広がる配信
池袋ダンジョンの奥へ進み始めてからも、大河の配信には少しずつ人が増え続けていた。
最初のオーク戦を切り抜いた短い動画が拡散され、そこから配信へ流れてきた視聴者がさらに別の場所へ貼る。そんな流れが大河の知らないところで起きており、ついさっきまで三百人にも届いていなかった視聴者数は、歩いている間にも着実に増えている。
【視聴者数:326】
【切り抜きから】
【探索五日目ってマジ?】
【今から追うわ】
【まだ一層?】
大河は時折スマートフォンを確認していたが、流れるコメントすべてを追うことはもう諦めていた。
「一応言っとくと、探索始めて今日で五日目です。昨日Fランクに上がって、池袋は今日が初めてですね」
【やっぱ五日なのかよ】
【情報整理してもおかしい】
【五日でレベルいくつ?】
「レベルは……」
そこまで言って、大河の口が止まった。自分のステータスを見られることには慣れていたが、よく考えれば配信でどこまで公開するべきなのか何も決めていない。探索者にとって、レベルやスキルはそのまま戦闘能力に関わる情報でもある。
「……レベルは秘密で」
【急に警戒した】
【それでいい】
【というか身体強化使ってたし《魔力操作》持ちなのはもう分かってるぞ】
「あ、それは分かるのか」
【そりゃ身体強化は《魔力操作》ないとできないからな】
【身体強化自体は珍しくない】
【五日目でもう実戦投入してる方がおかしい】
「そこは練習したんで」
【一日で?】
【やっぱりおかしい】
《身体強化》は探索者の間では広く知られている技術であり、《魔力操作》を持つ者なら習得を目指すのも珍しくない。つまり、大河が身体強化を使った時点で、《魔力操作》を所持していること自体は隠しようがなかった。
さらに別のコメントが流れてくる。
【それよりその剣気になる】
【魔力刃出てたよな】
【マジックソード系?】
「これですか?」
大河は腰に下げている《マジックソード》へ視線を落とした。
「昨日手に入れました」
【昨日?】
【昨日Fランクに上がったんだよな?】
【待て、それ渋谷のボス報酬じゃない?】
【まさか渋谷ソロ攻略したのか】
急にコメントの勢いが増した。
「渋谷ダンジョンなら昨日攻略しましたよ」
【やっぱりかよ】
【探索三日目で渋谷ソロ攻略?】
【それでマジックソード引いたのか】
【ボス宝箱のレア枠じゃん】
「これ、やっぱり珍しいんですか?」
【そこからなの草】
【ちょっとした当たり武器だぞ】
【新人が持ってるから余計目立つ】
大河は腰の剣を見下ろした。強い武器だとは思っていたが、どうやら自分が考えていた以上に運のいい拾い物だったらしい。
そんなやり取りをしながら角を曲がったところで、大河は前方に複数の人影を見つけた。
「ん?」
魔物ではない。三人組の探索者だった。
三人は通路脇の開けた場所で休憩しているようだった。足元には倒したばかりらしい二体のオークが転がっており、一人が魔石を取り出している間に、残りの二人が周囲を警戒している。
全員、大河より少し年上に見えた。前衛らしい剣を持った男と槍を背負った男、それに杖を持った女性。装備にも使い込まれた跡があり、少なくとも登録したばかりの探索者という雰囲気ではない。
大河がその横を通り過ぎようとすると、剣を持った男が先に気づいた。
「お、配信中?」
視線の先には、大河の後ろをついてきている小型ドローンがある。
「はい。今日から始めました」
「今日から?」
男は少し意外そうな顔をしたあと、大河の装備へ目を向けた。
「一人?」
「一人です」
「池袋初めてじゃないよな?」
「今日が初めてですけど」
三人の動きが、揃って一瞬止まった。
「……マジで?」
「はい」
