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物語異能の負け犬男子  作者: 柴犬男
アリスの狂気
9/38

3話 前

3話目投稿始めました。微グロ成分が含まれます。

「どうだった?」


僕がぼーっとしてたのが気になったのか、かいちょーが僕の顔を覗き込んできた。


「もっとロマンチックな雰囲気でしたかった」

「それはわたしもそうだね」

「はは〜ん、さては処女だな?」

「そうだよ?」


びっくりした。冗談で言ったセクハラ発言を、素で返されてしまった。

でも、意外だ。かいちょーぐらいにもなるとそうゆう事はとっくに彼氏と済ませてるんだと思っていたんだけど


「え、じゃあ初めてのキスですか?」

「それは違う」

「彼氏いるんですか?」

「・・・昔ね」

「どんな人だったんですか?」


このかいちょーを堕とした奴って、一体どんな男なんだろう?

少し気になる。


「え〜、一回キスしたくらいで彼氏面しないでくれます〜?」

「彼氏でも無い子にキスしないでくれます〜?」

「ははは、童貞思考だ。う〜んとね、・・・うん、彼はね?とっても優しい子だったよ。年下なんだけどね?わたしより弱いくせに、一生懸命で、真っ直ぐで、だからこそ誰よりも強くて、とても純粋で、わたしにたくさんの宝物をくれた、とっても大切な男の子。」

「・・・いい奴なんですね」

「そうだよ〜?君もがんばりたまえ!わ・ん・こ・君」


正直羨ましい。この人は、きっと今でもそいつの事が好きなんだ。

どうして別れたのかは聞かない。

いや、聞けない。

これはきっと、悲しい物語なんだ。

僕は、胸がキュッと締め付けられた。

他人の話だと言うのに。


「ところで、話を戻すけど、どう?異能は使えそう??」

「え、あ〜そうですね・・・」


そうだ、僕の異能を使う為にキスをされたんだった。


「・・・・あ〜、やっぱよくわかんないです。今まで異能を使った事が無いので」

「あ〜まぁそうだよね〜」

「失敗って事ですか?」

「そうかも」


なんだよ!意味なかったじゃないか!僕のメリット『美人とキスした』だけじゃないか!やったね!!


「う〜ん、そっかぁ、ダメだったか〜・・・」

「残念でしたね」

「そうだね〜、まぁ、悩んでも仕方ないし、帰ろっか」

「そですね。じゃ、お疲れ様でした」


先に帰ろうとすると、かいちょーに腕を掴まれ、そのまま引き寄せる様に腕を組まれた。


「な〜に言ってんのさ。女の子を1人で帰らせるわけ〜?」

「いや、かいちょーなら異能でなんとか出来るんじゃないですか?」

「まぁまぁ、細かい事は気にすんな!一緒に帰ろうよ」

「え〜、どうしよっかな〜〜??」

「とか言いつつ帰る気満々じゃん」


美人と下校だもん。嬉しい。


「あ、そうだ。ちょっと君の家寄っていい?」

「え、遅くなりませんか?」

「大丈夫大丈夫、君の家、わたしの通学路の途中だから」


あれ?そうだったんだ??だから今朝は家の前に風香ちゃんといたんだ。


「ん〜、まぁ、寄っても良いですけど、何するんですか?僕ゲームとか持ってませんよ??」

「うん・・・ちょっと、ね」


よくわかんないけど、何か企んでいるな?あぁどうしよう。このまま僕は大人の階段を上ってしまうのかしら??


「こ〜ら、ジロジロ胸見ない」


かいちょーに頭をペシッと叩かれた。


「・・・(ふふっ、相変わらずなんだね)」


「何か言いました?」

「・・・べっつに〜??」


小声で何か言ってた気がしたんだけど、はぐらかされてしまった。

風香ちゃんに「今から帰る」と言うメッセージとかいちょーと恋人繋ぎした自撮り写真を載せたメッセージを送ってしばらくすると、風香ちゃんから大量のメッセージが届いた。怖かったので帰ってからの言い訳をかいちょーと一緒に考えながら帰る事にした。


