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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
25 監獄!災厄!大魔導編!
587/720

587 encounter with a 謎の女

 突如として、廊下の多分天井辺りに埋設されたスピーカーから響く、謎の声!


<この声は、一体!?>


 わからないこと、だらけだけど!

 もはや、躊躇する猶予なし!

 私は、謎の声の指示に従って......十字路を右に曲がった!

 すると、そこに待ち構えていたのは......!




 道を塞ぐようにしてこちらに押し寄せて来る......汚泥津波だった。




『あッ!ワシから見て、右だったのじゃ!本当は、左だったのじゃ!すまないのじゃ!カカカッ!』




「ざけんなッ!!」


 私は思いきり両足で踏ん張って、急ブレーキ!

 その状態から、天井に向かって跳躍!

 縦に半回転して方向転換し、次いで天井を蹴り!

 今度は、体を横に半回転!

 床に、着地!

 そして、正しい進路に向かって、頭から飛びこむ!

 背中のノズルから魔力をジェット噴射して、急加速!

 正しい横道に到達し、前転をしながら床に着地!

 その勢いのまま体勢を立て直し、再度走り始める!

 背後の十字路の交差点で二方向から押し寄せてきた汚泥津波が、もの凄い轟音を立てながらぶつかりあったのは、ちょうどそれと同時だった!


 危ねーーーーーーッ!!




『次は、その先の階段を、あがるのじゃ!』


 この謎の声には文句を言ってやりたいところだが、そんな余裕はない。

 汚泥は、既に私の方に向かっても、移動を開始している。

 とにかく、追いつかれるわけにはいかない!


「らッ!」


 見えてきた階段を、ぴょんと跳躍して登る!

 踊り場の壁を蹴って、今度は次の階へ!


『そして、次の丁字路を右に進むのじゃ!今度は、間違えてないぞい!』


 本当だろうね!?


<すみません、エミー!私がもっと、占神の異世界転生配信を良く視て、占いを学んでいれば、こんなことには......!>


 変な嘆き方をしている場合じゃないよ、オマケ様!


<そうですね......!なら、今の私にもできる、占いをします!......今日一番ラッキーな星座は、ゴドロンボ座です!!>


 いや、結局は占いに身を委ねることになるのは、嫌だよって話だよ!

 ってか、ゴドロンボって何!?

 私、この世界の星座、知らないよ!


<とある神代の英雄の妻の従兄の友人の弟の飼っていた、芋虫です!>


 そんな奴、星座にするんじゃねーーーーーーッ!!


<その全長たるや、おおよそ500キロメートル!>


 でかーーーーーーッ!?

 そりゃ、星座にもなるなーーーーーーッ!?


<......調子、出てきましたね、エミー!>


 ......まあ、多少は、余裕、出てきたかなッ!




 私とオマケ様は互いに軽口を言いあいながら、前に向かって走り始めた。

 でも後ろからは、轟々という音が再び近づいてきているのを感じる。

 汚泥が、階段を登りきったんだ。


 ちょうどそのくらいの時に、謎のアナウンスが予告していた、丁字路が見えてきた。

 私は壁を蹴って飛び跳ね、ナビゲートされた通り右方向へと進む。

 するとその先にしばらく続くのは、先ほどまでと変わらぬ、左右に無人の牢が点在する光景。


 でも。


「はあッ!?」


 私は思わず、怒気も露わに声を荒げてしまった。

 だって、その、進んだ先にあったのは。


 行き止まりの、壁だったんだから!


<背後から、汚泥津波が迫っています......もはや、引き返せません!>


 オマケ様も、悲鳴をあげる!




『カカカッ!案ずることはないのじゃ!速度を落とさず、そのまま行き止まりの壁に、突進するのじゃ!』


 しかし、アナウンスの声は、呑気に笑っている!


「ちッ......!」


 私は混乱したまま、指示に従い壁に向かって走り......拳を振りあげ、思いきりそれで、壁を殴りつけようとした!


 でも!




「......あれッ!?」


 勢い良く突き出された私の拳は、宙をきった。

 壁があるはずのそこには、実際には何もなく......私の体は、石壁をすっかり、“通り抜けて”いたんだ!


『カカカ......幻影なのじゃ!本当にこの大監獄は、小癪な真似をしかけてくるのう......』


 アナウンスの声は笑いながら......呆れたように言った。


『ともかく、ゴールは近いぞい!そのまままっすぐ行った先にある、扉じゃ!』


 そして続いて発せられたその言葉を聞いて気を取り直し、私は全速力で走る!


『むむ、さらに加速できるのか!?良いぞ良いぞ!汚泥には、おそらく幻影は効かないからのう!なるべく、距離をとってもらうことが肝要なのじゃ!そうすることで......』


 『そうすることで』、というアナウンスと同時に、パチーンという、何かボタンのような物を叩いた音が聞こえた。


 すると。




『隔壁を、落とすことができるからのう!カカカッ!』




 そう言って笑うアナウンスの声と、同時に。

 私の背後で、ドスンという、重々しい音が響いた。


 何事かと振り返ると、私の背後の廊下に重厚な金属製の壁が出現し、道を塞いでいる!

 それも、一枚じゃない。


 ドスン、ドスン、ドスンッ!


 そんな轟音を立てながら、次々にアナウンスが言う所の隔壁が、天井から落ちてくる。


<おそらく、この大監獄の石壁と同じ、結界的な措置を施された隔壁です!いかに災厄“幸福なる汚泥”コルマリャと言えど、これをすぐに突破するのは難しいはずです!>


 オマケ様が、喜びの声をあげる!

