1話 ――惨状の再来――
2話目もありがと〜!
転生したあの日から気づけば約13年もの月日が経過した。
転生後の今いるこの世界は、私がいた前世からは何年も後か不明なほど過ぎていた。実際、黒の国と白の国の跡地すら欠片もないことが分かっている。だけど闇と光の存在は世間では常識かのように知られているらしい。
そして闇の王と光の王がこの世から消えた以降は現代にかけて闇や光の力を持つ者も現れる存在はおらず伝説とされていて2人の王がいた時を滅却の時代とも今は呼ばれているとのこと。
私は闇の能力を引き継いで転生したのが成功したのだけけれども.....
魔力も小さければ身体能力もまだ低い。能力も身体が追いついておらず技術だけではどうにもならない。正直、実戦を行えるレベルには到底達していない。
すると、居間からはパンの香りが漂う。
「できたわよ〜!」
お母さんが呼んだので、居間に向かう。
食卓について手を合わせる。
「いただきまーす!」
お父さんは朝速くから仕事に行っている。鍛冶の腕が非常に高く、装備が村中の人から好評である。
実際に武器を見たことがある。私から見ても王都に売られていてもおかしくないほどのかなりの代物だと言える。
夜くらいしか会えないけど少ない時間でも構ってくれる最高のお父さんである。
もぐもぐと顎を動かしていると、姉が尋ねてきた。
「そうだ、ミミリィ。今日も帰ったら魔法について教えてちょうだい。あなたに教わる方が正直、先生よりも分かりやすい。」
「任せて!」
かつても配下から知識や実力などで褒められることは多くあった。だけど、家族から言われると少し照れる。それと同時に心が温かくなった。
他愛もない話をし、食事を済ませる。
「ミィちゃーん、今日も学校いってらっしゃい!」
お母さんが私にハグをしてくれ、朝から元気よく言った。
「うん!行ってきまーす!」
返事をし、バッグを背負って私は家を出た。
ここはそこまで特徴もない普通の村。だけど海も山もあって自然が豊かでとても過ごしやすい。
仲の良い友達もできて学校でも不自由なく過ごせてる。
前世では家族がいついたのかも知らずに生きていた。
でも今は家族にも友達にも一緒にいることができ、感謝しきれないほど私の心は救われた。
こんなチャンスはもう二度とない。再び力をつけて最期まで守りきれるようになりたいと心の底から誓った。
本当に、実に順風満帆な日常だった。
――正午、授業中
昼食後のせいか、何人かこくこくと船を漕いでいる。
それでも構わず先生は説明した。魔力についての授業でスクリーンの魔道具を指した。
「――より、最適とされている。だから要するに――」
言葉を紡ごうとした途端、村全体に魔導通信からアナウンスが流れた。非常に切羽詰まっており、焦りが感じられる。
『村全体に告げます.....!ただいま、魔物を確認しました....!魔力が桁違いです!た、直ちに結界構造物へ避な――』
ぐちゃり と生々しい音が飛び散ると共に、声の主が途絶えた。放送は切れていない。ただ荒い呼吸音が魔導通信から聞こえる。
学校中はパニックに陥っている。泣き叫ぶ生徒もいれば、魔物にわくわくする戦闘狂。
私も力が無い不安が故、若干恐怖を感じている。だけどここで更に冷静さを欠いてしまってはいけない。
「私語をやめてついてきなさい!」
先生たちが誘導してくれるため、落ち着いてできる限り素早く行動をする。
ざわつきが収まりきらない中、自体はより悪化していった。各地で爆発が起きたり、燃え広がったりなどして多くの悲鳴が飛び交っている。
私たちは先生の後をついていき、結界構造物へ急ぐ。
その時
――守れない――あの時もそしてまた
あの悔しくどうしようもない記憶が脳裏をよぎる。
本当は今にでも戦って皆の危険を無くしたい。けれど、今の私では即死を免れることはできない。
走っている最中、躓いてしまった。多くの人が前に行っていく。遅れてしまった。
するとこちらに向かってくる友達がいた。
「ミーちゃん!」
友達が私の名前を呼んだ。
「何してるの!」
何してるの。速く逃げないと。そう口に出そうとした。
――その瞬間
ドン!と音が鳴り響いた。すると衝撃波が轟き、私の前方の大地を抉った。
何かが飛び散るような不快な音が耳を貫く。
体勢を整えようとすると砂ぼこりが先に晴れた。
目の前には肉片が散らばった悲惨な光景。地面は血が飛び散っている。友達は力なく横たわっていた。
「そんな...」
急いで駆け寄り、再生魔法を発動しようとするが、魔力が足りず不発する。仕方なく治癒魔法を施すが既に死んでいた。
「待ってよ...!」
私は冷静さを失っていた。皆も見失ってしまった挙句、目先のことだけにしか集中していなかった。
再び音が鳴り響いた。衝撃波が轟いた。魔力を技術で補い強固な結界魔法を発動するが容易に突破された。結界魔法で少し軽減できたものの、勢いよく壁に激突してしまった。
「ゴフッ.....!」
肺の空気を一気に押し出され、更に吐血をした。視界が急激に暗転してしまった。
* * *
「ん....うぅ...」
瞼を開けると吐き気が込み上げてきた。周囲は荒れており、まだ火が立ち昇っているところもある。重い足を動かして身を引きずるように自宅へ向かう。
「みんな.....みんな.....誰か....!誰かいないの!?」
縋る思いで道中を見渡しながら叫ぶ。
しかし時間が経っても誰1人見えないどころか声すら聞こえない。分かっていた。分かっていたけど、少しでも希望が欲しかった。
絶望に打ちひしがれながらもやっとの思いで家へついた。
「お母さ........ん....!?...」
「.......」
カレンを守るように覆い被さって冷たくなっていた。下にいるカレンも同様、血まみれで眠っていた。
「なんで.....なんで....!なんで...!なんで!!!」
叫んでも何も起こるはずもない。ただ音を察知したのか、魔物がやってきた。
やってしまった。深く後悔をした。そうだ。化け物なんてまだいるかもしれないにのに。
ただ、そんな後悔よりも殺された怒りが込み上げた。
すると、私から純黒のオーラのようなものが噴き出して周囲を次々と破壊していった。
「グルル!?」
未知の力に怯えたのか魔物は一歩後ずさる。
身体が酷く痛む。魔力も足りない上に身体も追いついていない。それでも関係無い。今は、こいつらを殲滅する。
闇の力は地獄の劫火のように暴れ狂い、建物や地面、魔物を触れた瞬間に次々と消滅させていった。魔物は抗う間もなく存在を否定され、この世界、因果、時間、あらゆるものから消え去った。
技術で補うことはできず、未熟な身体が故に闇の力は暴走を起こしてしまった。暴走した力は無差別に魔物だけでなく、残っていた遺体も全てが塵ものこらず消え去り村すらも消え果ててしまった。
暴走が鎮まると、更地に私はぽつんと突っ立っていた。
「なんにも.....なんにもできなかった....私が弱いばかりに....」
ふと、視線を上げると1本の刀が突き刺さっていた。お父さんに作ってもらった唯一の剣。
「......月華」
白銀色をした細身の刀身だが、極限まで鍛え抜かれたことが一目で分かる業物。
真横に落ちてる鞘を拾い、月華を地面から抜いて鞘に収める。
すると限界を迎えたのか激しい疲労と、身体が切り刻まれるような痛みに耐えきれずに地面へ倒れ込む。
「力........。強くなる....もっと....もっと...」
絶対に、絶対に全てを超えることを誓った。
最後まで読んでくれたの!?さんがつ!




