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短歌集:蛇行気分 Ⅰ
□蛇行気分
白き蛇ひとすぢを見ゆ
ささかはのほとりで逢ひしひと
おもふとき
萬華鏡つくり直して
少年の新たな戀と
夏はひらきぬ
たれひとり歌をしらざるこの巷
けもの驅けるごと風はすぎゆく
* * *
曼荼羅の宙でなくものふえゆけど
花かをるごと少女はゑみぬ
想ひびと去りけるのちの薄皮に
異人棲みてただゑみてあり
盜癖をもつ少年のまどろめば
果ての空にて繊き月消ゆ
* * *
墓石を巡る白蛇の身のごとく
誇りかにある冬の月かも
爪色をかざりゆきたる友の眼は
いま世を生みし神のごとあり
すずろなる戀にひとしほあくがるる
山懐に陽の消ゆるとき
* * *
紅の色しめすべく生まれきて
誇りかにあり庭隅の薔薇
しやぼん玉ぬばたまの夜にひとつ生み
八千繼ぎきたるいのちぞと思ふ
錆びつきし骨の階段のぼりきて
さだめを告ぐるわが半身の火
* * *




