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白月のエルフ  作者: 鳥部 本太郎
第三章 境界の潮風

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32.島抜け大作戦_5


「リグ……動くなよ。今、縄を切る」


 振り返ると、サリーがナイフを構え、リグの腕を縛る縄を切り始めていた。


「サリー、いつの間に!? そのナイフは?」


「さっきの兵士が持ってたんだ。逃げる時に足を引っかけて奪った」


「えぇ!? お前凄いな!」


 最後の一本が切れ、リグの腕が自由になる。


「ナイスですサリー! こちらもお願いします!」

 バンビが声を上げた。


 四人が縄を解かれた頃、橋の反対側の門がぎぎ……と開いた。


 島の外へ出ていたはずのトマスが戻って来たのだ。


 だが──荷馬車の姿はなく、トマスは一人でふらふらと歩いている。

 腹からは大量の血が流れ、明らかに様子がおかしい。


「た、助けてくれ……」


 その瞬間、門の扉に何かが凄まじい勢いで突っ込んだ。


 ――バキィッ!!


 扉は吹き飛び、その破片に直撃したトマスは側面の石壁へ叩きつけられた。


「な、なんだあれ……!」

 リグは目を見開く。


 門を破ったのは、牛のような生き物だった。

 ただし異様に長い二本の角が前方へ突き出し、生え際は赤く膨張している。

 前脚の付け根も同様に異常な膨張を見せていた。


 さらに、門の向こうには狼のような影が数匹。

 ただの狼ではない。目は青白く発光し、顔を動かす度に残像が尾を引く。

 後脚も牛と同じく赤く膨張していた。


 そのうちの一匹は、倒れた馬の喉元に食らいついている。


「そいつらは異獣だ! お前ら、こっちへ走れ!」

 アランが怒号を上げる。


「い、異獣……?  あれが……」

 バンビが息を呑む。


 次の瞬間、牛の異獣が橋の上を猛スピードで突進してきた。


「引いたらダメだ! イヴァが危ない! ここで止めるぞ!」

 リグが叫ぶ。


「了解、止めてみる!」

 ディンは橋の中央に構える。


 牛の異獣はそのまま速度を落とさず、ディンへ突っ込んだ。


「おりゃあッ!!」


 踵で石床が音を立てて割れる程の衝撃。それでもディンはしっかりと異獣の角の根本を掴んで踏みとどまり──異獣の突進が止まった。


「いいぞ、ディン!」

 リグはディンの背を蹴って跳躍し、拳を高く振り上げる。


「らあああっ!!」


 拳が眉間に叩き込まれ、「ドゴォ!!」という轟音が響く。


 牛の異獣は大きくよろめき──巨体を支えきれず、ズゥンと地面に崩れ落ちた。


「一発かよ、すっげぇなリグ!」

 サリーが叫ぶ。だが次の瞬間、狼の異獣がサリーへ跳びかかってきた。


 サリーは腰のトンカチを引き抜く。


 狼は膨張した後脚で地を蹴り、驚異的な速度で迫る。


「速っ!? なんだよコイツら!」


 サリーは渾身の力でトンカチを振り抜き、横っ面へ叩きつけた。

 異獣は空中で回転し、そのまま橋の外へと落ちていった。


「サリー! すいません、石の欠片を下さい!」

 後方からバンビの声。


「石の欠片? あぁ、了解!」

 サリーは石壁へトンカチを叩きつけ、石片が飛び散る。


 バンビは両手を翳し、石片をサイコキネシスで空中に静止させた。


 次の瞬間、無数の石片が狼たちへ襲いかかった。

 石片が肉へ突き刺さり、「ギャウッ!」と悲鳴を上げながら異獣は倒れていく。


「な、なんなんだ……あの子供達は……」

 リンドウは口を開けたまま呆然とする。


「やるじゃねぇかお前ら!! まだ来るぞ!」

 アランがリグ達に駆け寄った。


「いいか! 異獣の赤い膨張部分は“進化点”でもあり“弱点”でもある! 狙え!」


「「はい!!」」


 リグ達は即座に応じる。


 狼の異獣は林から次々と湧き出し、橋へと雪崩れ込んでくる。

 さらに頭上では、大鳥の姿をした異獣が旋回し、急降下してきた。


 ティオは門の見張り台へ駆け上がり、反対側のアアラに叫ぶ。


「狩人! 空からも来るよ! 狙える!?」


「任せな!」


 アアラの矢が放たれ、大鳥の赤い胸部へ突き刺さる。

 異獣は断末魔を上げ、峡谷の底へと消えた。


「雷よ! 落ちろ!!」

 ティオが詠唱すると、天空から雷光が降り、大鳥を黒焦げにした。


「おら次ぃ! どんと来な!」

 アアラは次々と矢を放つ。


 アアラの矢とティオの魔術により、空からの異獣は瞬く間に撃ち落とされていった。


「ええ……凄い……みんな、こんなに強いの……?」

 イヴァは呆然とその光景を見つめていた。


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