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ほろほろ鳥も夢をみる  作者: Miki Kukiri
39/68

短歌集:蛇行気分 Ⅱ  



□蛇行気分 承前 





 南蠻よりきたる波濤(はたう)のとどかざる

 砂の城には母の爪あと 





 庭園にむかし埋めにし(をさな)さを

 ほりおこしつつ老婆は泣けり 





 雙生兒(さうせいじ)おなじ(たい)からうまれこず

 さだめの河を流れゆくかな 





 *  *  * 





 どくだみの花ひろがれる廢園の

 夜に宿命(さだめ)をささやきし母 





 緑陰の道のびてあり

 なつかしきひとの聲するむかう側まで 





 白雲(しらくも)の疾くきては去る高原に

 家族そろひし夏かつてあり 





 *  *  * 





 奥山の(やしろ)たづねて往く道の

 樹樹(きぎ)凛として我を()ましむ 





 山際(やまぎは)に細き月あり

 新盆(にひぼん)に家族つどひて

 墓地へゆくとき 





 きのふ見し夢おもひつつ渡りゆく

 橋のしたにてゆらぐ星影(ほしかげ) 





 *  *  * 





 木叢(こむら)には夜の蝉なく

 まなざしをおもひだしつつ

 葉書よむとき 





 夕立が打ちとほりたる大湖(おほうみ)

 奥にひそみて明日をおもふ鯉 





 ささかはのころころくだる谷の夜に

 父母の名をよび経石(きやういし)をおく 





 *  *  * 





 千歳(ちとせ)の夜 星を映してきし海は

 いま鎌倉の濱によせたり 





 たまさりし母の躯をはこびゆく

 緑もえくるふるさとの野を 





 夕暮れの星のさみしさ知るまでは

 ()み駆けてあれ少女らの(むれ) 





 --蛇行気分 了 




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