568 【美少女探偵アカシテリカ!】旧帝都フロゼンド博物館殺人事件6
「エ、エミーーーッ!!」
アカシテリカは慌てて立ちあがり、大穴へと駆けよった!
大きく深い大穴ではあるが底が見えないほどではなく......辛うじて玄関ホールの証明が届く距離に、轟々と音を立て黒々とした大量の水が流れているのがわかる。
「これは......」
「ううむ、帝国時代に作られた地下水道ですな......!」
身を乗り出しすぎて落ちそうになる青い顔のアカシテリカを抱きとめながら、ラキガター館長は唸った。
「ケケケケケケッ!凄い、凄すぎるぞスチール・インデックス!!あのバケモノが、一撃でオダブツだッ!!」
一方で、スチール・インデックスを操るジミーヤックは上機嫌だ。
血走った目を見開き、手を叩いて大笑いしている。
「エミーは......きっと、死んでなんかいません!この穴に、落ちてしまっただけです!それに、バケモノでもない!......多分」
「肩からあんな悍ましい腕を伸ばすヤツが、バケモノでなくてなんだよ!」
ジミーヤックの発言に怒ったアカシテリカは、キッと彼のことを睨みつけるが......ジミーヤックはどこ吹く風だ。
ムスッとした顔をしているが......スチール・インデックスの攻撃力を間近で確認し、気分は良くなったのだろう。
軽くなった口で、ペラペラと愚痴をこぼし始めた。
「まったく、今回の任務は予定外のことばかりだ......本当なら、オレ様は『マーダーディスク』を持ちだせば、それで任務は達成だったんだ!スチール・インデックスの起動は他の連中の仕事で、オレ様はまだ顔バレしない予定だったのによぉ......それもこれも、美少女探偵ッ!貴様のせいだぞッ!!」
愚痴を言っている内に、沸々と怒りが湧いてきたのか......終いにはジミーヤックは怒声をあげ、顔を真っ赤にしてアカシテリカを睨みつけた。
「下劣な平民が、この大貴族トモイキヤ侯爵様を怒らせたのだ!ひき肉になって詫びろッ!」
そしてそう叫ぶと、ジミーヤックは人差し指をピンと伸ばし、それをクルクルと回した!
スチール・インデックスはそれを感知し、瞳を模した赤色発光体をチカチカと点滅させる!
指示待ち待機状態!
「さあ、スチール・インデックス!今度こそ、キャスケット帽のガキを殺せ!一斉射撃だぁーーーッ!!」
そして、無情なる命令が、くだされた。
それを受け、宙に浮いた魔導ドローンたちが、再度その砲身を一斉にアカシテリカに向ける!
しかしここで、ラキガター館長が動いた!
「申し訳、ございませんッ!!」
「きゃっ!?」
ラキガター館長は無礼を詫びつつアカシテリカを持ちあげると、後方へと放り投げた。
そして自分は、両手を広げてアカシテリカの前に仁王立ちする。
「ちッ......邪魔くせぇ筋肉爺がッ!ならば貴様から死ね、体制派の犬ーーーッ!!」
そんなジミーヤックの叫び声と。
魔導ドローンたちが、一斉に震え始めたのは。
ほぼ、同時のことであった。
......魔導ドローンたちは、震えるばかりで......射撃は全く、始まらない。
「は......なんだとッ!?弾切れ?魔力切れッ!?」
ジミーヤックは近くに浮遊する魔導ドローンをひっつかみ、その液晶に表示された文字を読み取り間抜けな声をあげた。
しかし、すぐに気を取り直し。
「弾がなくても、他の攻撃手段はあるだろッ!とにかく、キャスケット帽のガキを殺せよーーーッ!!」
人差し指をクルクルと回しながら、雑に指示を飛ばした!
それを受けた魔導ドローンたちは砲身を引っこめ......今度は球体下部から超高速回転丸鋸を展開!
甲高い威圧的な回転音を鳴らしながら、アカシテリカ......そして彼女をかばうラキガター館長に殺到する!
いかにラキガター館長が筋骨隆々とした戦士であっても、あの丸鋸で斬りつけられれば、ひとたまりもあるまい!
「館長ッ!!」
アカシテリカは、青い顔のまま悲鳴をあげた!
......しかし!
「ぐふふ......ふははははは......」
ラキガター館長は。
「ぐふはーーーッはははッ!!」
大声で......笑った!
「こんなことも、あろうかとぉッ!!」
そして、ダンと床を踏み鳴らすと......博物館玄関ホールにしかけられた何らかのギミックが発動!
ラキガター館長の近くの床に穴が開き、そこから......巨大な大剣が、飛び出してきたのだ!
「ぐふふッ!これこそフロゼンド家に受け継がれし用心深さよッ!そしてフロゼンド流大剣術の、神髄をみよーーーッ!!」
そしてラキガター館長は大剣を掴み取ると、それを巧みに振り回し、飛び来る魔導ドローンたちを迎撃し始めた!
魔導ドローンたちはどれも超古代魔導文明の技術で作られた兵器であり......大質量の大剣で斬られても、すぐには壊れない。
しかし、二度、三度と攻撃を加えられ続ければ、話は別である!
ラキガター館長に殺到する魔導ドローンたちは、少しずつ数を減らしていく......!
「民間人にばかり、戦わせるものではないでやす!」
「旧帝都警察の、意地を見せるでがす!」
そして周囲の警察官たちも、当然戦闘に参加する!
彼らは一斉に魔法を発動し、魔導ドローンたちを攻撃し始めた!
今ここに、無数の魔導ドローンを相手取る......集団戦が始まったのだ!




