2話 中
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助けて
「お嬢ちゃんさぁ、自分から誘っといてそれはないんじゃない? 」
ごめんなさい。ごめんなさい。
「謝ってもさぁ? なぁ?? 」
どうして私ばっかり。
どうして私ばっかりこんな目に合うの?
どうして私ばっかりこんな事をしてしまうの??
「まぁいいや。金は払ったんだ。ヤらせてもらうわ。」
いや! やめてください!!
違うんです! 離して下さい!
ごめんなさい! ごめんなさい!
ごめんなさい! ごめんなさい!
ごめんなさい! ごめんなさい!
ごめんなさい
ごめんなさい
いやだよぅ
痛いよぅ
苦しいよぅ
助けてよぅ
お父さん
お母さん
お姉ちゃん
だれか・・・・
【あ〜ぁ、なんか飽きちゃったなぁ↓ 】
「な、なんだ急に! 」
【おじさんさぁ、お金貰ったしもういいや¥ 】
「はぁ!? 何を言ってーーーー」
【キヒヒ♪ ばいばい、おじさん* 】
☆☆☆
「痛い・・・・」
あの後、僕はお姉ちゃんズに揉みくちゃにされ、身体中がボロボロになってしまった。
そして、「誰が看病するか」と言う話になったらしく、じゃんけんで勝ち残ったかいちょーだったので大人しく看病されていた。今は僕の寝転がるベッドの横でピコピコとゲームをやっている。
「災難だったけど自業自得だね」
「ごもっともだけど理不尽です・・・・」
全く最近のヒロインは暴力的でいかんな・・・・
「あれ? じゃあわたし暴力的じゃないしヒロインじゃない?? 一応メインヒロインとしてがんばってるんだけど」
「いや、かいちょーはメインヒロインがんばってますよ。暴力振るわないの偉いです」
僕の言葉にかいちょーの顔が真っ赤になる。
「いや〜! そんな褒められると照れちゃうじゃ〜〜ん!! 」
「褒めたのにさっそく暴力振るってますやん! 」
ひどいわかいちょー! 僕の信頼を裏切るなんて!!
「まぁまぁ、怒らない怒らない。あ、レベル上がった」
「どこまで行きました? 」
「なんか裸の男みたいなのが出た所」
「さっぱりわかんね・・・・」
「ところで君このゲームのプレイ経験は? 」
「無いです! 」
多分今近年最高峰の爽やかな笑顔してると思う。
「ねぇ、かいちょー? 」
「ん〜? 」
僕はずっと聞きたかった事があるのだ。
「詩織さんって昔からあんな感じなんです? 」
「『あんな感じ』? 」
「昔から世話好きなんですか?? 」
「あ〜、まぁ、昔から素質はあったんだろうけど、完全にあの世話好きになったのは妹さんが亡くなった時かな? 」
今、聞いてはいけない事を聞いた気がした。
妹さんが亡くなった?
詩織さんの?
「それって、何年くらい前ですか? 」
「ん? 結構最近の話だよ?? 高校に入ってすぐ。わたしはあんまり接点がなかったんだけど、『意地悪』って有名な子だったから友達もいなくてほとんど身内だけでお葬式したらしいし。」
そっか、詩織さんにそんな過去が・・・・
「ねぇひーくん? お風呂入るから手伝って〜?? 」
なんで僕の周りの人間はすぐシリアスな空気をぶち壊すかな〜?
