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異世界人類すら繋ぐ道(ウェイ)となる事が、俺に与えられた使命なのかもしれないな

今の状況はこうだ。

俺たちは家に人を集めてゴリサンとボブの卒業祝いをしている。

この借家は元々農家の倉庫だったらしく、中型の魔獣が2頭いても広さは余裕だ。

交通に便利とはいえないが、周囲に民家がないので朝まで騒ぎ放題なのも嬉しい。


ちなみにこの宴会は俺たちの昇格祝いも兼ねている。

今回の昇格では身分証(ドッグタグ)がカッパーからシルバーに変わった。

色が変わったのがいいが、これに何の意味があるんだろうな?


「ウェイ君、シルバーのタグってのは一人前の冒険者の証なんだよっ!」


確かにこの町にはシルバータグの冒険者は数えるほどしかいない。

この町の冒険者の多くは日雇い労働と小型魔物討伐をしており、ほぼ全員がカッパーだ。

シルバーのタグを持っているということは……よくわからんがすごいって事だろう。


「つまりコレを持っていればギルドでドヤ顔できるんだな?」

「植井君は以前から無意味にドヤ顔してたと思うけど……」


おいおい多田、そんなに俺のことを見ていてくれたのかい?

嬉しいこといってくれるじゃないのさ。


ギルドに関する事は、やっぱりダリアさんに聞くに限る。

日頃のお礼も兼ねて宴会に招待していたのだ。


「シルバーになると都市のギルドで利用できる施設とサービスが増えるんですよ」

「“都市のギルドで”ってことは……?」

「ええ……この町のギルドは最低限の設備しかないもので恩恵はありません」

やっぱりドヤるくらいしか使い道がないって事じゃないか。

挿絵(By みてみん)

しかし、途中参加のアネモネまで一緒にシルバーってのはどうなんだ?


「確かにワシにシルバーは不相応だのう、最低でも白金じゃろ」

酔っ払ってんのか?寝言は寝て言え。

ちなみに白金(プラチナ)は上から2番目のランクで、王都にも数えるほどしかいないらしい。


「はいはい、今日は飲み過ぎで吐くんじゃないぞ」

もちろんこの後、盛大にリバースした。


俺は酒なんて飲まないぞ、お酒は二十歳になってからってな。

この世界では十五歳から飲酒OKらしいけど、コンプラ的に良くないだろ?


「それくらい凄い事をしたって事ですよ。

 魔獣に社会適応教育を施すには生け捕りが前提となります。

 普通の冒険者はそんな手間をかけず殺しちゃいますから……」


「しかも魔族登録すると撃退扱いだから報酬も半額だもんな」

「ギルドの報酬制度はこの事態を想定していないので……

 今回はなんとか割増の社会貢献手当で差額を補填してもらえましたけどね」


「ガハハ、嬢ちゃんはそりゃ頑張ってたぞ!

 “偉業を成した人の報酬が半額なんておかしいです!”

 って真っ赤な顔で本部の奴に噛みついてたからな!」


ヒゲマッチョよ、それは言わぬが花というやつじゃないか?

ほら、なんかちょっと恥ずかしそうにしてるぞ。

ともあれ、ダリアさんには何か凄いプレゼントでも贈るとしよう。


「そんな大した事してないと思うんだけどな……」

「魔王様の方針で、ギルドは社会を良くしようとする人を高く評価するんです。

 だから差額の補填も簡単に通ったんですよ」


ダリアさんの口ぶりから察するに、かなり魔王を敬愛しているようだ。

もしかしたら魔界を統べる王ってのは本当に賢王なのかもしれないな……。


「実は今回の事を受けて、ギルドの報酬制度が一部改正されそうなんです」


ダリアさんが言うには、ギルドの依頼システムに項目が追加されるらしい。

現在、魔獣討伐の成功報酬は“討伐で(殺したら)満額”“撃退で(追い払ったら)半額”が基本だったが、今後は捕獲と討伐は報酬の奉仕が割増となる。

更に、社会適応や集落等との共存を斡旋した場合の社会貢献手当は別途支給だ。


「ありがたいけど、魔族登録制度があるのに想定してなかったって変じゃない?」

「アレは元から友好的な個体への救済措置みたいなもので……

 討伐対象の魔獣を魔族登録するなんて想定外ですよ」


確かに言われてみれば、手に負えないから討伐依頼が出ているのに、それを魔族として住民登録するなんてのは想定するわけないよな。


「なるほど……でもそんなにすごい事をしたのかなぁ?」


「リュータちゃん、アタシたちは言葉を学べない環境に生まれたせいで

 人々が暮らす領域では魔獣として殺されるしかなかったのよ。

 アナタは私達に生きる権利を与え、道を拓いてくれたの」


「オレタチ、マゾクナッタ、イキル、ウレシイ」


ゴリサンもボブもすごく喜んでくれているようだ。

なんとか戦わずに金が欲しいからって始めたことだけど……。

誰かのためになる仕事ってのは、すごく気分が良いもんだな。


今後も更に同じ事を続けていけば、金も儲かって沢山の人から感謝される事になる。

平和に暮らしたい魔獣も集落の人も助かって、誰もが幸せになれるわけだ。

最初は役に立たない能力だと思ったけれど、こんなの誰が想像した?

異世界人すら繋ぐ最高の(ウェイ)になる素晴らしい能力なのかもな。

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― 新着の感想 ―
[良い点] このドヤ顔殴りたいwww
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