桃園のような誓いの巻
「そいつのいいなりになっては、ダメだからね……」
クレアは片手を伸ばし、力を振り絞り曹操に訴えかけた。
「まだ、生きていたか! 死にぞこないが!」
黒き魔女は、無抵抗のクレアを蹴りあげた。
「うっ……」
言葉なく再び倒れると、何やら胸元から光るものがあった。
ジルバーグから受け取った、あのロザリオだ。
ロザリオは先程と違って、点滅しながら艶やかな光を帯始めた。
温かくて、何処か懐かしい感じがクレアを包み込む。
そして、日中と同じくらいの明るさに一瞬だけなった。
あまりの明るさに、目が眩む。
「これは……」
「何と、不思議な……」
クレアの目が、通常に戻ると、そこには劉備と孫権がいた。
「劉備、孫権……ようやくわかった。醜い争いをしている場合ではない……ワシらの敵は、この黒き魔女だ!」
「曹操よ、私もそなたの意見に同感だ」
「私も孫権に同じく……」
今まで醜い争いをしてきた魏、蜀、呉が手を取り合い一つになったのだ。
そして、その三つの国に争いをもたらした黒き魔女に、裁きを入れる決断をした。
劉備の温厚な人柄と、人脈は緑の光を放ち、孫権の揺るぎない愛国心と父を思う気持ちは、赤い光を放ち、曹操の冷静な知略と知識は青い光を放った。
そしてそれは一筋の光になり、クレアの大剣に反射し、黒き魔女を捉えた。
「うぎぁぁ」
黒き魔女は叫び声を上げると、呆気なく光の中に消え去っていった。
「劉備、孫権。今まですまなかった。これからは、三國手を取り合って行こうではないか?」
「あぁ」
孫権が曹操にそう言うと、劉備は高々と剣を空に向けた。
それに続くように、曹操と孫権も剣を空に向けた。
「全てが終わったみたいね……」
クレアは貧乳の姿になり、回復の魔法を自らに掛けた後、ジェイムにも掛けた。
「ジェイム、ジェイムってば!」
――プニプニ――
クレアは、気を失っているジェイムの肉球と戯れた。
「や、やめろ」
「気が付いた?」
「クレア、黒き魔女は?」
「劉備さん達が力を合わせて倒しちゃった~」
「それは凄い」
かくして三國が手を取り合ったことにより、黒き魔女は撲滅した。
かのように思えたが、事態は更に悪化の意図を辿っていた。
「クレア、それよりナップとメルルは?」
「いっけない。すっかり忘れていたわ」
クレアとジェイムは曹操らに、お礼の言葉を述べるとナップとメルルを探しに大船団を駆け回った。
「いない……いないわ。何処にいったのかしら……」
焦りと共に、絶望が過る。
すると、またしてもクレアとジェイムは眩い光に包まれた。
「ベスタニャに戻れるのか?」
「わからないわ……とにかく今は、この光に身を委ねるしかないようね」
赤壁を後にしたクレアとジェイム。
果たして、ベスタニャに戻ることは出来るのだろうか?
そして、姿を消したナップとメルルは無事なのだろうか?
謎は謎を呼び、深まっていった。
◇◇◇◇◇◇
「ここは?」
降り立った大地に、クレアはそう言い放った。
三國志編はこれにて終了です。
次回、新たな展開が待っています。




