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勇者、懲役1000年。 千年後、俺は勇者ではなく悪魔になっていた。  作者: 直助
第六章 光射す世界へ

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121/125

第121話 折れた剣

 上空。


 ドラゴンの背から。


 リオラとミヅキは地上を見下ろしていた。


 吹き荒れる黒い魔力。


 崩れた城。


 砕けた石畳。


 そして。


 エクリシウスと対峙するレグルス。


 ミヅキは目を閉じる。


 意識を集中する。


 魔力の流れ。


 大地を巡る力。


 微かな痕跡を辿る。


 やがて。


 その瞳が開かれた。


 ――あそこ……。


 視線の先。


 崩れた城の一角。


 城壁と建物の一部だけが、

 辛うじて残っている場所だった。


 ミヅキは指を差す。


「あそこです」


 静かな声。


「とにかく、

 あの場所へ降りてみましょう」


 リオラも頷く。


「そうね」


 すぐにドラゴンへ声をかけた。


「あそこに降りて」


 ドラゴンは小さく唸る。


 そして。


 ゆっくりと降下を始めた。



 一方。


 地上。


 エクリシウスは空を見上げていた。


 黒い瞳が細まる。


 ――また何か企んでいるな……。


 ドラゴンが向かう先を見る。


 崩れた城跡。


 二人の目的までは分からない。


 だが。


 見過ごす理由もなかった。


 エクリシウスは片手を上げる。


 黒い魔力が集まる。


 やがて。


 一振りの刃を形作った。


 影の刃。


 次の瞬間。


 それは一直線にドラゴンへ向かって放たれた。


 空を裂く黒い閃光。


 リオラが目を見開く。


「まずい――」


 その時だった。


 轟音。


 瓦礫の山から土煙が舞い上がる。


 レグルスだった。


 吹き飛ばされたはずの身体が。


 再び空へ跳び上がる。


 銀色の光が閃く。


 レグルスは剣を振るった。


 影の刃と激突する。


 轟音。


 黒い魔力が砕け散る。


 だが。


 レグルスは止まらない。


 そのまま剣を振り抜く。


 砕けた影の刃ごと。


 巨大な斬撃を放った。


 一直線に。


 エクリシウスへ向かう。


 エクリシウスは片手を上げた。


 斬撃が激突する。


 衝撃。


 だが。


 次の瞬間には弾き飛ばされていた。


 エクリシウスは表情一つ変えない。


「まあ、いい」


 静かな声。


 その視線はレグルスへ向けられる。


「お前を殺せば」


 黒い魔力が揺らぐ。


「それで全てが終わる」


 レグルスは着地する。


 剣を構える。


 エクリシウスもまた。


 静かにレグルスを見据えていた。



 レグルスは剣を構えた。


 銀色の魔力が刀身を包む。


 そして。


 一閃。


 巨大な斬撃が放たれる。


 一直線に。


 エクリシウスへ向かう。


 エクリシウスは片手を上げる。


 斬撃を弾いた。


 だが。


 その瞬間には。


 レグルスの姿は消えていた。


 地を蹴る。


 一気に距離を詰める。


 エクリシウスの懐へ潜り込んだ。


 そして。


 剣を振るう。


 銀光が閃いた。


 刃は確かにエクリシウスを捉える。


 手応えもあった。


 だが。


 浅い。


 刃が入り込まない。


「弱い魔力だ……」


 静かな声。


 次の瞬間。


 エクリシウスの魔力が膨れ上がる。


 黒い奔流。


 レグルスの剣が軋む。


 嫌な音。


 そして。


 砕けた。


 刀身が折れる。


 レグルスの目が見開かれる。


 体勢が崩れる。


 その隙を。


 エクリシウスは見逃さなかった。


 黒い魔力が振るわれる。


 轟音。


 レグルスの身体が吹き飛んだ。


 瓦礫を砕く。


 崩れた石壁を貫く。


 そして。


 再び瓦礫の山へ叩きつけられた。


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