表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者、懲役1000年。 千年後、俺は勇者ではなく悪魔になっていた。  作者: 直助
第三章 太陽と月、そして影

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/73

第61話 魔王、再臨

 バイソンが、駆ける。


 その背に、レグルスとリオラ。



 聖地へ。


 風が、流れる。



 レグルスの視線が、わずかに揺れる。


 魔力。


 濃い。


 強まっている。


 ……先生の魔力。


 ――ミヅキか。



「見て!」


 リオラの声。



 前方。


 聖地。


 中央塔。

 ――神の間。



 壁が、崩れている。


 土煙が、上がる。



 レグルスの目が、細まる。


 ――エクリシウス。





 聖地、中央塔。


 外階段を、大神官が駆け上がる。


 ――何が起きている。



 中へ。


 さらに、上。



 英雄たちの間。


 聖職者たちが、集まっている。



 ざわめき。



「大神官様!」


「この上……神の間です!」


「神の再臨では……!」


「どうか、立ち入りの許可を!」



 声が、重なる。


 その中で。


 大神官の足が、止まる。



 ……違う。


 気づく。


 遅れて。


 ――魔力。


 重い。


 濃い。


 恐ろしい。


 ……ミヅキとの接続が切れたからか。


 ここまで、見えていなかった。



「大神官様!!」


 呼びかけ。



 だが。

 ――馬鹿どもが。



 その時。


 天井が軋み、崩れ落ちる。


 影が、降りてくる。



 聖職者たちが、どよめく。


 息が、漏れる。


 歓声にも似た、ざわめき。



 大神官の目が、見開かれる。


 ――あれは。


 一歩、退く。


 さらに。


 後退る。


 そして。


 逃げる。


 元来た階段へ。



 聖職者たちは、動かない。


 見上げている。


「……あなたは」


「神か……」



 影が、形を取る。


 エクリシウス。


「ああ」


 静かに。


「私が、エクリシウスだ」



 一瞬、静まる。


 次の瞬間。


 ざわめきが、膨れ上がる。


「神の再臨だ……」


 誰かが、呟く。


 広がる。


 歪んだ、熱。



 エクリシウス影が、わずかに歪む。


「私の一部にしてやろう」



 影が、広がる。


 床を、這う。


 壁を、覆う。


 空間を、満たす。






 外階段。



 大神官は、足をもつれさせながら降りる。


 ――ここで終わってたまるか。



 ミヅキ。


 どこだ。


 降りきる。


 外廊下。


 正面。


 ミヅキ。



 足が、止まる。


「どこにいた!」


「早く、魔力を――」



 言い終わる前に。


 ミヅキが、杖を掲げる。


 制するように。



 空気が、張る。



 大神官の目が、見開かれる。


「それは……」


「大賢者の杖……」


「貴様……それを持ち出していいと思っているのか!」


 踏み込む。


「いいから、寄越せ!」


 手を、伸ばす。



 その瞬間。


 閃光。



 弾かれる。


 大神官の体が、吹き飛ぶ。


 床に、叩きつけられる。



 ミヅキの声。


 震えながらも、強い。


「国の一大事に……」


「もう、あなたたちには任せられない」


「英雄たちの意志を……」


「無駄には、しない」



 大神官が、吠える。


 その時。


 上。


 中央塔の上部。


 壁が、崩れる。



 影。


 降る。



 ミヅキの視線が、上がる。



 ――エクリシウス。


 大神官が、後退る。



 足が、止まらない。



 エクリシウスが、ミヅキを見る。


 わずかに、歪む。


 ――この魔力。


 セレナリスの王家のものか。


 そして。


 ……あの賢者。


 千年前の。


 厄介だな。



 視線が、移る。


 大神官へ。


 ――こちらも。


 王家の魔力。


 歪んでいる。


 奪ったか。


「ちょうどいい」



 影が、伸びる。


「まずは、貴様からだ」



 大神官が、逃げる。


 間に合わない。


 影が、絡む。



「やめ――」


 声が、途切れる。


 呑まれる。



 静寂。



 ミヅキの瞳が、揺れる。


 エクリシウス。


 ――魔王。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