4 .お見舞い
お見舞いっていうか…
「わぁ、サリー、とっても大きな病院ね!」
リエジー様の入院している病院を前にしてお嬢様が歓声を上げました。確かに目の前にあるのは大きな病院です。豪華な訳ではありませんが避難所などにも使われるからでしょうか?かなり頑丈そうです。
ボーとしていましたがクリスタに促されて中に入りました。
「綺麗ー!あっ、サリー、リエジー様のお部屋って201であってる?」
「あってますよ!」
リエジーは201の部屋にいるらしく、私たちは階段を登っていった。もう、リエジーでいい。心の中だから。201と書かれた扉の前に立つとトントンとノックする。
「はい。」
中から声が聞こえてくる。
ガチャリとドアを開けると少し驚いた顔のリエジーがいた。
「あっ、1000リオンか。」
「はい。それと婚約破棄と報酬を届けにまいりました。」
「報酬?」
「はい。リエジー様が気絶された後貴族様から多量のお金を受け取りましたので、それを渡そうと思い。」
「なるほど。」
リエジーは頷くと、そのまま言葉を続けた。
「あと、こたびの騒動すまなかった。お前はお主に勝ったからな。良ければもう一度婚約を結んでやっても良いが。」
「謹んでお断り申し上げます。そもそも、結び直すのなら何故婚約破棄されたのですか?」
お嬢様がすかさず断る。すると向こうは驚いたように目を見開いた。断られると思ってなかったとは…あいつの頭はある意味底がしれない。とはいえ今のところ計画はそれなりに順調に進んでいると言えるのかもしれない。
「それは…そのレイア嬢が…」
「レイア嬢が?」
私が詰め寄るとうっ、とリエジーが苦い顔をする。失礼な。
「オルレ様と婚約破棄してくださいませんか、といったからだ。…すまない。その、オルレが俺に厳しいから気を遣ってくれて…今はしっかりと反省をしている。だから、もう一度チャン」
「は?テメェふざけんなよ。」
言い訳を繰り返すリエジーに気づけば口が動いていました。
「お嬢様が厳しい?そんな甘っちょろい教育を受けてきたのでしょうか?お嬢様のことを侮辱するなんて…私がお嬢様を優しく思える教育を是非とも施してやろうと思うのですが?どうしましょ?ふふふふ。」
私が頬に手を添えてお母様直伝メイドの微笑みで優雅に笑いました。リエジーの顔が引き攣ります。
「なぁ、オルレ。でも、お前何も言わなかったよな?」
私が怖かったのか知らないが今度はお嬢様に話を振ります。今更、お嬢様が味方すると?そう思っているのでしょうか?
まえ、ならば味方したかもしれないですけどね。
「ねぇ。あなたは私という婚約者がいながらレイア様にデレデレして…私は可哀想な目で周りから見られて正直うんざりなの。何も言わなかったのはあなたの義母さんに頼りないけどよろしくねって言われたからなの!!義母さんに恩があったから我慢してたのに…」
よっぽど鬱憤が溜まっていたことと裏切られたという悲しさがあるのでしょう。お嬢様はリエジーを切なそうに睨みながら怒り続けます。
まあ、そりゃそうなりますよね、という感じです。全面的にリエジー様が悪いと言うか。
ちなみにリエジーのお母様であるフィリア様は別に悪人ではこざいません。お嬢様の恩というのはおそらく3年前の飢饉の物資提供のことだと思います。リエジーとの婚約どうこうはフィリア様が良ければ…と持ち出した程度の軽いものだったのでしょう。そこからどうしてこうなったのか、詳細まではわかりません。
「でも、」
お嬢様が言葉を一旦止めてにっこり笑いました。
「あなたがレイア嬢を愛しているのならば仕方ないですね。大切に、してあげてください。」
リエジーは少し驚いた顔をした後
「…ああ」
とそう返事しただけだった。
「あ、あのもうそろそろ出た方が…」
少し経つとクリスタが口を開いた。時間は、あと少しで午後か。確かにもうそろそろ出た方が良いかもしれない。
「お嬢様、参りましょう?」
「サリー…そうね。リエジー様、ごきげんよう。」
三人は部屋を後にした。
パタンとドアが閉まった後、お嬢様の翡翠のような目から涙が一つ零れ落ちたのは見なかったことにしました。
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