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異世界で悪役令嬢のメイドになったので、AIと一緒にお屋敷改革いたします。  作者: TOM


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最初のお仕事⑤ 初めての成果

◆初めての成果


〈ミツキ、朝だよぅ……〉


「……おはよう……」


 ソルが私を起こした。


 昨日眠りにつく前、私からソルにお願いしていた。

 寝坊を繰り返さないために。


 ソルは嫌そうな顔をしたが、了承してくれた。

 そして、今はとても眠たそうにしている。


 AIって寝るの!?


〈休憩は必要だよぅ……〉


 そういうとソルは半開きの目をこすりながら、私の胸もとに戻っていった。


 ……。


 私は気持ちを切り替えることにした。


 まずはいつもの清掃だ。

 本業を疎かにして、アルバートさんに迷惑をかけるわけにはいかない。


 コーティングはそのあと。


「よし! やるぞ!」


 私は気合を入れなおし、部屋を出た。



――モップの扱いに慣れてきた私は、いつもの作業を新記録で終えた。それでも日暮れには間に合わない。


 正直、いつもの作業だけで、体はへとへとだ。


 でも……。 やるしかない。

 自分に言い聞かせた。


 私は階段からコーティング作業を開始することにした。


 毎日の清掃でもっとも苦戦する強敵だ。

 だからこそ、ここを攻略すれば、コーティングに回せる時間もかなり増えるはず。


 私は早速作業に取り掛かった。


〈ミツキ、いい調子だねぇ。がんばれぇ。〉


 ソルが応援してくれる。


 私は、眠っていた木目を、そっと起こすように、

 丁寧に丁寧に床を磨いた。


 疲れ切っていた床板が、目を覚ますように輝きだす。


 それにつられるように私も元気が湧いてくる。

 心が軽くなっていく。


 1段目、2段目、……


 昼間の清掃で腕疲労は限界間近だったが、何とか力を振り絞る。


 私は勢いよく作業していたつもりだったが、それでも3段目で限界が来た。


 すべてのコーティングを終えるのはまだまだ先だ。


 それでも私の心は、床板のように息を吹き返し、ピカピカに輝いていた。



――翌朝、いつもの清掃を始めたばかりの私にアルバートさんが声をかけた。


「階段のコーティング、拝見いたしました。

 いやはや、本当に素晴らしい。まるで新しい板に張り替えたようですな」


「ありがとうございます!」


「引き続きよろしくお願いいたします。

 私も直接協力したいところなのですが、今は別件が立て込んでおりましてな。

 もし必要なものなどございましたら、何なりとお申し付けください」


 アルバートさんは立ち去る前に一言付け加えた。


「ミツキ殿の働きには感服しております。

 くれぐれもお体ご自愛ください」


 アルバートさんが去ったあと、私はしばらくその場に立ち尽くしていた。


「……感服、って……」


 胸の奥がじんわり熱くなる。


 この屋敷に来てから、怒られてばかりだった。

 褒められることなんて、ほとんどなかった。


 胸の奥から温かい涙がこぼれそうになる。


〈ミツキ、よかったねぇ〉


「うん……」


 私は鼻をすすりながら言った。

 ソルの声が、いつもより少し優しく聞こえた。



――日が昇るころ、リリアナは目を覚ました。


 リリアナは、新鮮な朝の空気を吸うために、毎朝庭を散歩する。


 この日も庭へ出るために階段を下りた。

 最後の段を下りた瞬間、違和感に気づく。


 一瞬ハーブの香りがした。


 リリアナは振り向き、周囲を確認する。


 階段の最初の3段が異様に輝いてみえる。


 リリアナはまじまじと見つめ、階段に近づく。

 ハーブの香りも近づいた。


 階段を張り替えたのかと思ったが、どうやら違うようだ。


 新しい使用人が、何やらこそこそやっていたのを思い出す。


 「ふんっ……」


 リリアナは向き直り、庭に向かった。


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