第116話 魔光石の正体
地下に広がる空間。
並ぶ石の台。
そこへ刻まれた、
セレナリスの名。
巨大な祭壇。
そして。
壁面に穿たれた巨大な穴。
ミヅキは、
その光景を頭の中で整理していた。
静かな思考。
やがて。
巨大な祭壇へ歩み寄る。
表面へ刻まれた文字。
長い年月で風化していたが。
まだ読むことはできた。
『セレナリスの魔力を――』
掠れた文字。
『未来へ繋ぐ』
ミヅキの目が細まる。
――やはり……。
静かな確信。
その視線は、
祭壇の奥へ向けられる。
壁面に穿たれた巨大な穴。
「この場所に……」
静かな声。
「巨大な魔光石があったと考えられます」
レグルスとリオラが、
ミヅキを見る。
ミヅキは続けた。
「そして、
その魔光石は持ち出された」
巨大な穴を見る。
「この場所から……」
わずかな沈黙。
「エクリシア王国へ」
リオラが目を瞬かせる。
「そんな大きな魔光石……」
首を傾げる。
「どこかにあった?」
ミヅキは静かに頷いた。
「私も見たことはありません」
そして。
ゆっくりと言葉を続ける。
「ですが、
おそらく……」
脳裏に、
かつて訪れた場所が浮かぶ。
「私たちが、
聖地と呼んでいた場所」
静かな確信。
「その地下にあるはずです」
リオラは息を呑んだ。
ミヅキは、
再び並ぶ石の台へ視線を向ける。
「そして――」
わずかな沈黙。
「ここからは仮説ですが」
静かな声。
「魔光石は……」
祭壇を見る。
石の台を見る。
そして。
壁面の巨大な穴を見る。
「王家の亡骸と魔力から、
作られているのではないでしょうか」
リオラの目が見開かれる。
ミヅキは続けた。
「太陽の王国の地下には、
石棺と魔光石がありました」
「そして、
この場所には石の台がある」
静かな空間。
「ですが……」
周囲を見渡す。
「肝心の遺体がありません」
視線を落とす。
「南の遺構でも、
あの少年は光となって消えました」
脳裏に浮かぶ、
湖へ溶けていく光。
「それと、
同じように――」
祭壇へ刻まれた文字を見る。
『王家の魔力を継ぎ』
『セレナリスの輝きを未来へ』
ミヅキは、
静かに息を吐いた。
「ここへ安置された王家の者たちは」
わずかな沈黙。
「死後、
魔光石へ変わっていったのかもしれません」
静寂が広がる。
リオラは、
言葉を失っていた。
レグルスもまた。
何も言わない。
その視線は、
祭壇へ刻まれた文字へ向けられていた。
『王家の魔力を継ぎ』
『セレナリスの輝きを未来へ』
静かな空間。
レグルスは、
ただその言葉を見つめていた。
ミヅキは、
壁面に穿たれた巨大な穴を見つめていた。
そこにあったはずのもの。
セレナリス王家の魔力を受け継ぐ、
巨大な魔光石。
静かな思考。
――大賢者は……。
脳裏に、
あの地下室が浮かぶ。
月の王国の遺跡。
隠されるように残されていた魔光石。
――持ち出されることを、
予見していた……?
静かな確信。
――だから……。
祭壇を見る。
巨大な穴を見る。
そして。
かつて魔力を刻んだ場所を思い出す。
――もしもの時のために。
――あの場所にも、
魔光石を残していたのか……。
ミヅキの瞳が、
わずかに細められる。
バラバラだった出来事が、
一つの答えを示し始めていた。




