第113話 神殿の跡
メルクリウスを先頭に。
レグルス、リオラ、ミヅキは、
遺跡の中心部へ向かっていた。
見慣れた石畳。
崩れた建物。
人々の声が聞こえてくる。
やがて。
中心部へ辿り着いた。
そこでは、
多くの人々が作業を行っていた。
荷物を運ぶ者。
石材を整理する者。
仮設の建物を組み立てる者。
リオラは、
その様子を見ると笑みを浮かべる。
「みんな、お疲れ様!」
明るい声。
人々も気づき、
次々と振り返った。
メルクリウスもまた。
作業の中心へ向かっていく。
指示を出し。
状況を確認し始めた。
一方。
ミヅキは、
周囲を見渡していた。
「少し、
調べたいことがあります」
そう告げると。
一人で歩き出す。
レグルスは、
その背中を静かに見送った。
ミヅキは遺跡を見渡す。
静かな思考。
――おそらく……。
中央の魔光石を見る。
――ここで魔力を刻んだ場所は。
――大賢者が、
もしもの時のために用意していた
魔光石だったのではないか……?
脳裏に、
これまでの情報が浮かぶ。
――大賢者は、
大神官の一族に排除されることを
危惧していた……。
ゆっくりと歩く。
崩れた建物。
残された石壁。
その一つ一つへ視線を向ける。
――だとすれば……。
ミヅキの目が細まる。
――どこかに、
本来の月の王国の中枢が
あるはず……。
――大賢者が残したあの地下室とは別に……。
ミヅキは、
さらに遺跡の中を歩いていた。
静かな足音。
崩れた建物の間を進む。
視線は、
絶えず周囲へ向けられていた。
――やはり……。
静かな思考。
――何かあるとすると……。
やがて。
ミヅキの足が止まる。
大きな神殿の跡だった。
かつて。
月の王国の中心であった場所。
今は見る影もない。
崩れた柱。
割れた床。
風化した石壁。
そして。
中央には。
祭壇だったものの残骸が残されていた。
ミヅキは、
静かに目を細める。
――残っている……。
ゆっくりと祭壇へ近づく。
わずかに。
魔力の痕跡を感じた。
完全には消えていない。
長い年月を経てもなお。
この場所に留まり続けている。
――大神官の一族は……。
祭壇へ視線を向ける。
――おそらく、
この場所で魔力を集めていた。
静かな確信。
そして。
胸の奥に浮かぶ違和感。
――ここに、
何かある……。
ミヅキは、
祭壇の残骸を見つめていた。
ミヅキは、
その場で静かに目を閉じた。
意識を集中させる。
周囲の魔力。
大地を流れる力。
遺跡に残された痕跡。
ゆっくりと探っていく。
――この魔力は……。
静かな思考。
――どこから感じる……?
風が吹く。
だが。
ミヅキの意識は、
外界から切り離されていた。
祭壇。
床。
崩れた柱。
一つ一つを辿る。
そして。
静かに目を開いた。
視線は、
祭壇へ向けられる。
だが。
すぐに小さく首を振った。
――違う……。
祭壇を見つめる。
――この祭壇からではない。
わずかに目を細める。
足元へ意識を向けた。
――もっと下……。
静かな確信。
――地下から感じる……。
ミヅキは、
ゆっくりと周囲を見渡した。
崩れた石壁。
割れた床。
散乱する瓦礫。
どこかに。
隠されているはずだった。
――入り口がある……。
その瞳が、
静かに鋭さを増していく。
――どこかに……。




