋から、俺たちが来たのとは別の方向に、一本だけ細い通路が伸びている。人が一人、やっと通れるくらいの幅。


あそこなら。


「みんな、聞いて!」


俺は叫んだ。


「あっちに、細い通路がある。あそこに入れば、岩トカゲは一匹ずつしか来られない!」


ニコさんが、はっと俺を見た。


「トーマが一番前で、盾で止める。俺とニコさんが、後ろから目を狙う。ダンさんは、真ん中で、トーマがあぶなくなったら槌で押し返して!」


「わ、分かった!」


「背中を見せないで、ゆっくり下がって!」


四人で、じりじりと通路の方へ下がっていく。岩トカゲたちが、こっちの動きに合わせて、少しずつ距離を詰めてくる。


一歩。また一歩。


背中が、通路の入り口に触れた。


「入って!」


ニコさんが先に滑り込む。次に、腕を押さえたダンさん。俺。最後に、盾を構えたまま、トーマが後ろ向きに入ってきた。


通路は、思ったとおり狭かった。トーマ一人で、ほとんどいっぱいになる。


岩トカゲの一匹が、通路の入り口に頭を突っ込んできた。


「来たぞ!」


トーマが、盾で正面から受け止めた。がつん、と重い音がする。トーマの足が、ずるりと後ろに滑った。


「トーマ、そのまま!」


トーマの肩越しに、岩トカゲの目が見えた。


投げる。


ばしっ。左目に当たった。岩トカゲがのけぞる。


その瞬間、俺の耳元を、ひゅっと何かが通り過ぎた。


ニコさんの矢だった。岩トカゲの喉元、皮の柔らかいところに、深々と突き刺さる。


岩トカゲが、ぐらりと揺れて、横倒しになった。


「やった……!」


ニコさんが、震える声で言った。


次の一匹が、倒れた仲間を押しのけるようにして、通路に入ってこようとする。


トーマが盾で止める。ダンさんが、トーマの横から槌を突き出して、岩トカゲの鼻先を叩く。俺が目を狙う。ニコさんが喉を狙う。


狭い通路の中で、四人の動きが、だんだん一つになっていった。


---


二匹目が倒れたとき、通路の外で、重い足音がした。


最後の一匹が、ぎゃっと悲鳴を上げて、それきり静かになった。


「……無事か」


通路の入り口に、ガルドさんが立っていた。


肩で息をしていた。シャツのあちこちが、コウモリの爪で裂けている。でも、剣を握る手は、しっかりしていた。


足元には、最後の岩トカゲが倒れていた。


「ガルドさん……!」


体から、一気に力が抜けた。膝が、がくがくと震え出す。トーマが、盾を構えたまま、その場にへたり込んだ。


「ダンさんが、腕を噛まれてて」


「見せろ」


ガルドさんが、ダンさんの腕をのぞき込む。傷は深くはなかったけれど、血がまだ止まっていなかった。


俺は、腰の袋を探った。


草原で薬草を摘むようになってから、いつも何本か持ち歩くようにしていた。青葉草。


水筒の水で傷を洗う。青葉草の葉を手のひらでもんで、汁を出す。それを傷に当てて、布でしっかりと縛る。


草原で、何度も練習したとおりに。


「……ひんやりする」


ダンさんが、ぽつりと言った。


ガルドさんは、俺の手元を、黙って見ていた。


---


洞窟を出たときには、日が少し傾き始めていた。


ダンさんの腕の傷は、ギルドの治療係に見てもらったら、「手当てが早かったから、すぐ治る」と言われた。


ギルドの前で、ダンさんとニコさんが、俺たちに深く頭を下げた。


「ありがとう。お前らがいなかったら、どうなってたか」


「レン君の地図と、トーマ君の盾がなかったら、わたしたち……」


ニコさんの目が、少し赤くなっていた。


「いや、俺たちも、ニコさんの矢がなかったら倒せなかったし」


「ダンさんの槌もな!」


トーマが言うと、ダンさんは、照れくさそうに鼻の頭をかいた。


その横で、ガルドさんが、俺とトーマの頭に、ごつごつした手を一つずつ置いた。


「よく下がった」


それだけだった。


でも、それが、今まで言われたどんな言葉よりも、嬉しかった。


「戦わずに下がって、狭いところで一匹ずつ相手にする。怪我人を真ん中に置く。手当てをする。……全部、教えたとおりだ」


ガルドさんは、少しだけ、口の端を上げた。


「一つずつ、増えてるな」


(第14話 終わり)


---


**【ガチャ記録】第14話まで**


ガチャを授かってから 65日目 / ガチャLv.2


回した回数:合計55回(無料46回・魔石9回)


今回出たもの

- 無料ガチャ:【N】塩一袋、【R】干し果物の詰め合わせ、【N】木の器、【N】紙の束、【N】青葉草の種、【N】石けん、【N】縫い針と糸


これまでに出たもの

- 特別枠【祝福の一回】:【N】子猫(ルル)

- スキル:小石投げ+2、方向感覚、生活魔法:着火

- 装備・道具:【R】革の小盾(トーマに)、【R】丈夫な雨合羽

- 食べ物・レシピ:【R】大きな燻製ハム(孤児院の晩ごはんに)、【N】じゃがいも(一袋)、【N】乾燥豆(一袋)×2、【N】干しいも、【N】小麦粉(小袋)、【N】乾燥ハーブ、【N】レシピ「じゃがいももち」(院長先生に)、【R】干し果物の詰め合わせ(ダンとニコにも)

- そのほか:【N】革の小物袋、【N】猫じゃらし(ルルの宝物)、【N】塩一袋×4、【N】包帯×4、【N】毛糸玉×2(ルルの宝物)、【N】木のスプーン、【N】縫い針と糸×3、【N】手ぬぐい×3、【N】ボタン一袋×2、【N】石けん×3、【N】紙の束×4(地図の下書きに)、【N】炭の棒×3、【N】木のコマ(小さい子たちに)、【N】釘一袋、【N】ビー玉一袋(小さい子たちに)、【R】厚手の毛布(孤児院に)、【N】革ひも、【N】丈夫な縄、【N】木の器、【N】青葉草の種(孤児院の庭に)


読んでいただき、ありがとうございます!


次回

〔今日の19時〕に更新します。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。