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魔狼とウサギ姫  作者: ダン・水木
第2巻:冥界
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棘、血、そして抱擁 - 第1章

「ここは……どこだ?」


目を開けると、シリウスは既に、美しく咲き乱れる色とりどりの花でいっぱいの庭園の真ん中に立っていた。爽やかな春のそよ風は甘い香りを運び、それは彼の鼻に優しいだけでなく、彼の魂も癒した。


シリウスは見下ろし、自分の右手を見つめた。そう。今回は彼の姿はオオカミではなく、人間だった。それだけで彼はこれが現実ではないと気づくのに十分だった。彼はただ夢の中にいるだけだった。


「これが現実だったらいいのに。」


彼は頭を上げ、自分の前に伸びる長い道をまっすぐに見つめた。


彼はその道に沿ってゆっくりとした歩調で歩き始めた。その歩みは、どういうわけか重く感じられた。彼の手は少し脇に伸ばし、花の先端を撫でさせた。花は聞こえないハミングで彼を迎えているかのようだった。


かすかな微笑みが彼の唇に広がった。


彼の足は彼をどんどん遠くへ運び、やがて色とりどりの花園は深い血の赤色に変わり始めた。トゲのあるバラの茂みが今や彼を取り囲んでいた。


しかし彼の視線は依然として虚ろだった。彼は鋭いバラのトゲに指先を刺されたとき、ようやくぼんやりとした状態から抜け出した。


「うっ……何だ……?」


意識が戻ると、彼は左右を見回したが、そこには彼を取り囲む血のように赤いトゲのある花の群れ以外何も見つからなかった。吹く風はもはや爽やかではなく、その代わりに彼の喉を痛くて乾燥させた。


シリウスが疲れ果てた絶望的な視線で立ち尽くしていると、植物たちは生き返ったかのようだった。その鋭い巻きひげは這い上がり、彼の体のほとんどを覆った。そのトゲは彼の皮膚を突き刺し、渇いたヴァンパイアのように彼の血を飲んだ。バラのつぼみは成長し始め、まるで彼を自分たちの栄養として使うかのように美しく咲き誇った。


シリウスは全く抵抗しなかった。彼は降伏し、たとえそれが完全に干からびることを意味しても、彼らに自分の血を吸わせた。彼は、自分が初めて人間の血を流した時からずっと悩ませてきたこの夢の意味を知っていた。


「無駄だ……これはただの夢に過ぎない。」


彼が完全に目を閉じたちょうどその時、彼の体は落ち、悪臭を放つ濃い液体の池に飛び込んだように感じられた。彼が再び目を開けると、周囲の景色は完全に変わっていた。


今度は、彼は果てしない海のように広がる血の池の上に立っていた。左右には境界がないように見えた。そこには、散らばった体の部分や内臓以外何もなく、それらは単なる装飾的な家具としての役割を果たしているだけだった。


彼はこの悪夢から目覚めたかったが、どういうわけか、現実世界での彼の体は目を開けようとしなかった。


虚ろな夢想の中、切断された遺体たちは形なく立っていた――無理やり生き返らされた死体と何ら変わらなかった。彼らは不揃いに、同調せずに、空虚な凝視を浮かべて、まるでその視線が自分自身の反映であるかのように、よろめきながら彼に向かって歩いてきた。


彼らの顎は彼に食いつき始め、彼の肉を引き裂き、大きな喜びと共に彼の血を飲んだ。


再び、彼はまだ痛みを感じていたが、シリウスは反撃するつもりはなかった。彼は目を閉じることを選んだ。彼にとって、これは自分の罪のために負わなければならない罰だった。


「諦めるつもりなの?」


柔らかく美しい声が突然彼の目を見開かせた。その瞬間、彼の視界は再び変わった。血の海と彼を食い尽くそうとする生ける死体は跡形もなく消え去った。


今度は、ただ無地で静かな白だけがあった。そして、どういうわけかその顔が白い雲に覆われていて、シリウスには彼女を見ることができない美しい少女。


しかし……彼は彼女が誰かを知っていた。


シリウスは、前回会った時のように、微笑んで彼女をしっかりと抱きしめたいと願うばかりだった。しかし……今回はとても違うと感じられた。彼の手は彼女に届かなかった。彼の口は話せず、本物の笑顔さえも作れなかった。


「顔色が悪いね。大丈夫?」


シリウスは答えず、ただ顔をそらした。


返事が得られず、少女は彼らの間の距離が手の幅だけになるまで近づいた。彼女は体を少し前に傾けた。その顔は曇った霧に覆われていたが、彼は彼女が甘い微笑みを見せているに違いないと確信した。残念ながら、そうしたいのに、シリウスは苦い笑顔で応えることしかできなかった。


少女は彼の周りを回り始めた。彼女が身に着けている白いドレスは、彼女の手の優雅な動きのように、わずかにひらひらと揺れた。彼女の動きは、シリウスに自分の鋭い黄金色の瞳で彼女を一瞥させるように仕向けることを意図しているようだった。