☆☆☆


家に着くと、風香ちゃんが涙目で飛びかかってきた。そしてマウントを取られ、僕は強めのグーで殴られる事になった。

女の子の拳でも、体重を乗せると痛いんだ。

知らなかったなぁ・・・。



しばらく殴られていると、気が済んだのか解放してもらえた。

そして、傍観してたかいちょーが写真の理由などを風香ちゃんに話し、僕の無実を証明してくれた。


「ごめんなさい!ちょっと気が動転しちゃって・・・」


風香ちゃんがリビングで土下座をしている。


「いいよいいよ、ここまでは想定してたし」

「そうそう、わたしもノリでやっちゃったし」

「うぅ、ごめんなさい」


リビングで風香ちゃんがしょぼんとしてる。

あ、今にも泣きそう。

あれれ?なんかだゾクゾクするぞ??


「ところで風香ちゃん、『アリス』は??」

「あぁ、寝てるよ」


よかった、ここに『アリス』がいたら余計ややこしくなってただろうな。

最悪の事態を回避して安堵すると、かいちょーが不思議そうな顔をしていた。


「『アリス』って、誰?」

「『妹』です。僕の家は父、母、妹、僕の4人で暮らしてます。姉もいるんですけど、姉は今一人暮らししてます。」

「そう、なんだ・・・?あれ?風香ちゃんは?なんでいるの??」

「わたしは、幼馴染なので」

「たまに『アリス』のお世話をしてもらってるんです」

「あぁ、なるほど」


かいちょーは話を聞いている内に怪訝そうな顔をしていたがようやく理解してくれたらしい。


「かいちょー何か用があったんじゃないんですか?」

「無いよ?」

「「え?」」

「いや、どんな家に住んでるのかな〜って思って」

「え、それだけ?」

「?うん。」


僕はポカーンとして、風香ちゃんはやれやれって顔をしてる。


「え、じゃあ、何します?帰ります??」

「う〜ん、まぁ、用は済んだし、帰ろうかな」


あれ?なんだ、用あったんじゃん。


「あ、そうそう、風香ちゃん」

「はい、なんです?桃花さん??」

「君、生徒会入らない?」


あれ、風香ちゃん生徒会入るの?

やってくれたら心強いな〜。


「う〜ん、考えときます」

「あはは、良い返事期待してるね〜」


かいちょーを送り出そうとリビングのドアを開けると


『西洋人形』が佇んでいた。


「えっと、ワンコくん?なんか、人形が落ちてるけど」


まずい


「これ、来た時あったっけ?」


まずい


「えっと、・・・ワンコくん」


まずいッ!!


「お〜い、どうしたーーーー」


『お姉ちゃんだぁれ?』


『ぐちゃっ』と生々しい音がする。


「・・・え?」


かいちょーの脇腹に、『西洋人形』の持っていた傘が突き刺さっていた。


「ぅ"あ"・・・・?」


「何が起きたのかわからない」という顔をしたまま、かいちょーがその場に倒れこむ。


「ダメだ」


かいちょーを助けないと。


「ダメだ!」


助けなきゃ


「ダメだッ!!」


助けなきゃ、なのに


二撃目が来ないよう、かいちょーに覆い被さる。


僕の背中に傘が突き刺さる。


「か"ぁ"ぁ"ぁ"ッ!?!?」


痛い。


人形は僕の傘の刺さった部分に手を突っ込むとネチネチと嬲り始める。


痛い。


痛みに耐えながら、かいちょーの顔を覗き込む。


かいちょーの目は見開いていて、口からは涎がダラっと垂れている。


あ〜ぁ、せっかくの美人が台無しじゃないか。


僕は理解する。


『 僕はこの人を救えない』



ダメだ。やめてくれ。お願いだ。お願いします。やめてください。もうやめてください。怖い。嫌だ。やめろ。やめて。痛い。死にたくない。死なせたくない。



色んな言葉が頭に浮かぶ。



あ〜あ、なんで、こうなっちゃったんだろう?

ちょっと考えればわかることなのに。

どうしてかいちょーを巻き込んじゃったんだろう。

風香ちゃんは?無事かなぁ??

風香ちゃんだけでも、助かると良いなぁ・・・。









「・・・・『アリス』」

朦朧とする意識の中、『目の前の妹』の名前を口にした。

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