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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
25 監獄!災厄!大魔導編!
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593 what I have to do to 生存

 制御室内に、沈黙が満ちる。

 時折聞こえてくるのは、部屋の中に設置された良く分からない機械の、コココ、という小さな駆動音のみ。


 食糧不足。


 この問題を解決するアイデアは、思い浮かばない。

 時間だけが、過ぎていく......。




<あ!この部屋の床材は、食べられませんか?>




 ここで、このいたたまれない沈黙に耐えきれず、オマケ様が思いつきを口にした!


 よっしゃ、それだ!

 早速しゃがんで、床をひっかいてみる。


 でも、だめ。


 この部屋の床も......おそらく壁も天井も、私が入れられていた牢と同じく、結界で守られている。




「削って食べることは、できない......か」


「当たり前なのじゃーーーッ!!」




 私の冷静な分析に、マジュローグはイライラと床を何度も蹴りながら、つっこみを放った!


 しかし、何度も窮地に陥り、その都度乗り越えてきた私には、わかる。

 こういう時こそ、冷静にならなくちゃ、いけない。


 だから、キョロキョロと辺りを見回す。

 状況を打破する何かを、探す!


 すると、ふと......先ほどマジュローグが開けた木箱が目についた。

 中に入っているのは......黄色い魔石......。




「これだ......!」


 私は木箱に駆け寄り、その黄色い魔石を取り出して掲げると、勢いよくマジュローグを振り返って、叫んだ!




「ねえ!ダーケーヤロン魔石って、食べちゃだめ!?」


「何言ってんのじゃーーーッ!?」


 マジュローグは慌てて私に駆け寄り、魔石を無理やり奪い取ると、大声で叫び返した!


「ダメに決まっておるのじゃ!石は食べ物ではないのじゃ!お腹を壊すのじゃーーーッ!!」


「大丈夫。私のお腹、壊れたことない」


「何そのお腹に対する篤き信頼ッ!?しかし、よしんばお腹が壊れんとしても、ダメなのじゃ!あれは転移魔法陣を描くのに使うのじゃ!数は減らせないのじゃーーーッ!!」


「む......」


 さすがにそう言われると、この魔石を食べるわけには、いかない。

 だからマジュローグ......そんな警戒しなくても、良いんだよ?

 大丈夫、大丈夫、食べないから......。

 あ、箱に鍵かけやがった。




<でも......ならば、どうしましょうか>


 キョロキョロと、再度辺りを見回す。

 もう、こうなるとさ。

 目につくのは、後一つなんだよ。

 ......一応、聞いてみる。




「じゃあ、部屋の真ん中にある、あのでっかい魔石は?」


「もっとダメなのじゃ!あれはこの大監獄の、主たるエネルギー源なのじゃ!無くなると、床や壁を保護している結界が消え、汚泥がすぐさま雪崩れこんでくるのじゃーーーッ!!」


 それは......ダメだね。


<ダメですね......>




 もはや、八方ふさがりだ。

 全く、アイデアが浮かばない。

 さすがに、落ちこむ。


「......ごめんなさい」


 思わず、謝罪が口に出る。


「マジュローグも、困るよね?食べる物、無かったら......」


 ことは、私一人の問題ではないからだ。

 私のせいで、マジュローグも飢えて死ぬ。

 それはちょっと......申し訳がなさすぎる。




 でも。


「あーーー......」


 私のマジュローグへの謝罪に対する反応は、ちょっと予想外なものだった。


 マジュローグはまずキョトンとしてから、すぐにバツの悪そうな顔をして首を横に振り......。




「いや、ワシはのう......良いのじゃ。食事をとらずとも、生きてゆけるからのう......」


 ......と。


 ちょっと、とんでもないことを、言った!




「え!?」


「もはやこの身は、魔導義体......いわば人形。一応食事は取れるようになってはおるが、今のワシはリビングドールとでも言うべき、魔法生命体じゃ。精霊などの、お仲間のようなものじゃの。故に......」


 そう言うとマジュローグは、制御室中央の巨大魔石へおもむろに近づくと、それに手のひらを当てた。

 そして。


「【アブソープション】」


 何やら一言、つぶやいた。

 間違いなくそれは、異能......マジュローグが言う所の魔導の行使!

