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刃血鬼  作者: Omsick
五章 [死生朱雀]
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撤退戦:1

 刹那、彼らは一斉に“敗北”の二文字を思い浮かべていた。

草木の黙示録ブルームジアポカリプス

「意味わかんねえ刃術名付けやがって!アポカリプスだと?」

「この力を上手く使えば世界を終わらせる事だって出来る。意味が分からないのは君の教養不足だ」

 シンジュは血刃から木の幹を生やし、上に掲げた。

「木槌…だとインパクトに欠けるな、鉄槌でいいか。それじゃあ今から君たちに鉄槌を下す」

 シンジュはそう言うと、空高く伸びた一本筋の、大黒柱の如き木を思い切り振り下ろした。ただ、振り下ろした。それ()()

(まずい、衝撃波が…!)

 木の先端が地面に衝突し、遠心力によって生み出された膨大なパワーが爆発。衝突地点を爆心地とし、地が裂けていく。

(どうする!?系糸はもう戦闘には使えない!防御役も死んだ!つかこの共同作戦において単独戦闘力トップの血走が、こいつに為す術もなくやられた時点で俺等の勝ちは無い!)

 衝突から衝撃波が走るまでの僅かな間に、収川は脳内で思考を重ねる。

(どうすんだあのバカ!あんな血刃1本あったところで状況は何も変わらねえだろ!自害でもするつもりか!?)

 無数の思案も虚しく、収川らは横のビルに叩きつけられた。

「[死生朱雀]用の連合軍で僕に勝てると思っていたのかい?心做がいない今、この地方の罪狩り全員が束になっても僕には敵わない…って、何これ」

 直後、シンジュの体を血刃が貫いた。刺突によって貫かれたのではなく、まるで弾丸のように背から腹へと突き抜けていったのだ。

「…」

 シンジュが振り向いたその視線の先、遥か遠くまで何重にも重ねられたリングの奥に見えたのは。

「またかい、血走」

「まただよ、シンジュ」

 他でもない、血走凶だった。


「一応、今私総指揮官なんだよ。ここで死ぬと困るんだよね、私も皆も」

「君一人出てきたところで、状態は何一つ変わらない」

「そりゃそうだよ。この「負け」が覆ることはない。だからここからは」

「ああ、そういうことか」

「「撤退戦だ」」

 速走加輪はまだ発動中。血走は、残像すら残らないほどのスピードでシンジュに突っ込んだ。

「はぁ?少しは学べよ…なんでバカの一つ覚えみたいに――」

 シンジュは血刃を振るうが、真上に躱される。

「…空中戦が出来ないのは厄介だけど、こっちは対空砲があるんだ」

 伸ばした木から枝が伸びた。少なくとも、この大通り全域を覆えるくらいに。

「そんなのあり?」

 血走は空中で驚きつつ、着実に準備を進めていた。

(あと少し…あと少し耐えれば、助けなきゃいけない人を助けられる!)

 血走は今、たった一人だった。

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