大河としては、それほど変なことを言ったつもりはない。しかし、先ほどから視聴者たちにも似たような反応をされていることを考えると、どうやらこれも普通ではないらしい。
女性が大河の胸元にあるライセンスを見て、少し目を細めた。
「Fランク?」
「昨日上がりました」
「昨日?」
「探索始めたのも五日前です」
今度こそ、三人全員が黙った。その様子はドローンにも当然映っている。
【また同じ反応されてて草】
【現地民の反応が一番分かりやすい】
【そりゃそうなる】
【本人だけ何がおかしいのか分かってない】
大河は流れているコメントをちらりと確認してから、少しだけ眉を寄せた。
「そんなに変なんですかね」
「いや、変っていうか……」
剣を持った男は困ったように頭を掻いた。
「普通、探索始めて五日でここまで来ないんだよ。池袋ってFランク指定ではあるけど、入れるようになったその日に一人で潜る新人なんてほとんど見ないし」
「そうなんですね」
「その反応なのかよ」
槍を持った男が思わず笑う。三人に敵意はなく、大河も自然と肩の力を抜いた。
「まあ、もう入っちゃってるし、今さら帰れとは言わないけどさ。奥に行くなら気をつけろよ。ここ、一層でも奥の方になると三体、四体で固まってることあるから」
「分かりました。ありがとうございます」
「あと、もし無理だと思ったらちゃんと引けよ。Fランクになったばっかりなら尚更な」
「はい」
大河は素直に頷いた。無茶をして死ぬつもりはない。その辺りは、渋谷ダンジョンの初日に一層で引き返した時から変わっていなかった。
ただ――三体、四体。
その言葉を聞いた瞬間、少しだけ楽しみになったのも事実だった。
そんな大河の表情を見ていた女性が、わずかに苦笑する。
「……なんか、あんまり心配いらなそうな顔してるね」
「そうですか?」
「してるしてる」
再び三人が笑い、大河もつられて笑った。そのまま軽く頭を下げ、彼らの横を通り過ぎて奥へ進んでいく。
【いい人たちだった】
【ちゃんと忠告聞けよ】
【三、四体って聞いて嬉しそうにすんな】
【絶対今ちょっと楽しみにしただろ】
「してないですよ」
【嘘つけ】
即座に返ってきたコメントを見て、大河は小さく笑った。
それから十分ほど進んだ頃、前方から複数の足音が聞こえてきた。先ほどの三人組に言われた通り、この辺りから魔物がまとまって行動することが増えているらしい。
通路の曲がり角から現れたのは、三体のオークだった。中央の一体が大きな鉈を持ち、その左右に棍棒を握った二体が並んでいる。
大河は足を止め、《鑑定》を使った。
【オーク レベル:22】
【オーク レベル:24】
【オーク レベル:23】
「三体か」
【さっき言われた直後に来たな】
【ちゃんと引くんだぞ】
【でもこいつ絶対やるだろ】
「まだ何も言ってないだろ」
そう返しながらも、大河の視線は三体の動きを追っていた。レベルだけなら、どれも今の自分と大きな差はない。問題は数だが、先ほど二体を相手にしたことで複数戦の感覚も少しずつ掴めてきている。
何より、昨日覚えた《身体強化》を試すにはちょうどよかった。
「やってみます」
【知ってた】
【無茶するなよ】
【身体強化あるとはいえ三体だからな】
胸の奥にある魔力を両脚へ流し、そのまま右腕から《マジックソード》へ繋げる。昨日は右脚だけでも制御が乱れていたというのに、何度も実戦で繰り返したことで、魔力の流れを作るまでの時間は明らかに短くなっていた。
黒い刀身の外側へ、半透明の刃が滑らかに形成される。
【やっぱ形成速くなってない?】
【昨日覚えたって本当なら成長早すぎ】
【身体強化もさっきより安定してる】
「自分でも、最初よりはやりやすくなってきた気がしますね」
大河がそう答えた直後、三体のオークが一斉に動いた。