 私はすぐさま【魔力視】を発動し、その様を観察した。

 そして、驚く。


 巨大魔石から、魔力が......凄い勢いで、マジュローグの中に流れこんでいる!


「魔力を......吸ってる?」


「......エミーちゃん、わかるんじゃのう......そう、その通り。ワシはこのように、少し魔力を吸えば生きてゆける。食事も可能じゃが、それはもはやワシにとって、生きるために必須の行動ではないのじゃ」


「......あれ、でもそのでっかいの、食べちゃダメなんじゃ?」


「食べて減らすのは、ダメじゃ。しかし多少魔力を吸う程度なら、問題はない。常に大地の魔力が供給され続けるからのう。いわばこれは、魔力を蓄えるための、ため池のようなものなのじゃからのう」


<つまり、常に充電され続ける乾電池が、この巨大魔石であると。物理的にかじって削るのはご法度でも、魔力を吸う程度なら、問題はないのですね>


 オマケ様が私に理解しやすいように、マジュローグの言葉を言い換えてくれた。




 ......ここで。


 私は、一つの事実に気づく。


 マジュローグはさっきから、困って怒ったような態度をとっているけど。


 それは、自分のためじゃなくて。




 ......私のためだったって、こと?




<まあ、自分は食べなくても良い、というのならば。そういうことなのでしょう>


 オマケ様は私の考えに同意して、でもおもしろくなさそうな、拗ねたような声をだした。




「マジュローグは......」




 私は......つい。




 思うがままに、口を動かしていた。




「優しいね」




 エロジジイなのに。




「エロジジイなのに」




「一言余計なのじゃ......」


 マジュローグは、私の賞賛に肩を落としてため息をついた。




<でも、優しさではお腹は膨れませんよ。そんな優しさに、意味はありませんね>


 オマケ様は私の中で上昇したマジュローグへの評価に嫉妬して、悪態をついた。

 たまに本当に、大人げなくなるよね、オマケ様は!?


 でもね、オマケ様。


<なんでしょう?>


 さっきのマジュローグの話なんだけどさ。

 あれを聞いていて、『マジュローグは優しい』以外にもさ。

 私、思ったことがあるんだ。

 それはつまり。




「私も、魔力を吸えば、死なないんじゃない?」




 ......ということだ。

 これまで、私はどうしてもお腹が空いて、石をガリガリ食べていたことが、割とある。

 そして、普通なら体を壊すだけのそんな行動も、私にとっては問題にならない。

 何故なら、その石は、私のお腹の中で“なんちゃら分解”されて、吸収されてしまうから。

 ......だよね、オマケ様?


<“魔素分解”です、エミー。しかし言っていることは、正しいです。そしてそれが故にあなたは、石だろうが砂だろうが......お腹の中に入れる物さえあれば、生きているのです>


 その“魔素分解”って、魔力を吸うことと、なんか違いはある?

 同じなんじゃない?

 私、これまでも、魔力をエネルギー源にして、生き残ってきたんじゃない?


<............厳密に言えば、“魔素分解”は先ほどマジュローグが行った【アブソープション】......いわば“魔力吸収”とは、異なるものなのですが......ええ、そうですね、『魔力を吸えば、死なない』......それは確かに、事実です>




「『魔力を吸えば、死なない』......むむ、ふむ。例え人間でも、理論上は......確かに、そうかもしれないのじゃ......」


 オマケ様の解説にかぶせるように、マジュローグも顎に手を当て、考えながら語り始めた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 床や壁の結界壊れるなら泥が迫ってきてない側の壁壊して脱出すればいいじゃん
[良い点]  (´⊙ω⊙`)やっぱサイボーグみたいなもんだった魔導義体、そしてまたまたエミーさんが人外のステージを1段階上げそうな“魔力吸えたら大丈夫じゃね?”な発言(´Д` )誰かの感想で言ってたけ…
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