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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
17 なぎ倒せ、エミー!花と夜明けと死神編!
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391 (公爵)王になりたくない元盗賊1

 閑話、1話で終わりませんでした。

「............む」


 スボスは、ゆっくりと瞼を開けた。

 すると彼の視界一面に広がるのは、薄水色の朝の空。

 頬に感じるのは、少し寒さを感じるほどの、湿った涼やかな空気。


「ん......ん......」


 スボスはゆっくりと首を動かし、周囲の様子を確認する。

 耳に届くのは、少し遠くからがやがやと聞こえる、人の声。

 食器がぶつかる、甲高い音も聞こえる......スープの良い香りも、流れてきた。

 しかしその様子は、視認できない。

 彼の周囲は幕で小さく区切られ、四角い部屋のようになっているからだ。

 どうやら彼は、この区画に一つ置かれた担架の上に、寝かされているようなのだ。




 ぐう。




 ここで一つ、彼の腹の虫が鳴いた。


「とりあえず、起きなきゃ......」


 スボスはぽつりとそうつぶやき、彼の胸から下にかけられている薄い毛布を、払いのけようとした。

 しかし、できなかった。

 彼の両手両足は、毛布に隠され見えないが、どうやら縄のようなものできつく縛られているからだ。

 そして、その上。


「......だるい」


 スボスはここで、全身に重たく泥のようにまとわりつく、酷い倦怠感を自覚した。

 ......彼は普段、好んで運動をするタイプの人間ではない。

 さらにいくら若作りをしているといっても、高齢だ。

 それなのに、ラストドリームの力を借りていたとはいえ、思いきり暴れまわったのだ。

 疲れないわけがない。


「............」


 結局彼は起きあがることを諦め、ただじっと、徐々にその明るさを増す薄水色の空のことを、眺め続けていた。




「ん?おお......シシシ、目ぇ覚めたか」


 すると、どれくらい時間が経った頃だろうか。

 ぼんやりしていたスボスに向かって、そう声がかけられた。

 若い......粗野な口調の、男の声だ。


 同時に聞こえる、幕のこすれる音。

 がちゃがちゃいう、鎧の音。


 何人かが、スボスの寝転がる区画の中に、入ってきたらしいのだ。


「誰......?」


 声を出すのも、体を動かすのも億劫なスボスは、少しだけ首を傾け、瞳だけを声のする方に向けた。


 そして......。


 驚いた。


 目を見開き、大きく口を開け。


 ......声にならない、悲鳴をあげた。


 何故なら、そこに、立っていた......騎士や兵士を引き連れた、細身の男は......。




「ナイデロ......にい......!?」




 そう。

 そこに立っていた男は、どこからどう見ても。

 彼の従兄......暴君として名高い前王、ラ・ナイデロ・アーシュゴーの、若い頃の姿をしていたから。




「つまり、ここは......死後の、世界......?」


「シシシ......バカ言っちゃいけねぇ......オレの知ってる聖神教の、乱暴大食いガキんちょ神官は、『そんなものはないです』って、言ってたぜ?お前さんは生きてるし、オレだって生きてる」


 混乱するスボスに対し、その若い細身の男はそう言って頭をぼりぼりとかきながら苦笑して、ため息をついた。


「とにかくオレの名前は、ナイデロじゃねぇ。それはオレの......爺さんの名前ってぇことに、なるらしい」


「なんだって......!?」


 スボスの脳内に、かつての記憶が蘇る!

 暴君ナイデロの二人のドラ息子。

 一人は海を渡り逃げようとして、船が沈んだ。

 こちらは当時、死亡が確認されていた。

 しかしもう一人は陸路を東に逃げ、消息を絶っていたはずだ。

 つまり、この男は。

 この、暴君ナイデロに生き写しの、若い男は......。


「オレはな......盗賊あがりの、斥候役よ。だがしかし、ただの斥候じゃねぇ......勇者パーティの、斥候だったんだぜ?オレはそれを誇りに思っていたし、これからも、そうありたいと願っていた......」


 驚きで目を見開くスボスの顔をじっと見つめながら、若い男はぽつぽつと、自己紹介を始めた。

 朝日で影を作るその顔は、どこか寂しそうだ。


「殿下」


 その横で、眼鏡をかけた真面目そうな女騎士が、こほんと咳払いをした。

 それを聞き、若い男は一旦口を紡ぎ......シシシと笑った。

 そして。


「が、しかしだ!ボークジのおっさんたちにも、泣きながら頼みこまれちまったし、断りきれなくてよぉ!本日、この『夜明けの日』よりしばらく、期間限定ではあるが!この国でお飾りの王様を、やることになったわけだ!」


 この男はそう言って胸をはり、先ほどの寂しさなど微塵も感じさせない満面の笑顔を作って、名を名乗ったのだ!




「ラ・ザイデオ・アーシュゴー!それが、今のオレの名前だ......よろしくな!!」

質問「スボスとかザイデオが名前の前につけてる、『ラ』って何なの?」


回答「知らねぇ」




 ......多分アーシュゴーにおいて王家の血筋の人がつける、なんかだと思う。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  あ(´⊙ω⊙`)これは盲点!「シシシ」笑いになんか既視感あったけど、この人に結びつける記憶力の無かった金具素屯の全面敗北♪まさか勇者パーティーの有能苦労人だった盗賊のザイデオさんがアーシ…
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