中央の一体が正面から突っ込み、左右の二体が少し遅れて広がる。単純に三体が同時に襲いかかってくるわけではなく、逃げ道を潰すような動きだった。
「なるほど」
大河はその場から下がらなかった。正面のオークが鉈を振り下ろす瞬間、両脚へ流していた魔力を一気に強める。身体が横へ滑るように加速し、鉈の軌道から抜けると同時に右側のオークへ距離を詰めた。
「まず一体」
棍棒が振り上げられるより早く、《マジックソード》を胴へ走らせる。魔力の刃が厚い皮膚を切り裂き、オークの身体が大きく崩れた。
しかし倒れきる前に、左側から別の棍棒が迫ってくる。
大河は無理に追撃せず、一度距離を取った。
【今の判断うまい】
【前だったらそのまま倒し切りに行ってそう】
【ちゃんと複数戦覚えてるな】
大河自身も、昨日までとの違いを感じていた。一体を倒すことだけに意識を向ければ、その瞬間に別の敵から攻撃を受ける。渋谷ダンジョンのボス戦で散々味わった失敗を、同じように繰り返すつもりはない。
負傷した一体を視界の端に残しながら、中央にいたオークへ向かって踏み込む。真正面から向かえば残る二体に挟まれるため、途中で進路を変え、あえて外側へ回り込むように動いた。
その動きにつられるように三体の位置関係が崩れ、負傷した一体が追いつけず、残る二体だけが先に大河を追う形になる。
「やっぱり、速さがあると楽だな」
昨日までは攻撃をかわすために使っていた《身体強化》だったが、今は敵の位置そのものを崩すためにも使える。単純に脚が速くなるだけではなく、その速さをどう使うかで戦い方そのものが変わるのだと、大河は実戦の中で理解し始めていた。
先頭のオークが振るった鉈を身を低くしてかわし、そのまま懐へ入り込む。《マジックソード》を横薙ぎに振り抜くと、半透明の刃が脇腹を深く切り裂いた。
そこへ追いついたもう一体が棍棒を振り下ろすが、一歩だけ後ろへ下がって軌道を外し、返す動きで肩口へ剣を走らせる。
「ブオオオッ!」
二体の咆哮が重なって洞窟内へ響いた。
最初に傷を負わせた一体がようやく後方から追いついてくる。それを確認した瞬間、大河は逆に前へ踏み込み、今しがた肩を切り裂いたオークへ一気に距離を詰めた。
「まず、こっち」
胸元へ一閃。魔力の刃が深く食い込み、オークの巨体がその場へ崩れ落ちる。
残り二体。
負傷していた一体はすでに動きが鈍っている。先にそちらを倒せば数は減るが、その間に元気な一体へ背中を見せることになる。
「だったら、先にこっちか」
大河は無傷に近いオークへ自分から距離を詰めた。
横薙ぎに振るわれた棍棒の内側へ潜り込み、《マジックソード》を下から振り上げる。魔力の刃が胸元から肩口まで深く走り、巨体が大きく仰け反った。
追撃しようとした瞬間、背後から重い足音が近づく。
大河は無理に倒し切ろうとせず、その場から横へ跳んだ。直後、負傷していたもう一体の棍棒が、大河のいた場所へ振り下ろされる。
「やっぱり来るよな」
二体とも傷を負っている。最初に比べれば、動きも随分鈍くなっていた。
大河は一度だけ息を整えると、今度は迷わず負傷の大きい方へ踏み込み、振り上げられた棍棒より先に懐へ入って胸元へ《マジックソード》を突き込んだ。
「ブ……オ……」
巨体から力が抜け、そのまま地面へ倒れ込む。
残り一体。
最後のオークが咆哮を上げながら突進してくるが、大河はその動きを最後まで見切り、棍棒が振り下ろされる直前に右へ踏み込んだ。
身体強化によって加速した身体が側面へ一気に滑り込み、そのまま一閃。半透明の刃が脇腹から深く入り、巨体を切り裂いた。
「ブオッ――!」
最後のオークが数歩よろめき、やがて膝から崩れ落ちる。
大河は三体すべてが動かなくなるまで周囲を警戒し、戦闘が完全に終わったところで身体の奥へ熱が流れ込んでくるのを感じた。
「……上がったかな」
《鑑定》を使う。
