表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者、懲役1000年。 千年後、俺は勇者ではなく悪魔になっていた。  作者: 直助
第五章 再生の灯火

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
86/125

第86話 天空の遺跡の影

 雲の影が、

 地上を流れていく。


 ドラゴンは、

 北の遺構へ向けて飛び続けていた。


 眼下の景色が、

 少しずつ変わっていく。


 人の営みは見えない。


 ただ。


 風だけが、

 吹いていた。


 その時。


 リオラが、

 前方を指差す。


「あそこの山……」


「あれよ!」


「天空の遺跡!」


「何かあるとすると――」


「あっちだと思うわ」


 ミヅキも、

 その方角を見る。


 山の頂。


 空へ突き出すように、

 遺跡が残されている。


 ――あんなところに、

 遺跡が……。


 ――文献には、

 書かれていない……。


 ミヅキの瞳が、

 わずかに揺れた。


 やがて。


 ドラゴンが、

 天空の遺跡の上空へ辿り着く。


 レグルスが、

 静かに口を開く。


「何があるか、

 わからない」


「俺が、

 様子を見る」


 そう言うと。


 レグルスが、

 静かに立ち上がる。


 その時。


 レグルスの身体が、

 ドラゴンの背から消えた。


 リオラとミヅキの目が、

 見開かれる。


「えっ!?」


「ちょっと、

 レグルス!」


 風が、

 吹き抜ける。


 レグルスの身体が、

 遺跡へ向けて落ちていく。


 やがて。


 その姿が、

 地上へ降り立った。


 リオラは、

 その様子を見届ける。


 そして。


 隣のミヅキと、

 顔を見合わせた。


「なんてやつよ……」



 遺跡へ降り立ったレグルスは、

 静かに周囲を見渡した。


 崩れた石壁。


 風化した柱。


 

 レグルスの瞳が、

 わずかに細まる。


 ――やはり。


 ――エクリシウスの気配が、

 残っている……。



 レグルスは、

 ゆっくりと歩き出す。


 一歩。


 また一歩。


 遺跡の奥へ。


 静かに歩を進めていく。


 やがて。


 少し開けた場所へ辿り着いた。


 遺跡の中心部だろうか。


 レグルスが、

 足を踏み入れる。


 その瞬間。


 空気が変わった。


 見えない境を、

 越えたような感覚。


 レグルスの瞳が、

 わずかに細まる。


 ――前にも、

 同じことがあった。


 ――セレナリスの遺跡で……。


 静かな風。


 その時。


 レグルスの視線の先で、

 魔力が膨らみ始める。


 空間が揺れる。


 歪む。


 そして。


 形が生まれた。


 甲冑を纏った影。


 両腕には剣。


 見上げるほどの巨体。


 その姿を見た瞬間。


 レグルスの表情が、

 わずかに変わる。


 その姿には、

 見覚えがあった。


 ――あの時の……。


 ――魔王城で戦った、


 あの影か……。



 形が、

 はっきりとした瞬間。


 甲冑を纏った影が、

 地面を砕くように踏み込む。


 一気に、

 レグルスとの距離を詰めた。


 速い。


 レグルスの瞳が、

 わずかに細まる。


 その手が、

 剣を抜く。


 魔力が、

 刃へ集まる。


 次の瞬間。


 二本の剣が、

 レグルスへ振り下ろされた。


 激しい衝撃。


 一刀は、

 剣で弾く。


 もう一刀は、

 身体を捻って躱した。


 レグルスが、

 一気に影の側面へ回り込む。


 そして。


 剣を振り下ろした。


 だが。


 甲冑が、

 その刃を受け止める。


 硬い音が響いた。


 影が、

 剣を薙ぎ払う。


 レグルスは、

 地面を蹴った。


 後方へ飛ぶ。


 距離を取る。


 砂埃が舞う。


 静かな睨み合い。


 レグルスの額に、

 わずかに汗が滲んだ。


 ――強い……。


 わずかな沈黙。


 ――いや……。


 ――俺の魔力が、

 弱まっているからか……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