「結局、あなたは私を見てくれるのね?」


「私は……君から決して視線をそらすことはできなかった。」


「だからあなたはこれまでずっと戦い続けてきたのね?」


「たとえそれが真実でも、私は本当に君に値するのだろうか? 私がしてきた全てのこと、私が負っている全ての罪の後で、私はまだ君に値するのだろうか?」


「罪、ね? なぜ尋ねるの? それが何だっていうの?」


シリウスは彼女の言葉に答えることができなかった。彼はうつむき、自分の手のひらを後悔の念を込めて見つめた。きれいに見える手のひらだが、そこには避けられない残酷な殺戮の痕跡が残っていた。


「こんな手では……君に再び触れる資格がないように感じる。」


「馬鹿なことを言わないで。」


再び彼女は近づき、その温かい両手で優しく彼の頬に触れた。再び彼らの顔は向き合い、シリウスは視線を向ける場所がなくなった。


「あなたはいつもこうなの。いつも自分を欺こうとしている。気づかないうちに、それがまさにあなたを最も苦しめているのよ。でも……おそらくそれは、あなたを立たせ続け、決して道を迷わせないものなのかもしれない。」


甘い微笑みが再び少女の唇に広がった。「そしておそらく……それが私をあなたから視線をそらせなくしているものなのかもしれない。」


少女はシリウスを引き寄せ、彼らの唇がほとんど触れるほどにした。しかしその直後、彼女はすぐに身を引いた。彼女の体がさらに消え去っているのがはっきりと見えた。


「どうやら時間があまりないみたい。」彼女の口調はより憂鬱になった。同様に、彼女の温かい視線も徐々に柔らかくなっていった。「残念ね、夢の世界でさえ、『彼ら』はまだ私たちを引き離そうとしているの。」


彼ら?


シリウスは尋ねようとしたが、少女は彼の考えを知っているかのように、既にその繊細な人差し指で彼の唇を封じていた。


少女は一瞬間黙り、その優しい笑みはさらに大きく広がった。しかし……彼女の体はゆっくりと透明になっていった。シリウスはこの夢がもうすぐ終わることを知っていた。再び、二人はほんの短い時間だけ一緒にいることを許された――憧れを癒すにはあまりに短すぎる時間だった。


「あなたは今、『彼ら』が誰かを知る必要はない。今のところ最も重要なのは……」


「……自分を責めすぎないことよ。」


その言葉が発せられた後、シリウスの唇はついに初めて大きく広がった。彼の肩の重荷は大部分がまだ残っていたが、部分的に取り除かれた。


彼らの視線はついに一瞬交わった。互いを理解するのに言葉は必要なかった。彼らの顔に刻まれた笑顔だけで十分だった。


「分かった……ありがとう。」


「どういたしまして。」


再び、二人は互いに近づいた。それから、温かく抱きしめ合い、これまでずっと鬱積していた憧れの全てを解放した。


「これが夢なら……私は目覚めたくない。そしてこれが現実なら、どうか時間よ永遠に止まれ。」


「あなたは面白い人ね。」彼女は小さく笑った。「もしこれが現実なら、あなたはすぐに会えるように時間が速く過ぎることを願うべきよ。あなたは過去や記憶の中に生き続けることはできないの。あなたにできるのは、私たちの前に横たわるものに沿って歩き続けることだけよ。簡単ではないわ。多くの挑戦と苦しみがあるでしょう。でも……あなたはそう簡単には諦めないでしょうね?」


「ああ……君の言う通りだ。改めて、全てに感謝する。」


「どういたしまして。そして……また会う日まで。」


瞬時に、少女は完全に消え去り、白い部屋の真ん中にシリウスだけを残した。しかし今回は、シリウスはもはや孤独を感じなかった。彼の憧れと重荷は、多かれ少なかれ軽減されていた。


彼は立ち尽くした。


ゆっくりと、部屋は崩れ始めた。


彼は目を閉じた。


そして再び目を開けると、彼の目に飛び込んできたのは、きちんと並んだ木々の群れと、まだ薄暗い朝の光に伴うカラスの鳴き声だった。


そう。夢は終わった。


再び、彼は現実世界に戻らなければならなかった。


憧れはまだ残り、まだ彼の胸の中で息苦しかった。しかし今回は、シリウスはより楽観的に未来に立ち向かえると感じた。彼は四つん這いで立ち上がった。彼の頭は空に向かって上げられた。彼の視線は柔らかくなり、彼の笑顔は大きく広がった。


「君が言った通りだ。」


「私は前に進む。」


「文句は言わない。」


「そして記憶に閉じ込められたりしない。」


ここ数日間動画をアップロードできず申し訳ありませんでした。最終調整がいくつか残っていたためです。楽しんでいただければ幸いです。ありがとうございました!

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