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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
18 さらば黄金大陸!霧の森の秘密編!
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403 森の奥地の謎遺跡

 さて、サメをあらかた食べ終わった私は、再びあてどなく、霧の森の中をさまよっていた。

 先ほど腹に収めたサメは、どうやらこの辺りでは大分、恐れられていた存在らしい。

 何故ならあのサメが死んでから、途端に目に見えて、隠れていた空を飛ぶ魚たちがその姿を現し始めたからだ。


 今も私の目の前を、小さな小魚の群れが通過していった。

 大樹の洞からは、ウツボのような魚がひょっこりと顔を出し。

 視界の右端では、拳大のクラゲがふわふわと、数匹で踊っている。

 上を見上げれば、ゆったりとそこを泳ぐ、巨大なエイのシルエット。


 皆、嬉しそうだ。

 隠れ家から飛び出して、楽しそうに泳いでいる。




「らあああああッ!!」


 そんな空飛ぶ魚たちに、私は全力で【威圧】を放った!

 私の【黒鎧】の隙間からは、ぶしゅう、と勢いよくどす黒い靄のような魔力が噴き出し、さらには周囲の空間が私の魔力圧に耐えかね、ミシミシと軋むような音を立てる!


「「「「「!?」」」」」


 強烈な私の【威圧】に魚たちは耐えることができず、気を失い、次々に地上へと落下し始める。

 どうやら巨大なエイだけは無事であったらしく、慌てて逃げ出そうとするので、【黒触手】を射出。

 体を貫いて地面に叩きつけ、殺す。




 ぐううううう......。




 お腹が、鳴る。


「............」


 私は時々ぴくりと痙攣する魚たちを拾いあげては口に放りこみ、ばりばりと丸かじりする。

 エイは大きいので、適当にひきちぎって食べる。

 毒針部分も気にせず食べる。

 全部食べる。

 ああ、お腹が空いた......。


 他に、食べるものはないかな?

 きょろきょろと、辺りを見回す。


 でも、何もいない。


 そこにあるのは、深く青い霧。

 大樹のシルエット。

 静寂の世界。


 生き物は、またしても、隠れてしまった。


 なんでだよ。


 ああ。


 ああ......!




<エミー、殺気を抑えてください。お魚が、逃げてしまいますよ?ほら、深呼吸です!>


「............」


 オマケ様の言葉によって、ふと我に返る。

 食欲とか殺意とか苛立ちを、心の奥底に抑えこむ。


 深呼吸、深呼吸。


 大きく、息を吸う。

 魔力を多く含んだ、青い霧を体にとりこむ。


<......落ち着きましたか?>


 ............なんとか。

 ありがとう、オマケ様。


<いえいえ......冷静になりたいときは、深呼吸ですよ。特にこの森の空気は、効きますから>


 魔力がたっぷりだもんね。

 本当に、偶然この森にたどり着けて、良かった。

 息を吸うだけで魔力を補給できるというのは、食欲......その正体である魔力吸収欲求の枷が外れている今の私にとっては、途轍もないほどのメリットなんだ。


<常人が吸っていれば、半日くらいで血反吐を吐いて死ぬような空気ですけどね>


 えっ、こわっ......。


 じゃあさ、昔さ、桃色髪の......サラちゃんが、さ。

 西の方に魚が空を飛ぶ森があって、マーツ男爵様がその森を冒険したって言ってたけどさ。


<そうでしたっけ?>


 そうそう。

 その森っていうのは明らかにここのことだし、その男爵様の冒険っていうのも......結構危険なものだったんだね。

 長時間この空気を吸っているだけで、死んじゃうってことはさ。


<まあ、外周部分をうろちょろするくらいなら、何とかなるんじゃないですかね?霧も薄かったですし>


 そうかな。


<そうですね。そしてこの森も大概広いですから、霧があるが故の時間制限のせいで、常人は森の奥深くまでは入りこめません。だからエミー、あなたはおそらく、こんな深くまで森を探索した、初めての人類ということですよ!>


 おお......凄い!

 人類史上、初ってこと!?


<ただ、まあ、あなたを人類としてカテゴライズして良いのかどうかについては、議論の余地が>


 ないよ。




◇ ◇ ◇




 さて、その後もこんな調子で。

 私とオマケ様は、目につく魚を皆殺しにしながら森の中を進んでいた。


 その間視界に広がるのは相変わらずの霧と、大樹のシルエットばかりだったんだけど。


 それから、数日後。




「ねえ、オマケ様......」


 私は偶然見つけたとある物を前にして驚き、思わず声をだした。


<こ、これは......!>


 オマケ様も、驚いている。

 多分オマケ様の視聴してきた動画にも、この森の奥にこんなものがあるなんてことは、描かれていなかったんだろう。


 私たちが見つけたそれが、何かというと。




 廃墟だ。




 大分古いものらしく、ところどころ崩れたり、中から大樹が生えて天井を突き破ったりしているけど。

 どう見てもそれは、人工的な建造物だった。

 それは直線的で......どこか、私が生きていた頃の日本の病院を思わせるような形状をしていた。

 その壁は白く、石と石の継ぎ目など、見当たらない。


<エミー!これは、超古代魔導文明の遺跡です!>


 オマケ様が興奮して、叫ぶ。


<この高濃度の魔力を含む霧に守られ、風化が抑えられていたのでしょう。凄い、これは、大発見ですよ......!>


「ふむ」


 私は【黒触手】に串刺しにして持ち運んでいた空飛ぶアジを貪りながら、相槌をうった。

 とりあえず【気配察糸】を遺跡内部に伸ばしてみると、結構な数の魚たちを感知することができた。

 ちょうど良い、身を隠せる住処になっているらしい。

 よだれが湧き出る。


 とりあえず......中に入ってみる?


<ぜひ、ぜひ!入りましょう、入りましょう!>


 未知なる古代遺跡に心躍らせるオマケ様をなだめながら、私はかつてはガラスがはめられていたと思しき、取っ手のない玄関扉のフレームをまたいで、その中に侵入した。




◇ ◇ ◇




 そしてそんな、遺跡の中に入っていくエミーの後姿をじっと見つめる、巨大な影があった。

 その存在の【気配遮断】は非常に優れており、さらには深い霧が視界を遮り、注意がすっかり遺跡に向いていたこともあって......エミーはその存在に気づくことができなかった。

 その存在は......彼女は。

 エミーを追いかけ......ゆっくりと静かに、遺跡へと近寄り始めた。




 狩りが、始まる。

 実はこの森のことは、第5章の時点で言及されていました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 嬉しそうで楽しそうな魚たちを威圧し殺したのシュール過ぎて草
2022/11/12 21:45 退会済み
管理
[一言] >>狩りが、始まる。 謎の存在がエミーに狩られるんですねわかります
[良い点]  皆、嬉しそうだ。  隠れ家から飛び出して、楽しそうに泳いでる。  (*´-`)このほのぼのとする文章を書いて、直後の惨劇っぷりに痺れるワ♪童謡“メダカの学校”がこんなシメだったら学童は…
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