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勇者、懲役1000年。 千年後、俺は勇者ではなく悪魔になっていた。  作者: 直助
第五章 再生の灯火

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第109話 月光の湖

 戦いを終えたレグルスは。


 静かな広場を後にしていた。


 風が吹く。


 崩れた家々の間を抜ける。


 石畳を踏み締めながら、

 湖へ向かって進んでいく。


 リオラとミヅキ。


 そして。


 あの少年が待つ場所へ。


 やがて。


 木々の間を抜けた。


 視界が開ける。


 静かな湖。


 岸辺に伏せるドラゴン。


 その側には。


 リオラとミヅキの姿があった。


 そして。


 地面へ横たえられた少年。


 リオラが、

 レグルスへ気づく。


 だが。


 その表情を見た瞬間。


 レグルスは察した。


 ――まだ、

 目を覚ましていない……。


 レグルスは、

 すぐに駆け寄る。


 少年を見る。


「駄目か……」


 低い声。


 リオラが、

 不安そうに応えた。


「ミヅキが、

 ずっと魔力を送ってくれてたんだけど……」


 視線を落とす。


「目を覚まさないの……」


 ミヅキは、

 少年へ触れたまま静かに口を開く。


「この少年から――」


 わずかに目を細める。


「まだ魔力を感じるのですが……」


 静かな沈黙。


「息を吹き返しません……」


 湖は、

 静寂へ包まれていた。


 風だけが水面を揺らす。


 空を見る。


 日は、

 ゆっくりと傾き始めていた。


 重い空気が流れる。


 誰も言葉を発さなかった。


 湖面だけが、

 静かに揺れている。


 やがて。


 ミヅキが、

 静かに口を開いた。


「とにかく……」


 少年へ視線を落とす。


「明るいうちに、

 探しましょう」


 わずかな沈黙。


「魔力を刻む場所を」


 そして。


 ミヅキは、

 二人を見上げた。


「私は、

 ここに残ります」


 リオラは、

 すぐに頷く。


「わかったわ」


 レグルスも、

 静かに頷いた。


 そして。


 二人は立ち上がる。


 再び。


 静まり返った集落跡へ向かって、

 歩き始めた。




 レグルスとリオラは、

 再び集落の奥へ進んでいた。


 木造の家々。


 崩れた柵。


 静まり返った道。


 二人は、

 その間を歩いていく。


 やがて。


 見覚えのある広場へ辿り着いた。


 先ほど、

 レグルスが影と戦っていた場所。


 リオラが、

 周囲を見渡す。


「ここじゃ、

 なさそうね……」


 静かな声。


 レグルスも、

 辺りへ意識を向ける。


 だが。


 特別な魔力は感じない。


 二人は、

 さらに奥へ進んだ。


 広場の先。


 そこにも。


 木造の家々が並んでいた。


 集落は、

 まだ続いている。


 人の気配はない。


 ただ。


 静寂だけが広がっていた。


 空が、

 少しずつ赤く染まり始める。


 日は、

 ゆっくりと沈みかけていた。


 レグルスは、

 空を見上げる。


 傾いた太陽。


 長く伸びる影。


「一旦、

 戻ろうか……」


 リオラも、

 小さく頷いた。


「そうね……」


 少し疲れたように息を吐く。


「戻りましょうか」


 そう言うと。


 二人は、

 再び元来た道を引き返し始めた。



 二人が湖へ戻った頃には。


 辺りは、

 すっかり薄暗くなっていた。


 湖面には、

 夜の色が広がり始めている。


 リオラは、

 そのままミヅキの側へ駆け寄る。


「何も見つからなかったわ」


 少し疲れた声。


 ミヅキは、

 静かに頷く。


「そうですか……」


 そして。


 横たわる少年を見る。


「少年も……」


 わずかに目を伏せる。


「変わらず……ですね」


 リオラも、

 小さく視線を落とした。


「そう……」


 静かな空気。


 やがて。


 辺りは、

 さらに暗くなっていく。


 焚き火へ火が灯された。


 小さな炎。


 その光が、

 三人の顔を照らしている。


 三人は、

 火を囲むように座っていた。


 リオラが、

 静かに口を開く。


「明日、

 明るくなったら――」


 火を見つめる。


「もう少し、

 範囲を広げましょうか」


 レグルスとミヅキは、

 静かに頷いた。


 夜は、

 さらに深くなっていく。


 だが。


 今日は満月だった。


 白い月光が、

 静かな湖を照らしている。


 そのおかげで。


 闇の中にも、

 わずかな明るさが残っていた。


 リオラが、

 ふと空を見上げる。


「今日は、

 月が綺麗ね……」


 ミヅキも、

 静かに空を見上げた。


 そして。


 ふと、

 湖へ視線を向ける。


 水面に映る満月。


 揺れる月光。


 その瞬間だった。


 ミヅキの目が、

 わずかに細まる。


 ――魔力……?


 静かな湖。


 だが。


 その奥から。


 微かに魔力の流れを感じる。


 次の瞬間。


 湖が、

 淡く輝き始めた。


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