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第18話 楽しい文化祭

 拓也と屋台を一通り回ってお腹いっぱいになったので、体育館のライブを見に行くことに。


 パチパチパチ

 パチパチパチ…

 パチパチ…パチ…

 …


「すげえ、まだまだ続くぞ、皆中!」

「くそう、中学生だと勧誘できねえ!」

「矢だ! もっと矢を用意しろ!」


 途中、通りかかった弓道場から、どんどん静まり返る拍手と、何か違和感のある声が聞こえてくる。いや、皆中って普通、続けるようなものじゃないよね?


「行こう。見なくてもわかる」

「そうだね」



 体育館。通常はライブなんだけど、時々演劇が入る。


「ナイト・ブラック!」

「ナイト・シルバー!」

「ナイト・ピンク!」

「な…ナイト・イエロー…」


「『新緑の騎士団』、見参!」


 どおおおおおん


「悪人ども、我らが正義の鉄槌をくらえ!」

「そして、愛する姫をこの手に取り戻す!」

「悪即断、必殺奪、我愛你」

「て、天と地と人の叫びが、この血を呼び覚ます…」

「「「くらえ、ホーリーシールドアタック!!!」」」


 わーわー


「け、剣舞…?」

「確かに、剣が舞ってるな」

「前島さん、アイスフィールドを『現界』させてまで…」

「あの三人娘に振り回されてる感満載だけどな」


 とりあえず無難(?)なコメントをしつつ、前島さん+三人娘の剣舞(??)を鑑賞する私達。


「みんなー、応援ありがとー。あ、霧雨さん、観てくれたんだー!」

「よーし、次の回もがんばっちゃうぞー!」

「補給、補給、いろいろ補給」

「ミナに見られた…恥ずかしい…」


 うん、今回は前島さんに同情しておこう。


「今回ばかりは、前島の野郎に同情だな…」

「あ、拓也もそう思う? だよねー」

「まあなあ」


 よしよし、拓也と息があったぞっと。


「ねえ、私達をダシにいちゃついてるよ、あのふたり」

「今更じゃない。生暖かく見守りましょ」

「ふたりの距離は数センチ。近からず遠からず」



 ライブ(???)も一通り観たので、各教室の出し物(同人誌即売会)を回る。


「…で、なんでアンタが俺達に合流するんだ?」

「同情してくれたんじゃないの? 拓也くん」

「関係ねえ。全く関係ねえ」

「あははは…」


 ああ、まあ、少しくらいは、ね。


「ん、ここだ。バー『雨宿り』オンリーの教室」

「マジであったよ、おい」

「相変わらず、ウチの文化祭は不思議だねえ」


 いいじゃない、いいじゃないの。


「この本、下さい!」

「え、霧雨先輩!? 買ってくれるんですか!」

「うん! あそこのジンジャーエールおいしいよね!」

「先輩!」


 がしっ


 よし、目的は果たした! 満足満足。


「わ、すごい! 素材構成がほとんど当たってる!」

「姉さん…まあ、いいけど」

「ふむ…マスターの最大の魅力は、ふと気がつくと披露しているグラス磨きか」

「こっちはよくねえ」


 うん、楽しいね、文化祭!



 教室棟から、再びグラウンドに向かう、私達三人。渡り廊下が裏道のようになっているせいか、人影が皆無だ。


「じゃあ、もう1回屋台回ろっか。あそこのジンジャーエール、もう一度飲みたい!」

「姉さんの手作りほど、うまくはねえけどな」

「ああ、それなら、来年はぜひミナのジンジャーエールを屋台で…」


 がちゃっ


「…手を上げろ」

「!?」

「拳銃…!?」


 いつの間にか後ろにいた男が、前島さんの背中に銃をつきつけていた! あまりに唐突な出来事に、私達は身動きできずにいた。


「そのまま大人しくな。よし、お前だけこっちに来い」

「前島さん!」

「動くなよ? 裏門に停めた車にこいつを連れていくまではな」


 この男も、前島さんの誘拐が目的!? でも、後ろから銃を突きつけているため、聖盾(アンサイル)アイスフィールドを『現界』させても意味がない。そんなことをすれば、背中から強行手段を仕掛けられてしまいそうだ。


 結局何もできないまま、前島さんが裏門の方に連れられていく。姿が見えなくなり、私達はようやく動き出す。


「…! 拓也、警察に通報!」

「わかった! 姉さんは?」

「電脳部の部室に行ってくる! デモ展示してるフルダイブ装置で『ファラウェイ・ワールド・オンライン』にログインして、ミリアナに連絡をとる!」

「そうか! ミリアナなら、現実世界のマップ機能で前島を追跡(トラッキング)できるからな!」

「そういうこと! それじゃあ!」


 そう言って、私は電脳部部室に向かった。部室棟はここからすぐだ。

 到着した電脳部は、もともとひっそりと展示していたことに加え、1日目の日程が終わりそうな時間帯だったため、部員が2、3人いるだけだった。


「ごめんなさい、今すぐフルダイブ装置を貸して!」

「き、霧雨さん!? え、どうして???」

「話は後で!」


 少し古めの装置だけど、私には関係ない! 手早く取り付けて横たわると、私はいつものログイン手続きを行う(キーフレーズを唱える)


受諾せよ(アクセプト)遥かなる大地(ファラウェイ)への旅路を(ワールド)



 ふおんっ


 いつものマイホーム。今回は『コナミ・サキ』に偽装する必要はないから、すぐに現実世界のマップを表示して…。


 ぽーん


 こんな時に通話呼び出し!? なんで…え、ユリシーズさん?


 ピッ


『ミリアナ…いえ、霧雨さん、すぐにログアウトして下さい! 彼らの本当の目的は、あなたです!』


 え…!?

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