「お姉ちゃん今いくつだっけ? 」
「う"っ、21・・・・」
「・・・・・・ふっ」
「うわぁぁぁぁん! 鼻で笑われたっ!! 」
撃退しました。横でかいちょーが「え、エグい」と呟いておりますが褒め言葉だね。
「陽くん? いる?? 」
「あぁ、いるよ? 」
「かいちょーが答えるんですね」
今度は詩織さんが入ってきた。
「ごめんね? 」
「え? どれの事ですか?? 」
「う"っ、う〜ん、色々と・・・・」
「あぁ、気にして無いですよ」
「うん、ありがと・・・・じゃ、じゃあ私帰るね? 」
「大丈夫ですか? 一人で帰れますか?? 」
「うん、迎えは呼んだから大丈夫」
「そうですか、お気を付けて」
念の為、玄関の外で一緒に迎えを待ち、見送った。
すげぇよ、こんな閑静な住宅街ではまず見かけない黒塗りの高級車だったよ。
「かいちょーはいつ帰るんです? 」
「う〜ん、老後? 」
「あ、帰る気無いですね」
今日は疲れた。かいちょーの作ったカレーを食べてもう寝る事にしよう。
「かいちょーカレーまだありますか? 」
「お義姉さんが全部食べてた」
「駄姉様ッ!!」
腹いせにお姉ちゃんが買って来ていたプリンを食べてあげた。
かいちょーが食べた事にしたら許された。やったね。
☆☆☆
「や、やめてくれ! こいつだけは!! こいつだけはッ!! 」
薄暗い研究室に叫び声が響く。
中には紫色の霧が立ち込んでいた。
「う〜ん、困るんだよなぁ。勝手に研究材料を持ち出されちゃ。」
白衣を着た女性がため息混じりに呟く。
「金なら払う! あんたの言う通りにもする!! だから!こいつだけはやめてくれ!! 」
いい歳した中年の男性が泣きじゃくる姿を見て、さすがの女性も罪悪感が湧いてくる。
「う〜ん、なんか私が悪い事してるみたいじゃない? 」
【あら? 自分が『悪』じゃないとでも?? 】
霧が黒猫へと変化していき、女性の耳元で囁く。
「私はきちんと『正義』を抱いた研究をしているよ」
【そうかしら? たとえ貴女が『正義』を持って行動してもそれは一般悪だわ。世の中はね? 誰かが決めた『正義』に従うの。そこから外れてしまえば人間は『悪』として取り扱われるわ。】
女性がやれやれと言った態度で頭に手をやる。
「お、おい、誰と話してやがる!! 」
「『冥界へと導いてあげるわ』」
女性が呟いた瞬間、黒猫の首回りに白い斑点が出来る。
男がそれを見つめていると、徐々に斑点は絞首台の形へと変化していく。
「『貴女は絞首刑ね』」
「は、ははは、はははははははははっ!?か"は"ぁ"ッ!?」
男は首元で手を掻き毟るように動かす。
まるで、『見えない縄』を掴もうとするように。
「いやだわ、そんなに苦しそうにしてたらまるで私が悪役みたいじゃない」
【人を殺す事は悪に含まれないのかしら? 】
「ふふっ、人を殺す事は悪ではないわ。」
女性は男の最後には興味が無いかのようにカツカツと歩き始めた。
「人を殺すなんて、誰でも出来るもの。でも、誰もやらないわ。意味が無いもの。人を殺して得られるものなんて、何も無いもの。子供だってわかる。それぐらいの常識なのよ。」
【じゃあ貴女はなぜ人を殺すの? 】
「あら? 簡単な事よ。人は学習する。でも、今の人は学習する『だけ』なのよ。『一般常識だから学ぶ』。それだけね。『学ぶ楽しさ』を全く理解出来ない。人を殺す事だってそうだわ。『理解が出来ない』。だから殺さない。でも私は理解したい。学びたいの。人を殺す事も学ぶ事も大差ないわ。だからこそ滾る。だからこそ私はきっと誰よりも優れた人間になれる。そうすれば、きっと『あの人達』も認めてくれるわ。あぁ、そうそう。それに、〆切はもうすぐだし、ね? 」
【・・・・怖い女ね】
「まぁ、失礼しちゃう」
女性は『研究材料』拾い、研究室を立ち去った。
研究室には男の苦しむ声だけがいつまでも響いていた。
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