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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
20 天空王国の落日!お邪魔します最終決戦編!
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474 近衛三騎士が地上に出てくるにあたっての話

「う、うーん......はッ!?」


 さて、少し時を遡る。

 エミーに一撃で倒され意識を失っていた風弓のビューンは、ペチペチと頬を叩かれる感触を受けてその瞳を開いた。


「目、覚めたかしら?」


「無事、みたいだな。体は動くか?」


 するとその視界に映ったのは、心配そうに自分の顔を覗きこむ、雨杖のシトシトリンと陽剣のニッコールの姿であった。

 ビューンと同じく、エミーによって流れ作業的に倒されてしまった二人である。


「先輩、団長......」


 ビューンは体の具合を確かめながら、ゆっくりと上半身を起こし、深く息を吐いた。

 どうやら、そこまで大きなケガはしていないらしい。

 骨も無事だ。

 しかし......腹のあたりをさすってみると、鎧のその部分だけ大穴が開いている。

 胸にはめこまれているはずの、白き宝珠も失われている。

 そしてどうやらそれは、シトシトリンとニッコールも同様であるようだ。

 つまり......。


「先輩、団長......私たち、負けてしまったんですね......」


 あの......正体不明の侵入者、エミーという呪い子の少女に。

 この国の最精鋭であるはずの近衛三騎士は、惨敗を喫してしまった、と。


 そういうことで、あるらしかった。




「「「............」」」


 三人の間に、重苦しい沈黙が流れる。




「私は、一撃は食らわせてあげたんだけど、ね......歯が立たなかったわ」


 その沈黙を破り、シトシトリンは苦笑しながらつぶやいた。


「私も、初手から全力の連撃を放ったが......全て、容易くいなされた。全く、恐るべき強さよ」


 ニッコールも顎に手を当てながら、神妙な面持ちでそう語った。




 ............二人とも微妙に、活躍を盛っていた......。




「......私は、弓を引くことすら、かないませんでした」


 ビューンは先輩二人の発言を聞いて、己の至らなさを恥じ、眉間に皺寄せ目をつぶり、深く息吐きうつむいた。

 でも本当のことを言えば、先輩二人ともお前と大差ないぞ。

 そう落ちこむんじゃないぞ。




「そ、そんなことより、ね!?」

「そうだ!落ちこんでいる場合ではないぞ、ビューン!あれを見よ!」


 すっかり気落ちしてしまったビューンの様子に、シトシトリンとニッコールは慌てて本題を切り出した。


「え?」


 彼らが指さす方向にあるのは、試練の間の壁に設置されたモニターだ。

 そしてそのモニターには......謎のバケモノに追いかけられ逃げ回る、ネバーフォール天空王国民たちの姿が映し出されていた!


「な、なんですか、あいつら!?」


「わからぬ......しかし先ほど突然、街中に現れたらしい。このままでは、民が危険だ」


 映像を見ながら、わなわなと震えるビューン。

 その横で同じく映像を睨みつけながら、ニッコールは静かにそう語った。


「すぐ、助けに......あ、でも......!?」


 急ぎ立ちあがり、近くに転がっていた彼の専用武器である魔弓『インフィニット』を手に掴んだビューンは、すぐに地上に向けて走り出そうとして......足を止めた。


 何故なら......彼ら近衛三騎士は現在、王により試練の間の守護を命じられているからだ。

 敗北したとはいえ......持ち場を離れて良いのか?

 そもそも、王はどうなった?

 自分は、どう行動すべきなのか?


 迷いが、生じたのだ。




「............」


 ニッコールはそんなビューンの様子をじっと見つめ、大きく頷いてから......突然大声を出した!


「天空王国騎士心得、その一ーーーッ!!」


 ビューンとシトシトリンはその大声を受け、条件反射的に姿勢を正し、声をあわせて暗唱した!


「「我ら騎士は、王の剣にして民の盾ッ!!」」


「......ならばこそ、ここで民を見捨てるは、天空王国騎士の名折れよッ!!......違うか?」


「「団長......!!」」


 渋い顔で微笑むニッコールに、ビューンとシトシトリンはキラキラとした眼差しを向けた!




「それにな、そもそも......」


 そしてニッコールは、すぐに咳ばらいをして笑みを消すと、真剣な面持ちで二人に問いかけた。


「もはや我らは敗北した。侵入者が先に進んでいる以上、ここに待機し続ける意味は薄い。これ以上、追加で侵入者が現れるとも、思わん」


「それは、そうですね......」




「それと、王の身を案じてそちらに向かったとしても......そこにはあの、侵入者がいる。お前ら、あれに、勝てる気するか?」


「無理ですね」


「無理、ね」


「無理だろう?」


 議論の余地なく、全会一致であった。




「それにあの少女も......まあ、悪人では、なかろうからな......つまり、我らが向かうべきは」


「「地上......!!」」


「そういうことだ!」




 近衛三騎士たちは互いに目配せしあい頷きあうと、向かい合い己の武器を掲げあって、叫んだ!


「では......行くぞ!民を救うのだッ!!」


「「おおおーーーーーーッ!!」」




 そうして彼らは、地上に向かって走り出した!


 信念とか妥協とか......色んなものに、その背を押されながら!

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― 新着の感想 ―
[良い点]  ラスト〈信念とか妥協とか〉妥協の二文字が正直すぎて笑う(^艸^)地の文にさりげなく軽妙さを差し込むむらべ先生マジ最高♪ [一言]  GoGo三騎士!ワケの分からない門番任務よりキミたちは…
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