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勇者、懲役1000年。 千年後、俺は勇者ではなく悪魔になっていた。  作者: 直助
第四章 残された光

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第71話 導かれるように

 レグルスが、遺跡の中心部から離れる。


 森の方向へ。



 その時。


 賑やかな声が、聞こえる。



 視線を向ける。



 リオラ。


 子どもたち。


 ドラゴン。


 そして。


 バイソン。



 子どもたちが、笑っている。


 リオラが、レグルスに気づく。


「おーい!」


「バイソンが、戻ってきたよー!」



 レグルスが、小さく頷く。



 近づく。


 バイソンを、撫でる。


「お前も、無事だったか」



 バイソンが、低く鳴く。



 レグルスの視線が、リオラへ向く。


「少し、エクリシア王国の様子を見に行く」



 リオラの表情が、強張る。


「大丈夫なの!?」



 レグルスが、森へ視線を向ける。


「ああ」


「危険なところまでは、近づかない」



 そのまま。


 レグルスが、森の奥へ消えていく。






 水源と、水路を繋ぐ作業が進んでいく。


 剣士たちが、土を掘る。


 草を刈る。


 石組みの水路跡を、少しずつ露出させていく。



 ミヅキが、その様子を見渡す。


「私は、もう少し周辺を調べてみます」


 剣士たちへ告げる。


 そして。


 その場を離れる。


 ――大賢者は、何かを残しているはず……。


 ミヅキが、遺跡の奥へ進む。



 まずは、王家の区画。


 他よりも、大きな建物。


 石造りの様式も、違う。


 ミヅキの視線が、周囲をなぞる。


 ――ここが、王家の住まいだった場所……。


 だが。


 屋根は、崩れている。


 壁も、割れている。



 ミヅキが、静かに目を閉じる。


 魔力を、探る。


 だが。


 何も感じない。


 ミヅキの目が、開く。


 ――大賢者は。


 ――王家や、他の賢者たちと距離を置いていたように感じる。


 視線が、崩れた建物へ向く。


 ――ここには、何もないか……。


 ミヅキが、歩き出す。


 遺跡の中を。


 残る魔力を、探りながら。



 その時。


 建物の中から、人が出てくる。


 寝床として使われ始めた場所。


 中を使いやすいよう、片付けているようだった。


 ミヅキの視線が、周囲へ向く。


 ふと。


 違和感。


 ――この辺りだけ……。


 ――建物が、綺麗に残りすぎている……?


 視線が、建物をなぞる。


 王家の区画ほど豪華ではない。


 だが。


 崩壊も、少ない。


 ――王国に仕える者たちの区画……?


 ミヅキが、歩く。


 扉の外れた建物。


 中を、覗き込む。


 人々が、掃除をしている。


 ミヅキが、静かに魔力を探る。


 だが。


 何も感じない。


 隣の建物。


 さらに、その隣。


 順番に、確認していく。


 おかしな場所は、ない。


 そして。


 最後の建物。


 ミヅキの視線が、止まる。


 ――ここになければ、仕方ないか……。


 静かに、中へ入る。


 その瞬間。


 違和感。


 足が、止まる。


 ――何か、ある。


 残る魔力が、強いわけではない。


 だが。


 空気が、違う。


 ――何かが、ある。



 ミヅキが、建物の奥へ進む。


 静かな足音。


 残る魔力を、辿る。



 ――何かに、導かれているような……。


 やがて。


 突き当たり。


 壁。



 ミヅキの視線が、細まる。


 同じ造りの建物が、並んでいた。


 だが。


 ――ここだけ、奥行きが浅い……?



 静かに、壁へ近づく。


 手を、触れる。


 その瞬間。


 壁が、一瞬揺らぐ。


 波紋のように。


 ミヅキの目が、見開かれる。



 ミヅキが、壁を押す。


 次の瞬間。


 体が、壁の向こうへ抜ける。


「っ……!」


 勢い余って、奥へ倒れ込む。



 ミヅキが、振り返る。


 混乱。


 ――今のは……?



 壁へ、再び触れる。


 手が、すり抜ける。



 ミヅキの瞳が、揺れる。


 ――大賢者の魔力に、反応したのか……。



 狭い空間。


 建物と建物の隙間。


 ミヅキの視線が、下へ向く。


 地下へ続く、階段。


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