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勇者、懲役1000年。 千年後、俺は勇者ではなく悪魔になっていた。  作者: 直助
第四章 残された光

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第80話 新しい日々

 森の中。


 切り倒された木々が、

 地面へ横たわっている。


 木漏れ日。


 湿った土の匂い。


 メルクリウスが、

 周囲を見渡す。


「よし――」


「このくらいで、

 いいだろう」


「あとは、

 遺跡へ運んでいくか」


 人々が、

 静かに頷く。


 大木は、

 レグルスとメルクリウスが担ぐ。


 比較的小さな木は、

 他の者たちが持ち上げていく。


 メルクリウスが、

 木を担ぎながら口を開く。


「これだと、

 かなり時間がかかりそうだが……」


「仕方ないか」


 その時。


 遠くから、

 声が響く。


「おーい!」


 人々の視線が、

 そちらへ向く。


 森の向こう。


 リオラが、

 こちらへ歩いてくる。


 その隣。


 大きなバイソン。


 さらに後ろには。


 石車輪を使った、

 簡素な運搬具が続いていた。


 リオラが、

 運搬具を見ながら口を開く。


「これ、

 使えそうかしら」


「職人さんに、

 作ってもらったの」


 メルクリウスが、

 わずかに目を見開く。


「アウローラ様――」


「ありがとうございます」


 一拍。


「大木は、

 私とレグルス殿で運ぶ」


「他の者は、

 積み込みを頼む」


 人々が、

 静かに動き始める。


 木材が、

 運搬具へ積み上げられていく。


 バイソンが、

 ゆっくりと足を踏み出した。


 重い音。


 石車輪が、

 地面を転がっていく。


 リオラが、

 その様子を見ながら小さく笑う。


「人だけで運ぶより、

 ずっと早そうね」


 木材が、

 少しずつ遺跡へ運ばれていく。


 森の中に、

 静かな活気が広がっていた。




 遺跡の中心部。


 木材が、

 次々と運び込まれていく。


 切り出された木。


 束ねられた枝。


 小さな獣。


 採ってきた野草。


 人々の声が、

 静かに重なっていた。


 リオラが、

 周囲を見渡しながら声を上げる。


「みんな、

 お疲れ様」


「今日は、

 早めに休んでねー」


 薪が、

 火へくべられる。


 炎が、

 大きく揺れた。


 火の光が、

 人々を照らしていく。


 まだ作業を続ける者。


 食材を、

 切り分ける者。


 水を運ぶ者。


 やがて。


 少しずつ。


 火の周囲へ、

 腰を下ろす者が増えていく。


 空が、

 ゆっくりと暗くなっていった。


 火を囲みながら、

 人々が食事を取っている。


 静かな笑い声。


 温かな湯気。


 その時。


 リオラが、

 火を見つめながら小さく呟く。


「毎日、

 毎日――」


「新しいことの連続ね」


 火が、

 静かに揺れる。


 やがて。


 炎は、

 少しずつ小さくなっていく。


 人々も、

 それぞれの寝床へ移り始めていた。


 遺跡の夜が、

 静かに更けていく。




 火は、

 小さくなっていた。


 遺跡は、

 静まり返っている。


 聞こえるのは。


 薪の爆ぜる音と、

 夜風だけ。



 その前に。


 レグルスが、

 静かに座っていた。



 揺れる火。


 その時。


 足音。



 ミヅキが、

 こちらへ歩いてくる。



「レグルスさん――」


 静かな夜風。


「少し、

 お話いいですか」


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