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勇者、懲役1000年。 千年後、俺は勇者ではなく悪魔になっていた。  作者: 直助
第六章 光射す世界へ

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115/125

第115話 セレナリスの地下神殿

 朝。


 神殿の跡には、

 静かな空気が流れていた。


 ミヅキを先頭に。


 レグルスとリオラが続く。


 三人は、

 祭壇の前へ立っていた。


 ミヅキは、

 ゆっくりと祭壇へ手を置く。


 そして。


 静かに魔力を流し込んだ。


 次の瞬間。


 祭壇へ埋め込まれた小さな魔光石が、

 わずかに光を放つ。


 淡い輝き。


 流し込まれた魔力へ応えるように。


 祭壇の奥から、

 かすかな振動が伝わってきた。


 低い音。


 だが。


 それ以上の変化はない。


 ミヅキは、

 静かに祭壇を見つめた。


「反応はあります」


 わずかな沈黙。


「おそらく、

 この下に何かあります」


 そして。


 レグルスへ視線を向ける。


「レグルスさん……」


 静かな声。


「頼みます」


 レグルスは、

 小さく頷いた。


 祭壇へ歩み寄る。


 両手をつける。


 そして。


 ゆっくりと力を込めた。


 重い音が響く。


 長い年月、

 動くことのなかった祭壇が軋んだ。


 少しずつ。


 少しずつ。


 横へ動いていく。


 リオラが目を見開く。


「動いた……」


 祭壇の下に、

 わずかな隙間が生まれる。


 レグルスは、

 さらに力を込めた。


 石が擦れる音。


 砂埃が舞う。


 やがて。


 祭壇は大きくずれた。


 その下から。


 暗い空間が姿を現す。


 地下へ続く階段。


 一人が通れるほどの幅。


 長い年月、

 誰にも見つけられることのなかった入口だった。


 三人は、

 その暗闇を見つめていた。



 ミヅキは、

 杖へ魔力を込めた。


 杖の先が淡く輝く。


 リオラもまた、

 魔光石を取り出した。


 二つの光。


 それが暗闇を照らす。


 三人は、

 地下へ続く階段を降り始めた。


 石造りの階段。


 湿った空気。


 足音だけが響く。


 一段。


 また一段。


 長い年月、

 誰も通らなかった道。


 階段はどこまでも続いているようだった。


 ミヅキは、

 杖の光で前方を照らしながら目を細める。


 ――この下に……。


 静かな確信。


 ――アウレリアのような地下神殿が、

 きっとある……。


 やがて。


 三人は階段を降りきった。


 その瞬間だった。


 壁へ埋め込まれていた魔光石が、

 次々と輝き始める。


 淡い光。


 まるで来訪者を迎えるように。


 地下空間が照らし出されていく。


 リオラが息を呑んだ。


 広い空間だった。


 高い天井。


 並ぶ石柱。


 そして。


 左右には、

 石の台が並んでいた。


 一つや二つではない。


 十数基はあるだろうか。


 整然と並ぶその光景は、

 まるで誰かを迎えるために造られたようだった。


 人一人が横たわれるほどの大きさ。


 ミヅキは目を細める。


 ――これは……。


 台の表面には、

 頭を置くための窪み。


 両腕を添えるような彫り込み。


 長い年月で風化していたが。


 人を安置するためのものだと分かる。


 ――寝台……?


 ――いや。


 ――遺体を安置するためのものか……。


 ミヅキは、

 台の側面へ視線を向けた。


 そこには。


 文字が刻まれている。


 風化している。


 だが。


 かろうじて読むことはできた。


『――・セレナリス』


 その前後は、

 掠れて読めない。


 ミヅキは目を細める。


 別の台を見る。


 そこにも。


 似た形式の文字が刻まれていた。


『――・セレナリス』


 あるいは。


『――・セレナリス――』


 やはり全ては読めない。


 だが、

 静かな確信。


 ――王族のための場所……。


 さらに奥を見る。


 巨大な祭壇。


 そして。


 その向こう側。


 壁面に穿たれた巨大な穴。


 まるで。


 何かが持ち去られた跡のようだった。


ここまで読んでいただきありがとうございます。


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