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刃血鬼  作者: Omsick
六章 [四柱]血戦
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寡兵と一人

「そもそもさ…吸血鬼だって牙から吸うじゃん。本来血って口から飲むものじゃないんだよ」

(牙から吸うものでもないだろ…)

 口から出かけた言葉を飲み込む。人間からすれば「血は飲むものではない」というのは当然だが、刃血鬼は人間ではない以上、その「当然」は通用しない。

「この治安の悪い刃血鬼世界の中でも特に荒んだ人たちとか、あとはヤクザみたいなのくらいしか血液がぶ飲みはしないよ。ってか、そんなに量いるもんじゃないし。ワインをビンからラッパ飲みする人間見たことある?」

「ワインにしては下品な飲み方ですね」

「そうそう。野蛮なのがいっぱい出てくるドラクーラでも、ちゃんと牙から飲んでたでしょ?あの映画、人外側からしても解像度高いと思うんだよね」

 系糸はドラクーラという単語を聞き、どこかが熱くなるのを感じた。マイナーな名作のファン同士が出会った際の、共鳴じみた現象である。以前心做に紹介した際は明確に心拍数の上昇を感じ取れていたのだが、今回はどの部位に何が起きたのかを正確には理解できなかった。

「そういえば、血走さんはどのシリーズが好きなんですか?」

「私は…初代と4かな。展開早いの好きなんだよね」

「なら4は納得ですけど、初代は?あれ2時間半ありますよね?」

「初代はアクションのスピード感がいいんだ。3とかの、その場で攻撃を凌ぐみたいなのもいいんだけど、初代は走りながらだったり、カメラワークで速く見せたりとか。特にジョージがクラウスから逃げるシーンのパルクールは本当に!」

 系糸の目が輝く。

(初代好きな人はたびたび見かけるけど、そのシーンが好きな人は滅多にいない!間違いない、血走さんは本物の…)

「…ちなみに、推しとかっていますか?」

「いるにはいるけど、あの作品ポンポン死ぬから、本気で推したら悲しくなりそうなんだよね。まぁ…ZEBRAかな」

「(渋っ!!)」

「心の声剥き出しじゃん。まぁ一般的じゃないとは思うけど」

(本物のファンであることが確定した!でも渋い!ZEBRA強いしカッコいいけど、メインで活躍すると言うよりは裏で手を回してる縁の下の力持ちポジじゃん。作品ちゃんと見てないとこのチョイスはありえない…あ、4が好きなのって、初めてZEBRAのまともな戦闘シーンが解禁されたっていうのもあるのか?)

「さてと…ドラクーラの話は一旦終わり。この戦いに勝ってから、思う存分見ようじゃんか」

「死亡フラグにならないといいんですけどね」

「赤亡くんが言わないでくれる?」

 ―――

 再び一室に集まり、血走が話し始めた。

「いい?作戦実行に必要なのは人員、これは[調査隊]の参戦でどうにかなる。次に時間。私が一点にリングをギチギチに凝縮して銀剣を撃つんだけど、当然時間がかかる。その間の足止めが欲しい」

「あの化け物を、このメンツで足止め?ふざけてんのか?」

 療病が口を挟むが、血走はすぐに反論する。

「話聞いてた?[調査隊]参加するって言ったじゃん」

「調査と研究がメインだろ?お勉強ばっかしてる奴らに戦闘が務まるかねぇ…」

「戦わないどころか外にすら出ない療病は黙ってて」

「その外にすら出ない奴がいなけりゃお前、百回は死んでるぜ?」

「…で、足止めの話なんだけど…」

「お?逃げんのか?逃げんのかァ?」

 ニヤニヤしながら顔を覗き込む療病を引っ叩いて蹴りつけ、血走はそのまま話を続けた。

「この中で一番強いのは確実に私。でも私はさっき言った通り溜めで動けない」

「あらかじめ設置するってのはできねえのか?」

 収川が訊いた。

「出来ない。通常時のリングと特殊刃技のリングは別物だし、あれ維持するのすーごい大変なんだから」

「じゃ、先回りして作るのは…」

 今度は系糸が。

「今立ててるのはそれだよ。[調査隊]のメンバーを大量に使って沸血を一斉発動させる。そしたら私が準備を始めるから、他の皆は沸血を発動せずに近づいて、交河さんと収川さんは牽制。そして赤亡くんには、シンジュの拘束を頼みたい」

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