【天草 大河】
【レベル:24】
「一つ上がった」
三体との戦闘で、レベルは23から24へ。
大河は三体分の魔石を回収して《アイテムボックス》へ収納すると、そこでようやく配信の存在を思い出した。
「あ、そうだ」
スマートフォンを取り出す。
【視聴者数:463】
「……また増えてるな」
【三体普通に倒したぞ】
【さっき忠告してた三人に見せたい】
【身体強化の使い方覚えるの早すぎる】
【レベル非公開なのにレベルアップしたのは言うんだな】
「別に一つ上がったくらいならいいかなって」
【基準が分からん】
【そこじゃない】
【切り抜きまた上がったぞ】
【三体戦もう貼られてる】
【そこから来た】
数字はさらに増えていく。
大河は画面を眺めながら小さく笑った。
「なんか、どんどん人増えるな」
初配信を始めた時には、誰か一人でも見に来れば十分だと思っていた。それが今では四百人以上。どうしてここまで増えているのか、大河自身はまだ完全には理解できていない。
「じゃあ、まだ時間あるし、もう少し進みます」
【待ってました】
【どこまで行く気だ】
【初日で攻略すんなよ】
【こいつならやりそう】
「さすがに今日は様子見ですよ」
【信用できない】
【渋谷初日もそう言ってそう】
大河は笑いながらスマートフォンをしまい、再び池袋ダンジョンの奥へ向かって歩き始めた。
*
その後も、大河は一層を進み続けた。
現れるのはオークを中心に、ゴブリンより一回り大きな亜人型の魔物や、渋谷ダンジョンのケイブウルフよりも身体能力の高い獣型の魔物。単体で現れることは少なく、二体から四体ほどで行動していることが多かった。
それでも最初の頃のように、一戦ごとに長く足を止めることはなくなっていた。《鑑定》で相手の強さを確認し、《身体強化》で距離を詰め、《マジックソード》の魔力刃で仕留める。
戦闘を重ねるほど魔力の扱いにも慣れ、最初は強く意識しなければ維持できなかった両脚への身体強化も、少しずつ自然に続けられるようになっていった。
【また速くなってない?】
【最初のオーク戦と動き違うぞ】
【戦いながら上手くなってるの分かるの面白いな】
【これ成長速度おかしいだろ】
「自分でも、最初よりはやりやすくなってきた気がします」
配信を始めた頃にはほとんど独り言だった会話も、今では自然にコメントへ返事をするようになっていた。
一層の終盤へ到達する頃には、視聴者数は五百人を超えている。
*
池袋ダンジョンは、全十階層。
渋谷ダンジョンの倍の深さを持ち、五階層には中間地点となるボス部屋、最深部である十階層にはダンジョンボスが存在している。
大河はそのことを事前に調べていたものの、初日から最奥まで進むつもりはなかった。
二層へ降りると、魔物の平均レベルはさらに上がった。オークだけでなく、武器を持った大型のゴブリンや、硬い甲殻に覆われた四足の魔物まで姿を見せ始める。
しかし、それ以上に変化していたのは大河自身だった。
一層で何度も《身体強化》を使ったことで、魔力を左右の脚へ同時に流すことへの違和感が薄れている。《マジックソード》へ魔力を送りながらでも、以前ほど集中を乱されなくなっていた。
途中で何度か攻撃を受けそうになる場面はあったものの、大きな傷を負うことなく二層を突破。
さらに三層。
四層。
時間の経過とともに魔物の数と強さは増していったが、それに比例するように大河のレベルも上がっていく。
三層を抜けた時点でレベル25。四層の後半では、レベル26に到達していた。
【今日だけで結構上がってるぞ】
【初日から進みすぎじゃない?】
【Fランクなりたてとは】
【もう完全に初心者の動きじゃない】
「でも、まだ四層ですよ?」
【全十階層だからって初日に半分行くな】
【感覚がおかしい】
