469 始まる天空王国墜落へのカウントダウン
『死なバ、死なバ死なバ......諸共、諸共諸共......!!』
モニターに映し出されたアトモが、ノイズにまみれた不気味な電子音声でそうつぶやいた、その次の瞬間だった!
ドオオオオオンッ!!
エミーたちのいる制御室の、おそらく大分下の方の階層から......大きな爆発音が響いた!
「きゃっ!?」
その衝撃でネバーフォール全体がグラグラと揺れ、エアはたまらずその場に尻もちをついた。
「......ぐべッ!?」
天井にめりこんでいたセキラン王は床へと落下し、全身を強かに打ちつけて、再び気絶した。
「............」
エミーだけが仁王立ちしたまま動かず、画面上で哄笑するアトモの姿を睨みつけていた。
『ホホホホホホ!エネルギータンクヲ、爆破、爆破爆破しました!』
アトモは狂ったように哄笑しながら、勝ち誇った顔(見えないけど)で叫んだ。
ビイインッ!!
ビイインッ!!
ビイインッ!!
ネバーフォール天空王国全域に警報の音がけたたましく鳴り響き、国中の赤色警戒魔灯が灯って、辺りを赤一色に染めあげていく!
『これデ、これデこれデ、この国ノ命モ、残り1時間トいったところ!逝きましょう!共ニ、逝きましょう!ホホホホホホ!』
「な、なんてことを......!」
エアは青い顔で何とか立ちあがり、慌てて制御室の奥にある機械群へと走った。
それは、ネバーフォールの手動操作を行うための、コントローラー。
そういうものがある......離宮に閉じこめられ、ろくに王族としての教育を受けてこなかったエアも、それだけは知識として知っていたのだ。
しかし......。
「ダ、ダメ......ちっとも、わからない......!」
エアが持っていた知識は、それだけだ。
何とかできないかと、駆け寄ってはみたものの。
制御盤上に並ぶ、色とりどりのボタン、つまみ、レバー......それらをどうすれば、ネバーフォールを操縦することができるのか。
彼女には、わからなかった。
「う、ううっ......」
エアの脳裏に、これまでに出会った人々の笑顔が過る。
皆......皆、良い人たちだった。
王宮から逃げ出して、右も左もわからないエアのことを、皆優しく受け入れてくれた。
そんな優しい人たちが......このままでは、皆、死んでしまう。
それが、悲しくて悲しくて......。
己の無力が、悔しくて。
エアは力なく、制御盤の側面に額を押しつける形でうずくまり、ポロポロと涙をこぼした。
「助けて......」
そして、救いを願い。
「助けてよ......」
呼んだのだ。
「タカタカぁ......!」
大切な......大切な、友達の、名前を!
すると......その時だった!
「エアーーーーーーッ!!」
声が、聞こえたのだ。
こんな、迷宮の最奥に、本当ならば、いるはずのない。
友達の、声が!
「タカタカーーーーーーッ!!」
エアは、大声で叫び返しながら、振り返った!
すると、彼女の視界に飛びこんできたのは!
......誰だか知らんけど、さっきから制御室内に侵入している......黒髪黒目の少女の姿だった......。
なんかこいつ、部屋の中央に陣取って仁王立ちしているから、嫌でも視界に入りこむんだよな......。
「............」
とりあえずその少女が邪魔なので、エアはちょこちょこと移動して位置をずらしてから、声のした制御室の入口の方に目を向けた。
すると、そこにいたのは!
......やはり、彼女の友達のタカタカたちの姿だった!
「タカタカーーーーーーッ!!」
エアは嬉しくなり、泣きながら、思わずタカタカに向かって走り出した!
「エアーーーーーーッ!!」
タカタカも同じく、エアに向かって走り出した!
二人は制御室中央で合流し、思いきり抱き締め............あおうとした。
が、しかし。
そうなると、位置関係的に、どうしても邪魔になる人物がいる。
......そう、部屋の中央に陣取る、エミーだ。
でも、エミーはこういう時は空気を読むので、二人の邪魔をしないように、トトトと右へ移動した。
しかし、エアはエミーを避けるためあらかじめそちらの方に進路をずらしていたので、ちょうどエミーが通せんぼする形になってしまう。
「「............」」
エミーは今度は、左に動いた。
するとちょうど同時に、エアも左に進もうとする。
「「............」」
そして次にエミーは、再び右に動く。
するとまたしても、ちょうど同時にエアも右に進んだ。
「「............」」
先に......進めない......。
なんだ......この時間......?
二人の間に、気まずい沈黙が流れる。
「............」
そんな二人に近づいていたタカタカは、まじまじと黒髪黒目の少女のことを見つめた。
そして、言った。
「............誰?」
......と!
対する黒髪黒目の少女、エミーは!
振り返って胸をはり......堂々とした姿勢で!
こう、言い放った!
「いや、お前が誰だよ!!」




