悪魔の狼
暗闇。彼の目は閉じたままで、まるで開けたくないかのようだった。自分がいるべきではない場所にいるような気がした。ついに、湿った土と金属が混ざり合った鋭い香りが彼の嗅覚を満たした。
既に空高く昇った満月の光が彼の目を打ち、無理やり開かせた。彼が最初に見たのは、記憶にあるような温かいきらめきではなかった。むしろ、周囲の木々の、背丈の高い不気味な影だった。
ここはどこだ? 少なくとも、それが彼の言いたかったことだった。しかし悲しいことに、彼の声は喉に詰まっているように感じられた。彼の喉から出てきたのは、かすかで、掠れた、不明瞭な小さな遠吠えだけだった。何だこれ?……何が起こったんだ?
全身に痛みが這い、傷だらけだった。彼の毛皮は血と泥で濡れていた。何が起こったのか思い出せなかった。さらに悪いことに、自分が誰なのかさえおそらく分かっていなかった。
痛い……
その生き物は四つん這いで立ち上がろうとした。よろめきながら近くの水たまりに向かって歩く彼の足取りには、見慣れない感覚があった。彼の鋭い金色の瞳は、濁った水の表面に映る自分の姿をじっと見つめていた。
小さな黒い毛並みのオオカミに、鋭い金色の瞳がはっきりと彼の視線に映っていた。まだ完全には生え揃っていない鋭い歯、そしてまっすぐに立ったとがった耳。彼の体は痩せ細っており、何日も食事をしていないかのようだった。
「これが……俺なのか?」彼は首を傾げながら考えた。
彼の視線は虚ろだった。何が起こっているのか全く理解できなかった。彼の記憶はとても曖昧だった。しかしなぜか、彼の胸は虚ろに感じられた。何かが彼の内側で欠けているように感じられた。
あの女は……どこにいるんだ? 彼は周りを見回し、突然記憶に現れた女性のかすかな気配を探そうとした。しかし、冷たく湿った暗い森の中では何も見つからなかった。
何も見つからないと悟り、彼は再び座り込んだ。無言で、一言も発さずに。
あれは……ただの夢だったのか? でも、とても……現実に感じられた。あの女は一体誰なんだ?
彼はうつむき、足元の濡れた地面を見つめた。ちょうどその時、彼の体内から何かがゴロゴロと鳴った。頭の中の声ではなく、本物の音――彼のお腹が鳴っていたのだ。
ちっ、自分が誰かも分からないのに、生き残らなきゃいけないってことだけは分かっている。
彼の頭は今や、腹の空腹を満たしたいという欲求だけで満たされていた。彼は遠くを見つめ、鼻の穴を広げ、まるで遠くの何かの匂いを嗅いでいるかのようだった。
何か腹に入るものを見つけられますように。
それから彼は歩き出した。ぬかるんだ森の床をよろめきながら、空腹を満たしてくれるかもしれない何かを探して。彼は野生の本能に導かれ、空っぽの腹に詰め込む食べ物を見つけさせた。
ズレッ……ズレッ……
道すがら、彼は硬直して疲れた足を引きずり続けた。彼の耳は信じられないほど鋭く感じられ、まるで森の中のあらゆる音がその中に入ってくるかのようだった。同様に、彼の鼻は森の中の全てを嗅ぎ分けることができた。
しばらくして、彼はようやく巨大な鳥の死骸に到着した。既に少し腐敗が始まっている。
嫌悪感を感じたが、空腹の衝動が彼にその死骸を受け入れさせた。彼はゆっくりと近づき、それから不完全な牙で柔らかい肉を引き裂き始めた。
最初の一口はとても苦くて刺激的だったが、彼は無理やりその肉を口に入れた。こんな時に食べ物を選り好みしている暇はなかった。
ズレッ……ズレッ……
二、三口食べると、その味に慣れ始めた。悪くない。これで少なくともエネルギーは補給できる。
腹がある程度満たされると、彼の頭はより明晰になった。彼は好奇心旺盛にその巨大な鳥の周りを回り、ちらりと見た。
俺はどんな生き物を食べているんだ? こんなに大きな鳥は見たことがない気がする。
彼のとがった耳が高くピンと立った。何かかすかなものが彼に近づいていた。彼の毛皮も逆立ち、近づく危険を警告しているかのようだった。彼の目は動き、周囲を注意深く観察し、それから彼はその場所から全力で走り去った。
彼は全力で走り、地面から突き出た木の根を全てかわした。発達途中の小さな脚で、あらゆる障害を乗り越えた。時折、彼の爪は滑りやすい枝で滑った。
彼の耳は、背後から追いかけてきたあのカサカサという音をもう聞かなくなった。彼はペースを落とし、勝ち誇ったようにニヤリとした。
「もう大丈夫そうだ。」彼は後ろをちらりと見ながら考えた。
彼は安堵の息をついた。しかしそれはつかの間だった。彼の本能が何か悪いことを感知した。五感全てを研ぎ澄ませようとしたが、それでも近くに何も感知できなかった。しかしその嫌な感じは彼を悩ませ続けた。
「グルルル。」彼は警戒心に満ちてゆっくりと歩きながら、警告として低く唸った。
偶然にも目の前の水たまりを見下ろした時、彼の目は見開かれた。
シャアアッ!