大河はコメントを見て笑いながら、そのまま五層へ続く通路へ足を踏み入れた。
*
五層へ入ると、それまでとは空気が少し変わった。
通路自体はこれまでと大きく変わらないが、魔物の数が明らかに減っている。その代わり、一体一体のレベルは高く、出会う相手のほとんどがレベル25を超えていた。
大河もさすがに歩く速度を落とし、これまで以上に慎重に周囲を確認しながら進んでいく。
「この先が中間ボスなんだよな」
【そう】
【五階層の一番奥】
【今日はやめとけよ】
【初日だぞ】
「まだ戦うって言ってないですよ」
【言ってないだけで迷ってるだろ】
「……ちょっとは」
【ほら】
コメント欄が一斉に流れる。
実際、大河の中にも興味はあった。渋谷ダンジョンのボスだったホブゴブリンより、どれほど強いのか。今の自分ならどこまで戦えるのか。
知りたいという気持ちは強い。
しかし時間を確認すると、探索を始めてからすでにかなり経っていた。体力にはまだ余裕があるものの、魔力を使い続けたことで集中力にも少しずつ疲労が出ている。
何より、初めてのFランクダンジョンである。
無理をする理由はなかった。
「今日はここまでにします」
【おお】
【ちゃんと止まれるんだ】
【安心した】
【誰だ無茶するって言ってたやつ】
「俺を何だと思ってるんですか」
【戦闘狂】
【五日目で五階層まで来る新人】
【ボス見たら突っ込みそうなやつ】
「……否定しづらいな」
自分でも少し笑ってしまう。
やがて、通路の先に巨大な扉が見えてきた。渋谷ダンジョンの最奥で見たものとよく似ている。ただし、ここはまだ五階層。
池袋ダンジョンの中間地点に過ぎない。
大河は扉から少し離れた場所で足を止めた。
「ここか」
【中間ボス部屋】
【初日でここまで来たの普通に速い】
【明日やる?】
「たぶん」
【絶対やるやつ】
「今日はちゃんと帰りますよ」
大河は扉をしばらく眺めたあと、踵を返した。
ここまで来たのなら、次はあの先だ。
焦る必要はない。
*
帰還した頃には、外はすっかり夕方になっていた。
池袋ダンジョンの入口を離れ、人通りの少ない場所まで移動したところで、大河はようやく配信を終えることにした。
「今日はこの辺で終わります。初配信だったんですけど、思ってたより人来てくれてありがとうございました」
自分で口にしてから、少しだけ照れくさくなる。
【おつ】
【初配信お疲れ】
【明日もやる?】
【中間ボス楽しみにしてる】
【フォローした】
「明日も潜ると思うんで、たぶん配信します」
【たぶんじゃなくてやれ】
【待ってる】
「考えときます」
最後にそう返し、配信を終了した。
静かになったスマートフォンの画面へ、配信結果が表示される。
【最大同時視聴者数:684】
【フォロワー:312】
「……三百人?」
配信開始時はゼロだった。最初の一人が来ただけでも驚いていたはずなのに、数時間後には三百人以上が自分をフォローしている。
「配信って、こんな増えるもんなのか?」
もちろん、大河はまだ知らない。切り抜かれた動画が今も広がり続けていることも、その動画を見て次の配信を待ち始めている人間がいることも。
ただ、今日一日で分かったことはある。
戦うことは楽しい。強くなることも楽しい。そして、誰かにそれを見てもらうことも、思っていた以上に悪くない。
「……明日もやるか」
小さく呟き、大河はスマートフォンをポケットへしまった。
次に待っているのは、池袋ダンジョン五階層。
その最奥にいる、中間ボスだった。
【天草 大河】
【レベル:26】
【体力:36】
【筋力:37】
【耐久:35】
【敏捷:38】
【魔力:34】
【精神:39】
【常在スキル:――】
【発動スキル:《詠唱》《アイテムボックス》《鑑定》《魔力操作》】
【探索者ランク:F】




