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勇者、懲役1000年。 千年後、俺は勇者ではなく悪魔になっていた。  作者: 直助
第六章 光射す世界へ

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第117話 太陽を喰らう影

 地下神殿。


 ミヅキは、

 壁面に穿たれた巨大な穴を見つめていた。


 そこにあったはずのもの。


 セレナリス王家の魔力を受け継ぐ、

 巨大な魔光石。


 静かな空間。


 やがて。


 ミヅキは小さく息を吐いた。


「もうここには……」


 周囲を見渡す。


「何も残されていないようです」


 並ぶ石の台。


 巨大な祭壇。


 壁面の穴。


 全てを確認する。


 そして。


 穴の奥へ視線を向けた。


「こちらから外へ出ましょう」


 静かな声。


「おそらく、

 地上へ繋がっています」


 レグルスとリオラは、

 小さく頷いた。


 三人は、

 巨大な穴の中へ足を踏み入れる。


 岩肌が剥き出しになっていた。


 自然にできた洞窟ではない。


 何かを運び出すために。


 急いで掘られたような通路だった。


 ところどころには、

 木材や石材による補強の跡も残されている。


 長い年月を経ているが。


 その痕跡は、

 今もなお残っていた。


 三人は、

 ゆっくりと坂を登っていく。


 ミヅキは、

 足を進めながら目を細めた。


 静かな思考。


 ――ずっと不思議だった。


 エクリシア王国での日々。


 王都。


 神殿。


 王家。


 脳裏に浮かぶ。


 ――なぜ、

 エクリシア王国で二つの王家が

 生かされていたのか……。


 静かな疑問。


 ――名ばかりの王家が。


 かつては理解できなかった。


 だが。


 今なら分かる。


 地下神殿で見たもの。


 石の台。


 巨大な穴。


 そして。


 王家の亡骸から生まれる魔光石。


 全てが繋がる。


 ――王家の者が、

 魔光石になるから……。


 ミヅキの瞳が細まる。


 ――だから、

 生かされてきたのか……。


 静かな確信。


 ミヅキは、

 さらに前を見据える。


 ――ここにあった魔光石は、

 聖地と呼んでいた場所にある……。


 静かな思考。


 ――それが必ず鍵になる。


 拳を握る。


 ――エクリシウスを倒すための……。



 やがて。


 行き止まりへ辿り着く。


 岩壁。


 だが。


 隙間から風が吹き込んでいた。


 リオラは、

 魔光石の光を向ける。


「外からの風は感じるわね」


 その言葉を聞くか聞かないか。


 レグルスが前へ出た。


 拳を振るう。


 轟音。


 岩壁が砕け散る。


 崩れた岩の向こうに、

 眩しい光が差し込んだ。


 リオラが目を丸くする。


「やるならやるって、

 言ってからにしてよ!」


 レグルスは何も答えない。


 三人は外へ出た。


 そこは。


 遺跡の入口近くだった。


 リオラが周囲を見回す。


「ここは……」


 すぐに気づく。


「遺跡の入口のところね」


 近くでは。


 ドラゴンが静かに待っていた。


 ミヅキは、

 振り返って崩れた穴を見る。


 ――このまま真っ直ぐ行けば。


 ――エクリシア王国の方向……。


 静かな確信。


 ――やはり、

 魔光石を運び出すための穴だった……。


 その時だった。


「ちょっと、あれ!」


 リオラの声。


 空を指差している。


 レグルスとミヅキも、

 反射的に視線を上げた。


 そして。


 二人の表情が変わる。


 空高く輝く太陽。


 その周囲へ。


 黒い影が広がっていた。


 まるで。


 何かが太陽を喰らっているかのように。


 陽光が弱まる。


 世界が暗くなる。


 ほんの数瞬で。


 昼間とは思えない薄暗さが広がった。


 風が止まる。


 静寂。


 レグルスは目を細めた。


 ――エクリシウス……。


 静かな確信。


 ――もう、

 時間は残されていない……。


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