表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
20 天空王国の落日!お邪魔します最終決戦編!
454/746

454 てんぱる近衛三騎士

『我が名は“風弓のビューン”!誇り高き王の剣、近衛三騎士が一人であり、第一の試練の間を、守護する者なり!この先には何人たりとも通しはしない!』




 ......上記の台詞は、ビューンが近衛三騎士に抜擢された際に考案した、戦闘前の台詞である。

 煌びやかな近衛三騎士専用鎧を身にまとい、王家の紋章の描かれたマントを翻し、荘厳な装飾を施された魔弓を威圧的に構えながら......。

 ビューンは侵入者と対峙し、それを見事、打ち破る。


 歳若い騎士が想像していたのは、そんな華々しい、己の活躍する姿であった。




 ところが。


 現実はどうかと言えば。




「「「「............」」」」


 侵入者は、お行儀よく試練の間に挑みなど、しなかった。

 どうやったのか......無理やり壁を破壊し、控室に入りこんできた。

 彼はまだ、戦闘準備も何もしていないと言うのに。

 ラフなインナー姿だと言うのに!




(どうしよう......?)




 困惑。


 ......それが、現在のビューンの胸中を占める、全てだ。

 彼はエリートとは言えまだ若く、経験も少ない。

 突然の事態にも慌てず対応しなければならないのに......とっさのことで、頭が働かない。

 どうしたら良いか、わからない。

 ただ、じっと......彼と同じように固まる、目の前の侵入者の少女を、見つめることしかできない。




 しかし。


 しかし、だ。


 近衛騎士団長......陽剣のニッコールは、そんなビューンとは一味違った!




「侵入者よ......」


 彼はそう、厳かに声を発しながら。

 ゆっくりと、椅子から立ちあがり。

 威圧的に......少女の前に、立ちはだかった!


 ......タンクトップ姿なのは玉に瑕だが、その風格は、間違いなく強者のそれだ!


「............」


 侵入者の少女も、そんなニッコールの姿を見て、少し警戒を強めたらしい。

 若干弛緩していた控室内の空気が、ピリリと引き締まっていく。


(す、凄い!立ちあがり、対峙するだけで、場の空気を変えた!さすがは団長......不測の事態にも、全く動じていない......!)


 ビューンは己の不甲斐なさを悔いながらも、ニッコールの威風堂々たる態度に感銘を受け、キラキラとした眼差しを向けた!


(この場を、一体どのように、収めるのか!?)


 そして胸を高鳴らせながら、彼はニッコールの次なる言葉を待ったのだ。

 しかし、この陽剣のニッコール......次に発したのは......!




「わ、我が名は、近衛三騎士が一人、“陽剣のニッコール”!ここまでたどりつけたこと、まずは褒めてやる。しかし......ビューンとシトシトリンの仇、とらせてもらうぞッ!!」




 明らかに......第一、第二の試練を突破された後に言うために準備しておいた、台詞であった!


(えええーーーッ!?)


 何のことはない!

 表情にこそ、出してはいなかったが!

 ニッコールも、十分にてんぱっていたのだ!




(『ビューンとシトシトリンの仇』って、何ですか!私たちはまだ、やられてませんけど!?)


 内心でつっこみを入れるビューン!


「............?」


 そして首を傾げる、侵入者の少女!

 当たり前だ!

 彼女はビューンもシトシトリンも、倒してなんかいないのだ!




「ふ......ふふっ」


 と、ここで。

 もう一人の人物が微笑みながら前へと進み、ニッコールの隣に並び立った。

 灰色スウェットを着こんだ女......雨杖のシトシトリンだ!


(お、おお!シトシトリン先輩!なんか、空気が凄く、変な感じになっています!お願いします、何とか軌道修正を!)


 ビューンはすがるように、シトシトリンを見つめた!

 シトシトリンは、その美しい青髪を勢いよくかきあげ、少女に対して見くだすような......艶やかで傲慢、冷徹な視線を送りながら......!




「私は、“雨杖のシトシトリン”......近衛三騎士が一人であり、第二の試練の間の、守護者よ。私はビューンの坊やのように、甘くはないわ......覚悟なさい!」




 ......やっぱり、事前に作っておいた台詞を、そのまま言ってしまった!


(だ、だめだーーーッ!?シトシトリン先輩も、すっかりてんぱっているーーーッ!?)


 よく見るとこのシトシトリン、余裕を感じさせる微笑みを浮かべているはずのその口元が、ひくひくと痙攣している!

 もうどう考えても、やばいくらいに緊張している!


「............?」


 そしてまたしても首を傾げる、侵入者の少女!

 当たり前だ!

 彼女はビューンを、倒してなんかいないんだっつの!




「あーーー......えっと......私は、エミー・ルーン。旅人......」


 と、ここで。

 ニッコールとシトシトリンのてんぱり台詞を、自己紹介と捉えたのか。

 侵入者の少女が、近衛三騎士に対して、自分の名前を告げた。


「............」


 そして少しうつむいて、何やら思案を始めた。


(......!台詞だ......自分も何か、決め台詞を述べようとしているんだ!)


 ビューンは何故だか直感で、少女......エミーの考えていることを、理解した。

 エミーはしばらく無言で考えこんでいたが......ついに自分らしさを表現できる言葉を、見つけたらしい。


 彼女は少し腰を落とし、拳を構えて......近衛三騎士を見据えながら、はっきりと言い放った!




「............皆殺しだッ!!」




 それは、あまりにも......。

 決め台詞と言うには、あまりにも酷い、文字の羅列だった!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これはひどい(笑)
[良い点]  対峙するなら躊躇う事なく全力を振るう、と口上するエミーさんかっくいー♪ [気になる点]  スウェット姿でくつろいでんだからもしも出会った時の言い方が「お嬢ちゃん迷い込んだんだね、出口はこ…
[一言] 草
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