表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者、懲役1000年。 千年後、俺は勇者ではなく悪魔になっていた。  作者: 直助
第二章 追放と魔力の行方

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/67

第31話 過去の影

 草原。


 風が、流れている。


 二人は、歩く。


 足元。


 土の中に、石が並んでいる。


 まっすぐに。


 途切れて、また現れる。


 草に、半分埋もれている。


 道の、形だけが残っている。


「……これ、道?」


 リオラが、足元を見る。


「……昔の、だ」


 そのまま、歩く。


「そういえばさ」


 一拍。


「悪魔って呼ばれてたけど」


「アンタレスのこと?」


 返事は、ない。


「……あなた、どれくらい生きてるの?」


 少しだけ、間。


「……千年は、越えている」


 リオラは、目を細める。


「はあ……」


 一拍。


「やっぱり、わけありだったのね」


 肩をすくめる。


「まあ、いいか」


 少し前を歩く。


 すぐに、振り返る。


「北の遺構ってさ」


「行ったこと、ある感じよね?」


「……ああ」


 一拍。


「昔に」


 わずかに、視線が動く。


「……通っただけだ」


 わずかに、間。


 その言葉が、


 遅れて、沈む。


 ――通った。


 記憶が、引かれる。




 石の道。


 まだ、崩れていない。


 人の気配が、残っている。


 二人は、歩いている。


 並んで。


 レグルスは、周囲を見ている。


 崩れた建物。


 風に削られた壁。



「……先生」


 一拍。


「……このあたりにも、国があったんですね」


 隣。


 先生は、視線を前に向けたまま。


「ああ」


 一拍。


「エクリシウスによって、滅ぼされたと伝えられている」


 風が、抜ける。


「今、残っているのは」


 一拍。


「我々と、アウレリアだけだ」


 レグルスは、黙る。


 足音が、続く。


 石を踏む音だけが、残る。


「……エクリシウスは」


「どうして、こんなことを……」


 答えは、すぐには返らない。


 わずかな間。


「わからない」


 静かに、落ちる。


「だが――」


 先生の足は、止まらない。


「こうなる前に」


「倒さなければならない」


 一拍。


「僅かだが」


「魔力が、強くなっている」


 風の中。


 その言葉だけが、残る。


「日に日に、だ」


 レグルスは、顔を上げる。


「……急がねばならない」


 足音が、重なる。


 石の上に。


 道は、続いている。


 まだ、崩れていない。


 その先へ。





 風が、抜ける。


 草が、揺れる。


「レグルス」


 一拍。


「魔獣よ」


 リオラの視線が、横へ流れる。


「こっちに、気づいてるみたい」


 長く伸びた草の奥。


 影が、動く。


 低い姿勢。


 群れ。


 五、六。


 唸りが、混じる。


 レグルスは、目を細める。


 ――エクリシウスの影響か。


 わずかに、空気が重い。


 ――魔力が、強まっている。


 手を、かける。


 剣を、抜く。


 刃に、魔力を流す。


「……ここで、待っていろ」


 レグルスは、歩き出す。


 草を、分ける。


 一歩。


 また、一歩。


 距離が、詰まる。


 その瞬間。


 影が、弾ける。


 群れが、一斉に飛び出す。


 牙。


 土を蹴る音。


 レグルスは、動かない。


 振る。


 横に。


 一閃。


 空気が、裂ける。


 音は、遅れる。


 次の瞬間。


 群れが、崩れる。


 地に、落ちる。


 動かない。


 静寂。


 風だけが、残る。


 レグルスは、剣を下ろす。


 血は、少ない。


 魔力が、焼き切っている。


 振り返る。


 リオラが、立っている。


「……やっぱり、すごいわね」



 レグルスは、何も言わない。


 剣を、収める。



「ついでに」


 リオラが、辺りを見る。


「このあたりで、一旦休みましょうか」


 足元。


 石が、並んでいる。


 崩れかけた、縁。


 その一つに、腰を下ろす。


 草が、揺れる。


 風が、抜ける。


 二人は、そこにいる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