第72話 記された罪
ミヅキが、杖へ魔力を込める。
杖が、淡く輝く。
暗闇を、照らす。
ミヅキが、壁づたいに階段を降りていく。
静かな足音。
冷たい空気。
――この先に、何かが……。
杖で、足元を照らす。
一段。
また、一段。
慎重に、下へ。
やがて。
階段を、降り切る。
その先。
暗い通路が、続いている。
ミヅキが、さらに進む。
石壁。
静寂。
やがて。
通路が、途切れる。
行き止まり。
ミヅキの目が、細まる。
――ここも、壁に何かある……。
静かに、壁へ触れる。
その瞬間。
壁が、一瞬揺らぐ。
波紋のように。
ミヅキの瞳が、揺れる。
――やはり。
ミヅキが、壁を押す。
手が、すり抜ける。
そのまま。
壁の向こうへ、通り抜ける。
壁の向こう。
ミヅキが、慎重に周囲を見渡す。
杖の光が、暗闇を照らす。
石壁。
棚が、並んでいる。
ミヅキの目が、細まる。
――本棚……?
その時。
光が、広がる。
「……っ」
部屋全体が、一気に照らし出される。
ミヅキが、反射的に目を細める。
視線の先。
部屋の中央。
巨大な魔光石が、輝いている。
ミヅキの体ほどもある、大きさ。
淡い光が、部屋を包んでいる。
ミヅキの瞳が、揺れる。
――大きい……。
――これほどの魔光石が……。
静かに、周囲を見渡す。
本棚。
積み重ねられた書物。
埃を被った机。
その奥。
魔光石の陰に、机が見える。
ミヅキが、近づく。
机の上。
一冊の本。
ミヅキが、静かに手を伸ばす。
本を、開く。
頁を、めくる。
ミヅキの目が、細まる。
――やはり、この時代の文字は……。
一拍。
――いや、読める……?
戸惑い。
視線が、文字を追う。
――どうして……。
ミヅキの瞳が、揺れる。
――大賢者の魔力か……。
さらに、読み進める。
そこに記されていた言葉。
『王家の者へ』
ミヅキの呼吸が、わずかに止まる。
――やはり。
――ここには、王家の魔力を持つ者しか入れない……。
頁を、めくる。
静かな音。
次の頁。
そこに記されていた言葉に。
ミヅキの目が、止まる。
『セレナリス王家、最大の罪について記す』
ミヅキの瞳が、揺れる。
――どういうこと……?




