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勇者、懲役1000年。 千年後、俺は勇者ではなく悪魔になっていた。  作者: 直助
第四章 残された光

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第74話 反転の円環

『我が名は――』


『エクリシウス』



 ミヅキは、

 その記述を見つめる。



 静かな空気。



 ――エクリシウスは、

 かつての皇太子……。



 ――月の王家の者……。



 ――月の王国が、

 あの闇を生み出した……。



 ミヅキが、

 ゆっくりと頁をめくる。



『その時に、

消し去ることができていれば』


『このようなことには、

なっていなかった』



『王家と賢者たちは、

セレナリス王国を――』



『いや、

自分たちだけを守ろうとした』



 ミヅキの瞳が、揺れる。



『賢者たちは集い、

エクリシウスを王国の外へ追放した』



『さらに、

巨大な魔力結界を張ったことで』


『エクリシウスは、

王国へ近づくことができなくなった』



『しかし――』



『エクリシウスはその後』


『大国も、

小国も、

集落も――』



『数多の国を、

破壊し尽くした』



『残されたのは、

このセレナリス王国と』


『アウレリア王国のみとなった』



『そして今――』


『エクリシウスは、

世界の中央に座している』



『この歴史は――』


『誰にも伝えられていない』


『隠された歴史だ』



 ミヅキの視線が、

 静かに文字を追う。



『私が、

この国の成り立ちを調べる中で』


『地下に残された、

不穏な魔力に気づいた』


『そして、

私が辿り着いたのが』


『この歴史だ』



 頁を、めくる。



『私の代で――』


『この災厄を、

終わらせる』



『しかし、

それが叶わなかった時は――』


『王家の中に、

賢き者が現れることを願う』


『そして、

この事実が伝わることを願う』




 ミヅキの視線が、


 静かに止まる。


 地下の静寂。


 魔光石の淡い光だけが、


 部屋を照らしている。


 ミヅキが、


 ゆっくりと目を閉じる。


 ――私たちは……。


 ――それを、


 神と崇めた……。


 拳が、


 わずかに握られる。


 ――消えかけていた闇を、


 復活させてしまった。


 ――情けない……。


 ――申し訳ない……。


 静かな呼吸。


 やがて。


 ミヅキが、


 ゆっくりと顔を上げる。


 ――でも。


 ――今、


 できることを……。


 ――あの闇を、


 消し去るために。



 まだ、

 記述は続いていた。



『エクリシウスは、

この世界に魔力の円環を生み出そうとしている』


『エクリシウスの城を中心として――』


『西のセレナリス』


『東のアウレリア』


『北と南の、

失われた国』


『これらを、

魔力で繋ぐことで――』


『円環が、完成する』


『そして、

その魔力は中心へ流れ込む』



 ミヅキの瞳が、揺れる。



 ――ここまでは、

 私の予測と一致している。



 頁を、めくる。



『セレナリスとアウレリアは、

堕とされてはならない』


『もし、

二つの国が堕ち』


『円環構造が完成した時は――』



『反転の円環を生み出し』


『その力を、

打ち消さなければならない』



 ――反転の円環……。


 ――いったい、

 どうすれば……。



 ミヅキの瞳が、揺れる。



 さらに、

 頁をめくる。



 そこに、

 記されていた言葉。



『ある青年について、

ここに記しておく』


『レグルス――』


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