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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
19 最後のコブダイ戦争編!
439/744

439 糸口

<<<ぐ、ぬあ......?>>>


 コブダリオンが目を覚ますと、そこは崖に囲まれた大穴の外だった。

 彼は突如現れたバケモノに助けられ、ここまで放り投げられた。

 そして、気を失っていたらしい。


<<<ぬ......>>>


 体中の痛みに耐えながら、ふわりと宙に浮きあがる。

 そうしてから、ぐるりと辺りを見回す。

 仲間のコブダイ戦士たちと突入した際には、近くの物すらかすんで見える程濃かった霧が、今やすっかりと晴れていた。

 おかげで大穴の底の様子も、はっきりと見てとれる。




 そこでは、バケモノが戦っていた。




 体から黒い触手を出して、バケモノは大穴の底のほぼ全域に広がった災厄ヒュミダファイと、死闘を繰り広げていた。

 矢舌をかわし、貝肉津波をかわし......都度反撃を食らわしている。


 しかし、旗色は悪い。


 バケモノは戦えてはいるが、それだけだ。

 バケモノがいくら攻撃を加えても、ヒュミダファイには全く堪えた様子がない。

 今もこの災厄は、大穴の外に向けて、徐々にその体を伸ばし広げ続けている。


 このままでは、あの災厄の体が大穴の外にあふれ出すのも時間の問題だ。

 そうなると、どうなる?


 コブダイたちの、里はどうなる?

 里に残された、戦えない者たちはどうなる?


 皆......食われる。


 食われてしまう......!




<<<ああ......神よ!我らが神、ゴッドコブよ!あなたは今、何をしておられるのか!?今こそ、戦う時ではないのですかッ!?>>>


 コブダリオンは思わず天を仰ぎ、嘆いた。

 ヒュミダファイが霧を出さなくなった今、彼の頭上には美しい青空が広がっていた。


 しかし、そこにゴッドコブはいない。


 災厄と戦うことを宿命づけられているはずの彼らの神、ゴッドコブ。

 エセレム大霧海を永久に泳ぎ続ける超巨大コブダイは、一向にその姿を現さない。


<<<くそッ......ちくしょおおおおーーーッ!!>>>


 コブダリオンは絶望し、慟哭した!




「らあああああッ!!!」




 しかし、その時だ。

 大穴の底から、そんな鳴き声が聞こえた。

 バケモノの、鳴き声だ。


 その声にひかれて、コブダリオンは再度、大穴の底を見下ろした。




 バケモノは、戦っている。

 戦い続けている。


 圧倒的に、不利な状況だ。

 周囲をとり囲む巨大なヒュミダファイと比べると、バケモノの体はあまりにも小さい。


 それなのに、彼女は戦っているのだ。


 一歩も引かずに。




<<<戦士......>>>


 思わず己の口からこぼれ落ちた、その一言。

 その一言に、コブダリオンは、一拍遅れてはっと息をのんだ。


<<<......ふふ>>>


 そして自嘲気味に、小さく笑った。




 ここで己は、神頼みか、と。


 そうじゃないだろう、と。




<<<ここで、心が折れていたら......コブダクレバ殿に、申し訳が立たん>>>


 そうつぶやいたコブダリオンの瞳には、闘志の炎が蘇っていた!

 彼は、孤軍奮闘を続けるバケモノの後姿に、確かに戦士としての矜持を見た。


 では、己は、なんだ?


 己も、戦士だ。


 ならば己のすべきことは、嘆くことではない。


<<<戦う、ことなのだッ......!!>>>




 パチ、パチッ!


 コブダリオンの周囲に、火の粉が舞い始めた。

 空になった魔力も、意識を失っている間に多少は回復した。

 短時間であれば、【猛炎】も発動できるだろう。

 戦える。

 自分はまだ、戦える!




<<<しかし......>>>


 何をどうすれば良いのか。

 それが、問題だった。


 己より強い戦士であるあのバケモノが、倒せない相手。

 それが、災厄ヒュミダファイだ。


 そんな相手に、己は何ができるのか。


 コブダリオンは、考えた。


 考えに、考えた。


 考えながら、大穴の底をじっと睨みつけていた。




<<<......あッ!!>>>




 そして、気づいた。


 大穴の底をほぼ埋め尽くすように体を伸ばし広げている、ヒュミダファイだが。


 ごく一部。


 避けている場所が、あるということに。


 そこを避けているが故に、その部分だけ、穴が空いているようになっていることに。


 その穴の中には、何かが落ちていた。

 小さすぎて、詳細を視認することはできないが。

 コブダリオンは、それが何であるのか......すぐに確信した。


 それは。


 降り注ぐ日の光を浴びて白く輝く、それは。




 ......ヒュミダファイの封印の要。




 コブダロックが死の間際に落とした......ヒトデだ!




<<<......よし>>>


 コブダリオンは、静かにそうつぶやくと。

 その身に炎の鎧をまとい。


<<<命を賭けて、挑戦する......その価値は、あるだろう!>>>


 ......大穴の底に向けて、突撃を開始した!

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― 新着の感想 ―
[良い点]  ここで戦士の矜持に闘志を燃やすコブダリオンへ読者が感情移入させるためにむらべ先生が今まで丹念にコブダイたちを描いたのだとしたら(^皿^;)完全に俺たち読者は先生の手の平の上でコーロコロ♪…
[一言] うおおおおお頑張れコブダリオン
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