第81話 揺れる炎、語られる想い
夜。
炎は、
少しずつ小さくなっていた。
揺れる火。
静かな夜風。
レグルスとミヅキが、
火を挟むように座っている。
炎の音だけが、
静かに響いていた。
しばらくの沈黙。
やがて。
ミヅキが、
静かに口を開く。
「エクリシウスと……」
「戦うんですよね」
レグルスが、
小さく頷く。
「ああ」
再び、
静寂が落ちる。
ミヅキが、
揺れる火を見つめたまま呟く。
「どうして、
あなたは……」
「逃げないのですか」
「今のエクリシウスの魔力は――」
「間違いなく、
あなたより大きい」
火が、
小さく揺れる。
レグルスは、
静かに炎を見つめる。
わずかな沈黙。
「――今、
三英雄と呼ばれている者たち」
「先生も――」
「剣の師匠も」
「そして、
友も……」
「他にも、
多くの人々が――」
「明日に続く者たちのために、
命を落としていった……」
炎が、
静かに爆ぜる。
「あれから、
千年の月日が経った今も――」
「繋がれた命は、
続いている……」
レグルスの瞳に、
火が映る。
「絶対に――」
「終わらせるわけにはいかないんだ」
その時。
少し離れた場所。
リオラが、
足を止めていた。
声が聞こえた。
レグルスと、
ミヅキ。
静かな空気。
リオラは、
声をかけられずにいた。
わずかに、
魔力の気配が揺れる。
レグルスの瞳が、
静かに細まる。
ミヅキも、
気づいていた。
だが――。
ミヅキが、
再び静かに口を開く。
「あなたは、
月の……」
「セレナリスの者たちに、
濡れ衣を着せられて――」
「千年、
封印された……」
「それなのに……」
レグルスは、
静かに炎を見つめる。
わずかな沈黙。
「俺は……」
「アウレリアを、
見捨てた」
「それは、
事実だ」
ミヅキが、
言葉を重ねるように口を開く。
「それに――」
「エクリシウスは、
元々……」
言いかけて、
止まる。
ミヅキが、
レグルスから視線を外す。
揺れる炎。
静かな夜風。
レグルスが、
その様子を見つめる。
「――セレナリス王家の者……」
ミヅキの瞳が、
揺れる。
「どうして、
それを……」
レグルスが、
静かに目を伏せる。
「やはり……
そうか」
ミヅキの目が、
わずかに見開く。
火が、
小さく爆ぜた。
レグルスが、
静かに続ける。
「昔――」
「先生に……」
「大賢者に聞いた時」
「お前と、
同じ顔をしていた」
「それに――」
「エクリシウスの奥底に、
セレナリス王家の魔力を感じた」
ミヅキが、
静かに炎を見る。
「セレナリス王家の罪……」
「でも――」
「あなたに頼ることしか、
できない……」
レグルスが、
小さく首を振る。
「お前が、
背負うことではない」
「俺たちの時代の――」
「さらに前のことだ」
静かな沈黙。
二人が、
揺れる炎を見つめている。
少し離れた場所。
リオラが、
静かに立っていた。
その場を離れようとした時。
ミヅキが、
再び口を開く。
「――あなたは……」
「自分自身が、
何者なのか……」
「知っていますか……」




