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勇者、懲役1000年。 千年後、俺は勇者ではなく悪魔になっていた。  作者: 直助
第三章 太陽と月、そして影

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第52話 王国へ急ぐ

 朝の祈り。


 静かな詠唱。


 空気が、満ちる。


 メルクリウスは、入り口付近に立っている。


 動かない。


 ただ、待つ。


 祈りが、終わるのを。



 やがて。


 人が、動き出す。


 王族。


 聖職者。


 順に、外へ。


 最後に。


 大神官。



 メルクリウスが、一歩進む。


「大神官様」


「少し、よろしいですか」



 大神官の視線が、向く。


 ――こいつか。

 嗅ぎ回っているのは。


「どうされましたか」



「ミヅキ様のことですが……」


「最近、姿が見えません」


「どうされたのでしょうか」



 わずかな間。


 大神官は、目を細める。


「……ご心配には及びません」


「こちらで対処しております」



 メルクリウスの眉が、わずかに動く。


「しかし……」


 一歩、踏み込む。


「アウローラ様も、皇位継承権を剥奪されています」


「これ以上の混乱は、民の不信に繋がります」



 空気が、張る。



 大神官の声が、落ちる。


「ミヅキ様は、罪を犯されました……」


「皇女といえど、例外ではありません」



 メルクリウスが、言葉を継ごうとする。


 だが。


 大神官の手が、わずかに上がる。


 ――制す。


「もう、よろしいでしょう」


 視線が、わずかに鋭くなる。


「あなたの立場も、危うくなりますよ」



 沈黙。



 メルクリウスの表情が、わずかに曇る。



 大神官の視線が、止まる。


 ――太陽の……


 ――アウレリアの魔力か。


 読めない。


 思考が、遮られている。


 吸えない……。


 わずかに、口元が歪む。



 背を向ける。


 そのまま、去っていく。



 メルクリウスは、動かない。


 ただ。

 その背を、睨みつける。





 廊下。


 足音が、響く。


 大神官は、歩く。



 わずかに、視線が沈む。


 ――読めない。


 あの男。


 思考が、掴めない。


 吸えない。


 眉が、わずかに動く。


 ――厄介だな。



 足を、止めない。


 そのまま、先へ。


 ――巡回を増やすか。


 入れさせなければいい。



 扉の前。


 手をかける。


 開く。



 ミヅキの自室。



 空気が、淀んでいる。



 ミヅキが、座らされている。


 力なく。


 視線は、落ちている。



 大神官の目が、細まる。


 すぐに。


 興味が、切り替わる。


 ――今は、これだ。



 近づく。



「……もう、やめてください」


 かすれた声。



 大神官は、止まらない。


「お前に、決定権はない」


 一歩。


 距離を詰める。


「魔力を寄越せ」



 腕を、掴む。


 引き抜く。


 流れる。


 吸い上げられる。



 ミヅキの身体が、わずかに揺れる。



「……まだあるではないか」


 口元が、わずかに上がる。


 魔力が、流れ続ける。





 バイソンの背。


 揺れる。


 旧街道。


 地面は、崩れている。


 轍は、途切れ。


 石が、露出している。


 踏み固められていたはずの道が、

 崩れている。


 手入れが、止まっている。



 リオラが、前を見たまま言う。


「……ひどいわね」



 バイソンの足が、沈む。


 それでも、進む。


 リオラが、軽く首元を叩く。


「ごめんね、もう少しだけ」



 レグルスの手が、伸びる。


 触れる。


 魔力が、流れ込む。


 バイソンの動きが、強まる。



 風を、切る。


 速度が、上がる。



「王国まで……」


 リオラが、息を吐く。


「もう少しのはずよ」


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