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ほろほろ鳥も夢をみる  作者: Miki Kukiri
56/68

短詩集:西北西からきた欠片たち 





 □西北西からきた欠片たち 





 潮の満ちくる

 広砂浜(ひろすなはま)

 おもひでひとつ

 おいて去る 

 





 宵の暗闇

 うつろで甘い

 恋はにがしと

 ひとり歌 

 





 人買ひ先祖の

 をんながひとり

 夜に佇み

 恋をまつ 

 





 *  *  * 





 夢で枯野を

 かけめぐらむや

 ながき眠りの

 父が消ゆ 

 





 いまいづこ

 いのちわけたる

 ひとがたひとつ

 やまに埋めきし

 あの夢は 

 





 おき棄てられし

 骸のそばに

 サフランもどきが

 ひとつ咲く 

 





 *  *  * 





 夜にむかひて

 恋つぶやけば

 よびもせぬのに

 鬼がでる 

 





 朽ちた誇りに

 絡まる(いろ)

 はるかむかしに

 棄てた夢 

 





 知りもせぬよな

 花ことばから

 恋をはじめた

 気の迷ひ 

 





 *  *  * 





 ゆくへしれずの

 母親さがし

 水琴窟(すいきんくつ)

 なかへ()る 

 




 邪視におびえる

 娘をおいて

 有罪判決

 聴きにゆく 

 





 片眼さしだし

 かちえた妻と

 骨を洗ひに

 海へゆく 

 





 *  *  * 





 蝶の夢のむ

 白蛇ありて

 若き恋また

 終はりけり 

 





 秋薔薇一輪

 咲いてる庭も

 うたふ娘も

 夢の雲 

 





 ながれ着いたる

 ひとがたふたつ

 近づけぬまま

 星のした 

 





 *  *  * 





 しよせんこの世は

 二本の糸が

 綾となりたき

 夢のなか 

 ヨイヤナ 








    西北西からきた欠片たち 了 






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