突然、鋭い角を持つ巨大な蛇が高い木の上から襲いかかった。その口は大きく開き、鋭い牙を見せつけ、目の前の獲物を奪おうとしていた。
幸運なことに、彼はすぐに後方へ飛び退いたので、蛇は空っぽの地面を打つだけだった。
彼は考え直す間もなく、すぐに自分の小さな足をできるだけ速く駆り立てて、自分を襲う蛇から逃げた。振り返る必要はない。ただ走るだけだ!
しかし蛇は諦めなかった。蛇はすぐに立ち上がり、地面を覆う木々の影の下を素早く這いながら、彼を追いかけた。
悲しいことに、自然は彼の味方ではなかったようだ。彼の足元のぬかるんだ地面は、しっかりと地面を捉えることさえできない彼の小さな脚には滑りすぎだった。一方、それは蛇にとっては有利に働き、素早く這うことを可能にした。
短時間のうちに、彼ら間の距離は大幅に縮まった。あと少しで、彼の小さな体は蛇の餌食になるだろう。
彼の心臓は激しくドキドキし、息は荒く、頭は現在の緊急事態からの脱出方法を探してフル回転した。彼の目は森全体を見渡し、生き残るチャンスを与えてくれるかもしれない何かを見つけようとした。
くそっ! このままじゃ死ぬ!
シュルルッ!
突然緑色の液体が投げられ、彼の目の前に落ちた。彼は危険を感知し、間一髪で止まった。案の定、その液体に触れた途端、目の前の草はすぐに溶けた。熱い蒸気が空気中に広がった。
彼は信じられないというように目を見開いた。蛇の毒か?
ほんの数秒止まっただけだったが、蛇は既に背後から彼を襲おうとしていた。
くそっ! 時間がない!
しかしその時、巨大なムカデが突然現れ、蛇の首に襲いかかり、それを真っ二つに切断した。切り離された蛇の首から血が噴き出した。
彼は目の前の恐ろしい光景に目を見開いた。しかし、ムカデの鋭い視線を感じると、すぐに我に返った。ムカデの目は血のように赤く、捕まえたばかりの蛇ではその殺戮欲を満たすのに十分ではないかのようだった。
彼が走り出そうとしたまさにその時、ムカデは輝く鋭い牙で彼の後ろ足を切りつけ、彼は再び地面に倒れ込んだ。
ムカデは凶暴な笑みを浮かべながら顔を近づけた。その怪物は小さな獲物を嬲るのを楽しんでいた。その体は獲物の周りにきつく巻き付き、長い脚が彼の柔らかい毛皮を引っ掻いた。
「アオォォン……」彼は助けを求めて遠吠えしたが、誰も耳を貸さなかった。
彼の遠吠えは哀悼の叫びのようで、それは無力な獲物を嬲るムカデの欲求をさらに高めるだけだった。彼の体はムカデの鋭い牙による切り傷で覆われていた。
彼が諦めかけようとしたその時、突然女性が彼の記憶の中に現れた。その顔はかすかだったが、それがどういうわけか彼の生き残ろうとする精神を再び燃え上がらせた。
あの顔……辛い。でも……俺は……諦められない。
ムカデが彼の頭を噛もうとしたまさにその瞬間、彼はすぐに自分の顎をできるだけ大きく開き、それから飛びかかり、ありったけの力でその左側の首に噛みついた。
「グォォ!」
「シュアアアア!」
ムカデは苦痛の叫びを上げた。その生き物は自分の首に食い込んだ牙を振りほどこうと、ありったけの力で頭を振った。しかし無駄だった。ムカデの首への彼の噛みつきは強く、揺るぎなかった。
その後、彼は容赦なくその首を引き裂いた。傷口からは血が大量に噴き出し、ムカデはぐったりとして、ついに地面に倒れ込んだ。ほどなくして、ムカデはついに重い最後の息を引き取った。
俺は……生き残った。
彼は顔を上げ、頭上に浮かぶ三日月をぼんやりと見つめた。彼の胸は、消えない虚ろさで痛んだ。
あの女は一体誰なんだ? なぜ彼女のことを考えずにいられないんだ?
あの女性の姿が再び突然彼の記憶に現れた。彼に生き残る意志を与えた誰か。どういうわけか、彼の胸に温もりと苦しみの両方をもたらす姿。
無意識のうちに、彼の遠吠えが響き、夜の静寂を打ち砕いた。疑問符で満ちた憧れで彼の心の奥深くを揺さぶる、陰鬱な交響曲。
「アオォォォン。」
たとえ俺が怪物でも……生き残る。少なくとも……彼女に会えるまでは。




