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勇者、懲役1000年。 千年後、俺は勇者ではなく悪魔になっていた。  作者: 直助
第一章 千年の果てに

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第28話 剥奪と追放

 石の部屋。


 長い机。


 向かいに、白い衣の男たち。


 数は、三。


 誰も、動かない。


 視線だけが、集まっている。


 ミヅキは、座っている。


「神の間で、何が起きた」


 低い声。


 正面の男。


 ミヅキは、わずかに息を整える。


「……大神官が」


「魔力を、吸収していました」


 沈黙。


「吸収、だと」



「はい」



 別の男が口を開く。


「その結果は」



「……大神官の中に、収まりました」


「その直後、変化が起きています」



「変化とは」


 声が落ちる。



 ミヅキは、答える。


「黒い魔力が、溢れ」


「空間が、歪みました」


 視線が、わずかに揺れる。



「……神の顕現ではないのか」



 ミヅキは、首を振る。


「……私には」


「神には、見えませんでした」



 空気が、変わる。


「……神を否定するのか」


 視線が、集まる。



「否定はしていません」


「ただ、そうは見えなかった」



 間。



 別の男が、口を挟む。


「では、何だと言う」



 ミヅキは、言葉を選ぶ。


「……エクリシウス」


 一拍。


「レグルスが、そう呼んでいました」


 

「……エクリシウス」


 その名が、落ちる。


 ざわめきが走る。


「……神の御名だ」


「まさか……」


 声が重なる。


「その存在は、どうなった」



「……霧のように」


「消えました」



 沈黙。



「……消えた?」


「神が……?」


 空気が揺れる。


 視線が、鋭くなる。


「その場には、誰がいた」



「私と、レグルス」



 一拍。



「神の間に、なぜ入った」



 ミヅキは答えない。


 視線だけが、落ちる。



「本来、許されていない場所だ」


 低い声。


「侵入者が現れた」


「その場にいたのは、お前とその男」


「その直後、神は姿を消した――と」


 一拍。


「偶然とは思えんな」


 断じる声。


 沈黙。


「その男――レグルス」


「何者だ」


 視線が、突き刺さる。


「銀の髪だった、な」


 別の男。



 ミヅキは、わずかに目を伏せる。


「……はい」



 一拍。



「――それで十分だ」


「伝承と一致する」


「悪魔が、再び現れた」


 空気が、固まる。


「この国から、排除しなければならない」


 断定。


 迷いはない。


「……あの者を、この国へ招き入れたのは」


 一拍。


「アウローラ皇女と、聞いている」


 視線が、ミヅキへ集まる。


「間違いないか」



 ミヅキは、静かに頷く。


「……はい」


 沈黙。



「ならば、皇女にも」


「聞かなければならないことがある」


 一人が、立ち上がる。


「この件は、聖職院が預かる」


 短く告げる。


「王家には、すでに報告済みだ」


 椅子が、引かれる音。


 視線が、外れる。



 ミヅキは、動かない。


 ただ、座っている。


 手は、膝の上。


 力が、入っている。


 だが――震えてはいない。


 扉が、開く。


 白い光が、差し込む。




 やがて、


 扉が閉じられる。




 ――次。


 別の部屋。


 広くはない。


 机。


 向かいに、白い衣。


 リオラは、立っている。


 椅子は、用意されていない。


「アウローラ皇女」


 名を呼ぶ声。


「レグルスという男、悪魔を、この王国に招き入れた」


 一拍。


「事実か」



 リオラは、視線を外さない。


「……そうよ」


 間。


「私が連れてきた」


 沈黙。


 視線が、集まる。



「では――その男が、神の間へ侵入した件」


「無関係とは言うまい」



「……関係はあるでしょうね」


 迷いはない。


 わずかに、息を吸う。


「でも――あいつは、悪魔なんかじゃない」


 その瞬間。


「断定するな」


 声が、落ちる。


 遮られる。


 空気が、固まる。


「神の間は乱れた」


「その直後、神は姿を消した」


 一拍。


「因は、そこにある」


 リオラは、何も言わない。


 言葉が、止まる。


「王家といえど、例外ではない」


 低い声。


「この件は、聖職院が裁定する」


 一歩、前へ。


「アウローラ皇女」


 一拍。


「その責、軽くはない」


 沈黙。


 短く、告げる。


「皇位継承権を、剥奪する」


 言葉が、落ちる。


 揺れない。


 決まっている。


「……異論はあるか」



 リオラは、顔を上げる。


 わずかに、笑う。


「ないわ」


 視線を、正面へ戻す。


 揺れない。



 次の声。


「レグルス」


 一拍。


「当該人物は、王国より追放とする」


「この地に、居場所はない」


 静かに、告げられる。


 それで、終わりだった。


 何も、覆らない。


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