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勇者、懲役1000年。 千年後、俺は勇者ではなく悪魔になっていた。  作者: 直助
第四章 残された光

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第78話 再び動き出す

 闇が、

 静かに揺らぐ。


 黒い魔力。


 その中心。


 エクリシウス。


 静かな沈黙。



 ――やはり、

 邪魔が入るか……。


 わずかに、

 闇が脈打つ。


 ――円環が、

 崩れた。


 だが――。


 ――まあ、

 良い……。


 黒い魔力が、

 ゆっくりと渦を巻く。


 ――それでも、

 魔力はこちらへ流れている。


 ――まだ、

 止まってはいない。






 朝。


 人々が、

 静かに動き始めていた。


 遺跡の中心部。


 火が、

 まだ小さく残っている。


 その前に。


 レグルスが、

 静かに座っていた。


 消えかけた火を、

 見つめている。


 その時。


 リオラが、

 こちらへ歩いてくる。


 レグルスへ気づくと、

 目を見開く。


「帰ってきたなら、

 言いなさいよ」


「どうだった?」


 レグルスが、

 静かに答える。


「エクリシア王国全体が、

 闇に包まれていた」


「今のままなら……」


「近づくことも、

 できないだろう」


 リオラが、

 腕を組む。


「あなたがそう言うなら――」


「どうすればいいのかしらね」


 静かな空気。


 その時。


 レグルスの視線が、

 ゆっくりと上がる。


 視線の先。


 ミヅキ。


 ――この地が、

 昔のような魔力で覆われている……。



 ――ミヅキか……?



 ミヅキが、

 こちらへ歩いてくる。


 リオラが、

 ミヅキへ気づく。


「あっ、

 ミヅキ」


「おはよう」


 ミヅキも、

 静かに応じる。


「おはようございます」


 ミヅキが、


 静かに二人を見る。


 一瞬だけ、

 レグルスと視線が合う。


 静かな呼吸。


「昨日、

 調べ物をしていて――」


「わかったことがあります」



 ミヅキが、

 静かに話し始める。


 遺跡で見つけた記録。


 エクリシウスの円環。


 そして、

 昨日起きた出来事について――。




 リオラが、

 小さく首を傾げる。


「円環……?」


「また、

 難しいこと言うわね」


 ミヅキが、

 静かに答える。


「難しい話ではありません」


「リオラさんと、

 レグルスさんは――」


「すでに、

 一度経験しています」


 リオラが、

 目を瞬かせる。


「私たちが……?」


 ミヅキが、

 小さく頷く。


「エクリシウスを追って、

 北の遺構から――」


「最後は、

 太陽の王国まで回った」


「おそらく、

 あれが円環を作る作業だったのでしょう」


 静かな空気。


「ただ――」


「その過程で、

 各地へ魔力を刻む必要がある」


「この地には、

 おそらく魔力が刻まれたはずです」


「昨日の、

 私の行動によって……」


 レグルスが、

 静かに口を開く。


「ここを起点に――」


「北と南の遺構、

 そして太陽の王国へ」


「魔力を刻まなければならないか……」


 ミヅキが、

 静かに頷く。


「そうですね……」


「大賢者は、

 “反転”と記していました」


「わかりませんが――」


「エクリシウスとは、

 逆回りにするのかもしれません」


 リオラが、

 視線を上へ向ける。


「ということは――」


「ここから次は、

 北の遺構か……」


 ミヅキが、

 静かに答える。


「そうですね」


「ただ――」


「ここの生活を、

 安定させることも大切です」


「この地へ魔力を刻んだことで――」


「エクリシウスへ流れる魔力は、

 弱まっているはずです」


「旅立つのは、

 もう少し後にしましょう」


 リオラが、

 小さく頷く。


「そうね」


「まずは、

 生活第一で動きましょ」


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