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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
25 監獄!災厄!大魔導編!
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599 goodbye 大魔導

「な、何をッ!?何をするのじゃ、エミーッ!?」


 私の【黒触手】に持ちあげられ、ジタバタと無駄に慌てながら先生が叫ぶ。

 大きな胸、少ない布地、そして私の触手があわさり、なんか凄くエロい感じになっているけど、詳細な描写は省く!


「『何をする』?簡単な話」


 私は転移魔法陣を避けふわりと床に着地すると、触手を動かして先生を運び始めた。

 ゆっくり、慎重にね。

 人体は脆いから。

 魔導義体も、極端に頑丈であるというわけでは、なさそうだし。

 気を抜くとすぐに潰しちゃうから。


 運ぶ先に、あるのは。

 紫色の光を放出し続ける、転移魔法陣。

 ......うん。


「転移するのは、私じゃない。先生で、あるべき」


 一人しか、転移できないのならば。

 私はここに、残るから。




 ドオンッ!!


 この制御室の出入り口の扉の奥から、破壊音が響いた。

 またしても、汚泥に隔壁が破られたのだ。

 その音、大分こちらに近づいてきた。

 あれがこの部屋に雪崩れこんでくるのも、時間の問題だ。




「それは、いかんぞエミー!馬鹿なことを、言うのではないのじゃッ!」


「馬鹿なこと、言っているのは、先生」


 空中でジタバタ暴れながら、先生は叫ぶ。

 でもね、私の決意は固いよ。


「食糧食べたのも、魔石壊したのも、全部私。全部、私が悪い。きっと、あの汚泥が湧いたのも、私のせい。私は呪い子だから」


「......!!それは」


「だから、私が残る。先生は、逃げて」


「違うのじゃ、エミーッ!!おそらく、あの汚泥はッ......!!」




 ドオンッ!!


 またしても隔壁が破られた音が響く。

 部屋が、ビリビリと震える。

 もはや、一刻の猶予もなし!


「じゃあね、先生。一月一緒にいて......楽しかった」


 私は先生を転移魔法陣の上に浮かばせると。

 先生が痛くないように、そっと......触手をほどいた。


 トンと、先生の体が魔法陣の上に落ちる。

 魔法陣から発せられる光が強くなり、部屋中が紫色に染まる!




「“またね”!」




 私からの、最後のお別れの言葉を聞いて。

 先生は驚いて、目を丸くして。

 ......そうしてから、紫色の光に包まれて。


 次の瞬間には、この部屋から姿を消した。




「............」


 制御室の中が、再び薄暗くなる。

 魔法陣の光はすっかり消えて、辺りを照らすのは頼りない非常灯。


 試しに転移魔法陣の上に立ってみるけど、もはや何も起こらない。

 この魔法陣は、きっともう壊れちゃったんだろう。


 ......とにかくこれで、いつも通り。

 私は、独りだ。


<私だって、いますーーーッ!!>


 えへへ、ごめんねオマケ様。

 わかってるって。




 ドオオンッ!!


 ......さてさて、うるさいね。

 また、隔壁が破られた。

 多分、次だ。

 次の隔壁が、最後の砦。

 次が破られれば、汚泥はこの部屋に入ってくる。


<さて、ここからどうするんですか、エミー?>


 オマケ様が、私にそう問いかける。

 ......あれ、全然慌てていないね、オマケ様?


<だってエミー、マジュローグに“またね”って言ってましたし。死ぬ気は、ないのでしょう?>


 そりゃあ、もちろん。

 私にとって一番大切な物。

 それは、私の命。


 助かる見込みがないのなら、私は先生の意思を尊重して、さっき転移していたよ。


 ......多分。


<では、どのようにして汚泥の包囲から、逃れましょうか>


 それは、簡単なことだよ、オマケ様。

 実は......途中でこの方法には、気づいていたんだ。

 その時点でやったら先生が死ぬから、やらなかったけど。


 大丈夫、大丈夫。


 いつも通り、やるだけ。


<......『いつも通り』、とは?>




 訝し気に疑問を呈するオマケ様の言葉を聞き流しながら、私は再度【黒触手】を、残った巨大魔石の欠片に突き刺した。

 そして、勢いよく魔力を吸う。

 極力、今のうちに、できる限り、魔力を補充しておく。


「ごふ」


 口から血があふれる。


<エミー!無理をしないでください!>


 ごめんね、オマケ様。

 今は少しでも、魔力を増やしておきたいんだ。


 ......仄かに黄色く輝いていた巨大魔石の欠片の光が、急速に消え去っていく。

 転移にも、大分魔力が使われたらしい。

 現在、ほとんどこの魔石の中に、魔力は残っていなかったみたい。


 魔力を吸いつくし、魔石をすっからかんにしたところで、【黒触手】を引き抜いて、消す。




 ドオオオオオンッ!!!




 と、ここで。

 最後の隔壁が、破られた。

 タイムリミットだ!


 制御室の扉を吹き飛ばし、濁流のような勢いで、汚泥が室内に侵入してきた!


<で、で、でッ!?結局何を、どうするつもりですかエミーッ!?>


 あのね、オマケ様。

 私がここから逃げることを阻んでいたのは、結局のところ、この汚泥ではないんだよ。


<はあッ!?>


 私がこのデレネーゾ大監獄から逃げられなかったのは、結局のところ、デレネーゾ大監獄のせい。

 デレネーゾ大監獄がこの施設の壁だの床だのに施していた、今の私でも破壊不可能な、結界処置のせいだ。


 だけど今、この施設の結界は、すっかり消え去っている。


<ま、まさかッ!?つまりッ!!>


 そう、つまりッ!!


 この、デレネーゾ大監獄ッ!!




 今なら強行突破で......逃げることが可能ッ!!




「らあああああーーーーーーッ!!」




 私は、魔力を使って自らの足を動かし......私の方へと流れこんでくる汚泥に向かって駆けだした!


 次いで、水泳の飛びこみのように、跳躍!


 そのまま空中で体を捻り、ドリルのようにくるくると高速回転をしながら......全身を【黒触手】で覆い......円錐のような形状を作り出した!


 そして!


 後方から魔力をジェット噴射!


 汚泥だの、大監獄の壁だのを全てぶち破り、外に出るための......突撃を開始した!




「脱獄ッ!!だあああああーーーーーーッ!!!」

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― 新着の感想 ―
[良い点]  ヒャッホーーーー!!なエスケイプっぷり!サイコーですぜエミーさん♪ヽ(´▽`)/まさか当初予定していた「ぶち抜いて、推して参らん!」を敢行するとは( ᐛ )وやったぜ☆ [気になる点]…
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