 私もほっと息を吐き、走る速度を緩めた......。

 でも。


『あッ!立ち止まったらダメなのじゃ!』


 ......どうやらまだ、休んじゃいけないらしい。

 何故かと、言えば。


 ドスン、ドスン、ドスン、ドスン、ドスン、ドスンッ!


 廊下を塞ぐ隔壁が落ちる場所は、どんどんこちらへと近づいてくる。

 ちらりと、上を見る。

 ちょうど、今私が立っている場所の真上にも、普通の天井のとは違う色の線が見える。

 あの線は、おそらく、隔壁。

 つまり、このままぼーーーっと、立っていれば。


<あの隔壁に、押し潰されてしまいます!>




「らあああああーーーーーーッ!!」


 私は最後の死力を振り絞って、走った!


 ドスン、ドスン、ドスン、ドスン、ドスン、ドスン、ドスン、ドスン、ドスンッ!


 近づいてくる!

 どんどん、隔壁が落ちる音が、近づいてくる!


『い、一旦、隔壁の展開を、止めるのじゃ......あッ、やべ』


 何!?

 最後の小声の『あッ、やべ』って、何!?

 そう、疑問に思った次の瞬間!




 ドドドドドドーーーッ!!




 隔壁の落下ペースが、逆に速くなり......そりゃもう、凄い音が、後ろから聞こえてきた!


『操作を間違ったのじゃ。ごめんなのじゃ』


「ざけんなーーーーーーッ!!」




 私は走った!

 走って、走って、走った!

 ぐううと、腹の虫が悲鳴をあげ始める!


<あ、見てくださいエミー!おそらくあの扉が、ゴールです!>


 オマケ様のそんな声を聞いて前を注視すると、そこにあるのは石造りの大監獄には実に不釣り合いな、なんとも近未来的な形状の扉だ。

 隙間から何やら黄色い光を漏らしていたその扉は、近くに誰もいないのにも関わらず......シュッという音と共に、勝手に開いた。

 自動扉だ!


『さあ、飛びこむのじゃーーー!!』


「らあああああーーーーーーッ!!」


 アナウンスに従い、私が頭からその扉の先の部屋に飛びこむのと、最後の隔壁が落ちてきたのは、ほぼ同時のことだった。




 ズザザザザザーーーーーーッ!




 私は疲れから受け身をとることもできず、うつぶせのまま、部屋の中央部分まで滑って行った。


「............む」


 そして、なんとか上体を起こす。

 するとまず目に入ったのは......部屋の中央に設置された、黄色い巨大な、透明の......宝石のようなものだ。

 床から生え、天井に突き刺さっているそれは、仄かに発光しており......【魔力視】を用いずとも、そこに膨大な魔力が秘められていることが感じられる。


 次いで、周囲を見回す。

 それまでの石壁とは異なり、実に近未来的な部屋である。

 床も壁も天井も、素材のわからない、白っぽい何かで作られており......あちこちに、用途のわからない大型の機械が設置されている。

 前に......天空王国の最奥まで潜りこんだことが、あったけど。

 あそこに、雰囲気は、似ている。




 パチ、パチ、パチ。




 と、ここで。


 拍手が、聞こえた。




「よくぞ、この制御室までたどりついたのじゃ。頑張ったのう!」


 ......これまで館内放送で聞いていた、私をここまで導いた......女の声だ。


 声のした方向に振り向くと、そこにいたのは。




 みすぼらしい囚人服を身にまとった......絶世の、美女だ。




 丸く、大きな目。

 瞳は、光り輝く紫色。

 髪色も、紫だ。

 艶々と波打ちながら、背中のあたりまで伸びている。

 小顔で、おそらく、背も高い。

 おそらくっていうのは、彼女が椅子に座っているからなんだけど......足を組んでいて、膝から下が、とても長い。


 そして、何よりも目立つ、身体的特徴は。

 胸が、びっくりするほど、大きいということだ。




 でも、まあ、そんなことはどうでも良い。


「誰」


 そう、問題は、この女の人が誰なのか、ということだ。

 囚人服を着ているんだから、おそらく囚人なんだろうけど......。


 拳は、構えない。

 彼女が私を、おそらくひとまずは安全と思われるこの部屋まで導き、助けてくれたことは明白だからだ。

 でも、警戒は、する。


<そう言えば、三大獄卒が言っていましたね。エミーの他に、『乳のでかい神敵』が一人、収監されていると>


 つまりは、この人が、神敵......?

 あんまり悪い人には、見えないけど......。


<言ったでしょう?この世界では、神々が気に入らなければ、その人間は神敵です。悪い、悪くないは関係ありません>




「カカカッ!うーむ、かわいらしいお嬢ちゃんじゃのう!」


 首を傾げる私を優しいまなざしで眺めながら、その美女は呑気に笑った。


「それでは、名乗るとする。仲良くなるための第一歩と言えば、自己紹介じゃ。ワシはいつだって、かわいらしいお嬢ちゃんとは仲良くしたいのじゃ!良いか......聞いて驚け!」


 そして、おもむろに立ちあがり。


「ワシこそは、特級冒険者にして、現代の大発明家と呼ばれた“男”ッ!そして、世界一の学び舎が長ッ!その名も......」


 腰に手をあて、大きな胸をはり......名乗りをあげた!




「“大魔導”......マジュローグなのじゃーーー!!」

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― 新着の感想 ―
つまりはコイツも魂を入れ替えたのか!? 女が好き過ぎるあまり自ら女になったと!? てかあれやね。 紫の髪に紫の瞳って、始まりの大草原の彼と同じやね。
[良い点]  あれだけ“死んだ”と各地で語られ作者さまの後書きでもお亡くなりのお知らせがあった大魔導が生きてたーーー!しかも男っぽい情報だったのに巨乳美女!!(´⊙ω⊙`)なんじゃこりゃーーーーー!!…
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