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物語異能の負け犬男子  作者: 柴犬男
アリスの狂気
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2話 中

投稿しました。

家に帰り、玄関を開けると『森が出来ていた』。

「またか」と思い溜息を吐くと


「ひなたくん帰って来た!? 」

「あ、ただいま〜」


風香が顔を青ざめながらこちらに走ってきた。


「もう! 遅いよ!! 何してたのっ!! わたし大変だったんだからねッ!! 」

「あ〜ごめんごめん。ほら、お饅頭だよ〜」


僕は念の為買っておいたお饅頭を風香の口に放り込んだ。


「もぐもぐもぐ・・・おいし〜♡」

「そりゃあ良かった。で、『アリス』は? 」

「ひなたくんの部屋」


僕の部屋か〜、辿り着けるかな?


「『アリス』〜! おにいちゃんだよ〜〜!! 」

「おにいちゃんっ!? 」


森に『アリス』の元気な声が響き渡る。


「おにいちゃん帰って来たの!? 」

「いかにも!! 」

「わ〜い!! 」

「『アリス』お饅頭あるからこの森片付けて〜」

「わかった! 」


目の前に広がっていた森の木々がズズズッと移動し始め、みるみるうちに見覚えのある風景へと変わっていった。そして、ドタドタと階段を降りる音も聞こえてくる。


「おにいちゃんおかえりなさい! お饅頭は!? 」

「ただいま。はい、お饅頭」

「やったやった〜! あ、そうだ! おにいちゃん学校どうだった!? 楽しかった!? 」

「うん、まぁそれなりに」

「むむむ、そっか〜、明日から楽しくなるといいね! 」

「うん、そうだね〜」


風香と『アリス』はお饅頭を頬張りニコニコしながらお話している。一見すると仲の良い姉妹だ。

「微笑ましいな」と眺めていると、白ウサギさんが晩御飯の支度をする為台所に歩いて行くのが見えた。


「おや、お兄さん。おかえりなさい。帰っていたんですね? 」

「うん、ただいま。母さん」

「やだな〜、わたしはあなたの母親じゃありませんよ〜? 」

「ははっ、間違えちゃったね」


白ウサギさんは僕の間違いを笑って見過ごしてくれた。


あぁ、楽しいな。


あぁ、幸せだな。


あぁ、悲しいな。


僕はいつか、この『日々』を


ぶち壊さなければならない。


☆☆☆


朝起きて玄関を開けると、風香ちゃんとかいちょーが談笑していた。

「あぁ、面倒事か」と思って仕方ないからドアを閉め様とすると風香ちゃんにドアをこじ開けられた。


「ひ、ひなたくん!? どうしたの!? 体調悪いのッ!? 」

「大丈夫大丈夫、待って待って、怖いから一旦待って! 」


どこかのホラー映画を思い出す。


風香ちゃん、世話好きなんだけど僕に対しては度が過ぎてるからな〜。

僕が「休む」だなんて言ったら嬉々とした表情で「わたしも休む! 看病してあげる!! 」とか言い出しそう。


「お〜い、ワンコくん、大丈夫かい? 」


家を出るとかいちょーがひょこっと顔を出して待っていた。


「あ、かいちょー、おはようございま〜す。」

「うん、おはよう。」

「ひなたくんわたしには!? 」

「風香ちゃんもおはよ〜」

「えっへへへ」


なんだこの生き物可愛い。


「そう言えばかいちょー、今朝はどうしたんですか?? 」

「いやね、私達の仲じゃない。」

「ひなたくん!? 」


昨日の事言ってるのかこの人は。

バレたら困るんじゃ無いのかな?


「風香ちゃん朝から元気ね〜。」


話を逸らさないと後で面倒くさそう。


「風香ちゃん、冗談だよ」


かいちょーが手を少し上げて無実をアピールすると、風香ちゃんも納得してくれたようだ。


「やっぱりね、君には生徒会に入って欲しいんだ」


お、しつこいな?


「嫌です」

「どうして? 」

「妹が家で待っているので」

「シスコン? 」

「割と」


そうだ。僕はシスコンだ。妹の笑顔を守る為に生きている。


「じゃなくて、ひなたくんはめんどくさがりなだけだと思います。」

「あ、言っちゃった。」

「なんだ、じゃあ生徒会に入る事になんの問題も無いね。」

「あ〜ぁ、入る事になっちゃった。風香ちゃんの所為だ。」

「え? え?? ごめんね?? 」


まぁ、別に入る事自体は構わないんだけどさ。


「僕、役に立ちませんよ? 異能も使えないし。」

「あぁ、それは問題無いよ。それに」

「それに?」

「ワンコくんの異能、わたしなら何とか出来るかもしれない」


「・・・・・・へ? 」


この人は何を言っているんだ?

「わたしなら何とか出来る」?

そんなうまい話があるか。

僕はずっとこの『役立たず』を背負って生きてきたんだ。

それが今更「どうにか出来る」?


「あんたに、何がわかるんですか? 」

「わかるよ。『桃太郎』だもん」


その言葉は、なぜか妙な説得力を持ち、今日1日僕の心の中で響いていた。

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