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刃血鬼  作者: Omsick
六章 [四柱]血戦
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「それ以外に理由なんている?」

「…っ…」

「療病、面貸して」

 血走が、今までにないほどドスの効いた声とともに、療病の方を掴み…殴り飛ばした。

()ってえな…文句あっかよ!?口外無用って言われたけど知るか!言ってやるよ系糸、てめえが死んだら怨野が[赤連]の関連人物を全員消しにかかってくるんだ!」

「え…?」

 系糸が目を見開いた。

「いや、え?怨野が僕を危険な方に追いやったのに、僕が危険に遭ったら関係者を皆殺し?何がしたいんだ?」

「そんなん私も、多分団長も知らないよ。意味がわからないのは大いに賛同するけどさ…って問題はそこじゃなくて」

 血走は療病を睨みつけた。

「赤亡くんが負い目を感じないようにしてたのにさ。あんたもそれは聞いたはずでしょ?」

「だったら…」

 療病は、怒りを多分に含んだ疑惑の声を吐いた。

「だったらなんでこいつを戦わせたがる!?俺にはその神経がさっぱり理解出来ない!その無駄な思いやり精神は何なんだよ!」

「あんたが理解できてないとか知らない。私は私なりに赤亡くんを可愛がってたわけだけど、それとは別に赤亡くんの意思を尊重してるだけ。選択肢は与えたよ。問にしては酷かったけど」

 酔闇に叩きのめされた直後に問われた際の、系糸の回答。


 ――他の誰かじゃなく、僕自身の手で遂行するために。


「復讐を遂行するためには強くならなきゃいけない。赤亡くんが工鳴七に拉致されたのも、酔闇にボコボコにされたのも、要は強ければ起こり得なかった。運が悪いってのもあるだろうけど…」

 穏やかな声で述べた後、血走は療病の首を掴んだ。

「赤亡くんが一言「嫌だ」と言えば私達はそれ以上何もしないよ。望んでいるから尊重してるだけ。なのにあんたは自分のことばっか考えてさ…」

「だからさっきから言ってんだろ…なんでお前らはそこまで系糸に拘るんだ!」


「赤亡くんは[赤連]、そして罪狩りの一員。それ以外に理由なんている?」


「血走さん…」

 系糸の目が潤んだ。

〈話は済んだか?〉

「あーゴメン団長。ちょっと馬鹿を説教してて」

〈声は全て筒抜けだ…療病、私がいない以上、回復役は君一人。血走と相性が悪いのは分かるが、少しだけ我慢してくれ〉

「チッ…あぁ分かったよ、金払いの良い“お得意様”からの頼みだ」

「言い方がいちいち癪に障るね。もう一回殴り飛ばしていい?」

「あの、そろそろどうするか決めないと…」

 交河が小さいままの声で諭すように言う。

「んー…そうだね。とりあえず今私達疲労困憊だし、ボトル一杯分くらいの血液が欲しいかな。療病、このマンションって何人くらい住んでる?」

「ざっと50人程度。全部屋埋まってるわけじゃねえが、俺が食うに困らない程度の人数はいる」

「まさかと思うけど肉とか食べてないよね?」

「…た、たまに一欠片だけ貰うことが」

「一発追加するね」


 マンションの一階の端に、正体不明の木の根が生えていたことを知る者は、まだ誰もいなかった。ただ一人を除いては。

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